- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167420147
感想・レビュー・書評
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初めましての作家さん。
主婦に画家に葬儀屋に外科医。
4人のエピソードが同時に進行する。
しかも病んでるから、物の見方とか状況説明とかが普通じゃない。
中盤くらいまでは、この4人の妄想というか幻覚で
これってミステリじゃなかったっけ?と思い始めたころに
精神科を舞台にした4人の患者の妄想と行動が
整理されてミステリっぽくなった。
後半に入って、いきなり駆け足状態で
最後には、そういうことだったのかぁ~って思うんだけど
イマイチ爽快感に欠ける。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議なことから始まって不思議に終わる、これはなんと言えばいいだろうか。
説明に悩むが読んでみると面白いかも。
是非。 -
人間てこうやって狂っていくんだなって思いながら読めた。登場人物がみんな狂っていってどうにもならない!って思って読み進めたけど優良なミステリとして終結した。
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ある作家がめっちゃお勧めしていたので読んだのだけど、眠くなりました。微妙に、私とは合わない文体みたいだ。
トリックも、なんとなく分かったような分からないようなで、どうもすっきりせず。
まあでも、こんなんもありなのかなー。
人間は見たいものしか見ないとか、興味のないものは目に入らないとか、思い込んで見てると都合のいいように現実を捩曲げて見てしまうとか、そんな心理はなんとなく分かります。
しかし、ここまで他人を操れるもんかね。 -
序章に綴られる4人の精神を病んだ人々のそれぞれ独立した心象風景。それがすべて同じ精神科病院の患者たちであり、お互いに直接関係はないながら、副院長波島、その元妻で婦長の弘子、波島の助手森河を巡る物語全体の主題に次第に深く関わってゆく。交互に語られる4人の奇異な体験は、理由不明な病的なもののように見えて、その中には推理で説明可能な現実の出来事が散りばめられており、物語の後半でそれが少しずつ明らかになって、ある犯罪の隠蔽のための周到な工作であることが明かされる。精神病者の不安定な独白が読み手にわけのない不安を募らせていくところはうまいが、残念ながら最後にすべてが白日のもと理性的に解明されるとまでは至らない。構成的には限界があるのはしかたないか。犯罪自体が地味なこともあってミステリとしての意外性は今一つだが、曲がりなりにもミステリの体を為すように仕上げた手腕はさすがだ。よくも悪くもこの著者らしい作品。
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中学の頃まではキチガイって呼んでた。
この本に出てくる人たちを。
今は活字にするにも抵抗があるけど、
自分の感覚ではそうだから仕方ない。
今、他の本でこの語彙を思い浮かべるものには出会っていない。
ていうかなんでその語彙の喪失とともに
そのような人と関わり合う機会がなくなったのか…
フシギでしょうがない…
だから、逆に新鮮でコワカッタ。
ミステリーなんだと思うんだけど
これをコメディと呼ぶには
僕にはちょっと重かったです。 -
2014年9月12日読了。連城三紀彦の長編ミステリデビュー作という。現実と妄想の境がつかなくなる狂気におびえる4人、同じ病院に通う彼らの周囲で奇怪な犯罪が起こり始めるが、真相は・・・。読みながらも足元がぐらつかされるような、「ひょっとして自分も妄想にとらわれているのでは?」と不安になるような文章力が圧倒的、逆に後半でミステリ的に犯人・動機・トリックなどが語られだすと興ざめしてしまう・・・。妻に「あなたは死んだ」と言われ困惑する惣治、妻の言葉が信じられなくなり行き詰る高橋らの姿がゾッとするほど滑稽で哀しい、この物語のタイトルに「暗色コメディ」とつけるセンスもさすがだと思う。より、ミステリとして巧緻なこの人の作品をもっと読んでみたいものだ。
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「もう一人の自分と夫が浮気しているところを目撃した主婦」、「飛び込み自殺するも、トラックが自分の体を通り抜けて消えてしまった体験をした画家」、「七日前に交通事故死したと女房に告げられた葬儀屋」、「妻が別人にすり替わったという妄想に取り憑かれた外科医」、奇妙なエピソードが並走し最後は一つに収束します。
現実ではありえない事象ばかりでまともな解決は期待出来ない雰囲気でしたが、最後はきっちりと合理的に解決されていたので思わず舌を巻きました。
ただ、ご都合主義的な展開や見え見えの犯人など、突っ込みどころが沢山あるので評価が別れる気がしました。