空へ: エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫 ク 11-1)
- 文藝春秋 (2000年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167651015
作品紹介・あらすじ
1996年5月、日本人の難波康子さんをふくむ12人の死者を出す遭難事故が、エヴェレストで発生した。雑誌のレポーターとしていわゆる「ガイド登山隊」の実態をルポするためこの登山隊に参加、たまたま事故の当事者となり奇跡的生還を果たした著者が、徹底取材をして著した遭難記録とエヴェレスト登山の最新事情。世界的ベストセラー。
感想・レビュー・書評
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以前ヤマケイ文庫版で読了していたが、今回は文春文庫版で再読。何度読んでも緊張感ある。後半の悲劇だけが題材なのではなく、エヴェレストに登るということがどういうことなのかが臨場感をもってよくわかる。この文春文庫版は、ヤマケイ文庫版より写真と図がちょっと多い気がするのと、各章に味のある扉絵があるのがいい。
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1996年のエベレスト大量遭難事故の生存者ジョン・クラカワーによるノンフィクション。これを読んでいる間中、私もエベレストにいる様な臨場感で凄かった・・。是非ご一読を!
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1996年にエベレストで起きた大量遭難を体験した著者による記録。
このときは日本から参加していた難波さんも遭難し、大きく報道された。
観光化されたエベレスト登山の実情が良くわかる一冊。
クライマーであり、ライターでもある著者の文書は引き込まれる。
ヒマラヤにあこがれる人にお薦めの一冊。 -
高所山岳がどのような世界なのか良くわかる一冊
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96年エヴェレスト大遭難のルポ。立場が違えばいろいろ反論もあるだろうが、よくまとめられいて、悲痛になりすぎないところに好感。気楽な気持ちの登山が増えている。一回は読んでほしい。
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書はアメリカの代表的アウトドア誌「アウトサイド」で執筆活動をしていたジョン・クラカワー(Jon Krakauer)によって書かれた。彼がのちに書いた「荒野へ」と映画化された「into the wild」は僕が好きな本と映画。これらも名作だけど、別の機会に。
「空へ ~エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか~」は1996年5月のエベレスト遭難記である。エベレストは1953年にエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイによって初登頂がなされ、その後にさまざまなルートを開拓された。1985年にもっとも容易と言われる南東稜を経由するルートから、クライミングの経験がほとんどない富豪のディック・バスが卓越した若手クライマーの案内によってエベレストに登頂したのが象徴しているように、登山家と呼ばれる人でなくても登頂することが出来るようになった。(ディックバスの金にものを言わせた一年間で七大陸最高峰登頂の話は「七つの最高峰」という本にまとめられている。面白い。)
エベレスト登頂にあたり、営利目的でつくられた営業遠征隊が増えてきていたのが1996年当時である。その中でもっとも実績と信用があったロブ・ホール隊に、著者はアウトサイドから営業遠征隊のルポを書くために参加した。そして悲劇が起こったのだ。
著者はエベレストを登頂し、無事に下山した。だが、1996年の春のシーズンのエベレストでは彼の隊の隊長であるロブ・ホールを含め12名が亡くなった。そこには日本人女性で2人目のエベレスト登頂者であり、七大陸最高峰登頂者となった難波康子さんも含まれている。そのときエベレストで何が起こっていたのか、を著者が帰国後にインタビューを繰り返して纏めたのが本書。壮絶な内容に慄然とする。
国家的威信を背負ってやってきた南アフリカ隊や台湾隊、スウェーデンから自転車を漕いでやってきた単独登頂を目指す若者、七億円近い資金を注ぎ込んで映画撮影を目的にやってきた隊など、各隊、各人に想いがある。思惑が複雑に絡み合ってゆくのは標高が7000mを超える極限の区間。死が隣り合わせの場所なのだ。
痛ましい遭難にいたるまでの経過や、当事者たちの心の動きが詳細に描かれている。登山的な側面と人間的な側面からエベレスト登山の実態について書きあげた類稀なる作品となっている。 -
過酷な状況でプロのクライマー達はあらゆる選択をした。
ただ、それが世界最高峰の山での最善の選択だったのかは
読者は解らない。
解らないが、彼等の登頂への情熱は伝わってきた本だ。 -
ドキドキハラハラ、登山ノンフィクションの傑作。