ストロベリー・ロード 下 (文春文庫 い 27-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167530037

感想・レビュー・書評

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  • 後半は淡い恋愛話もありながら。

    ルーチンを生きるのではなく、自らの慣れていないアウェイの世界に生きる逞しさ。そこで失敗しながらも鍛えられていく過程を追体験できる。本を読みながら、しかし、本では得られぬ肉体の緊張感を晒す人生の濃密さを読む。

    健康志向だ長寿願望だなんだとあるが、文字に起こして一瞬で読み終えるような中身ではなく、苦楽幅広く多彩なドラマがある方が、時間感覚は相対的にも長く感じるのだろう。20代より10代。分かった気になって、人生楽しめなくなって、損をする。

    会いたい人に会いに行こう。行きたい場所に行こう。やりたい事をやり、食べたい物を食べる。
    面倒くさがったり、恥ずかしがらず。この本を読んで、大事なことを思い出した気がした。

  • アメリカ社会が生み出すルーザーはさらにルーザーを作り出して社会に組み込んでいく。組み込まれたルーザーはまたルーザーを作り上げていく。
    劣等感から来る過剰な自己肯定と「あらねば意識」の集合体がアメリカという国であり、アメリカは実態を持たず観念としての国でしかない。

    恋愛観とアメリカを当てはめる構図などはやや、主観的すぎてこじつけも混じっているように思われるが、それを加味してもこの人の観察眼の鋭さには恐れ入る。この人を超えるアメリカ観察者はなかなかいないとさえ思えてくる。

  • 1960年代に農業で移民をした日本人兄をたよってアメリカ農場生活をする主人公が感じたままを綴るノンフィクション。日本人だけでなく、皆もともと外からきており皆が生粋のアメリカ人ではなくアメリカ人になろうとしている国であるという考えにまとめられている。今とは違う、戦後もまだ色濃い時代のアメリカ日本人社会を垣間見た興味深い考察。続きがあったら読みたい。

  • 2016/07/05 読了

  • すごい! 濃厚で有機的な慧眼。

    なかなかお目にかかることはできません。

    こういう青年期を送りたい。送れるような少年期を。

  • アメリカの移民問題、負の部分を垣間見た感じ。

    「国境をとりのぞいて行き着くところはもうひとつの国境。それを教えてくれたのはこの土地だ。ここにアメリカ人はいない。アメリカ人になろうとする人間がいるだけだ。兄のイチゴ農場にもさまざまな季節やドラマが訪れる。年上の日本人女性との交流、アメリカを真摯に問い続ける老牧師。そして兄の縁談」背表紙より

  • これを読んで、どれだけ日本人が高度成長を遂げたかわかりました。
    なんか・・・凄いなぁ、頑張ったんだろうなぁ。
    きっと辛くて、悔しかっただろうけど、それをばねに成長した日本企業が誇らしく思えました。
    相変わらず波乱万丈です。

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著者プロフィール

1947 年東京都大島町生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。
89 年『ストロベリー・ロード』で第20回大宅壮一ノンフィクション賞。
新日中友好21世紀委員会委員、
秋田公立美術工芸短期大学学長などを歴任。
主な著書に『60 年代って何?』(岩波書店)、
『中国という難問 生活人新書』(日本放送出版協会)、
『漫画家たちの「8・15」 中国で日本人の戦争体験を語る』
(潮出版社)ほか多数。

「2015年 『漫画家たちのマンガ外交』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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