- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167651626
感想・レビュー・書評
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うっとりとするような恋の歌が続くばかり……とはいかず、嫉妬と怨嗟の続く、メンヘラが毒を吐きまくっているような部分は不愉快に感じるほど。それもまた筆致の力なのではあろうけれど。
特定の誰かに向けて書かれたかどうかはわかっていないとのことだが、確かに誰か架空の人物を想定して書かれたもののように感じられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シェイクスピアのソネット(14行詩)を読んだことがありますか?
『ロミオとジュリエット』『ハムレット』『夏の夜の夢』など、数々の有名な戯曲を書いたシェイクスピアは、実は謎の多い人物でもあります。
ソネットはシェイクスピアの残した作品の中でも、特に謎に満ちていると言われています。冒頭の献辞W・H氏とは誰なのか?そもそも誰について書いた詩なのか?もっとも有名なソネット十八番の『あなた』は、美貌の青年貴族と言われていますが、その正体は誰?
東京大学名誉教授・小田島雄志氏の読みやすい翻訳に、山本容子さん銅版画が添えられた詩集、ぜひ手にとってみてください。(院生アルバイトスタッフ) -
一番有名な18番も良いけど、43、54も好き。136の「私の名前だけを恋人としていつまでも愛してほしい」もいいな〜。多分訳者によって色々違ってくると思うから、他のも読んでみたい。
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美少年は時の衰えに負けず子を産み不変の美を実現すべき。最高位の褒め言葉は見つからなく彼の魅力は彼としか言えない。勝手に愛を誓い、破り、彼の愛人の存在で暴走するシェイクスピア。
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小田島さんの翻訳がすばらしい。とはいえやはりシェイクスピアは日本語だけでは片手落ちだろうと、わからないなりにYOUTUBE動画を聞きながら英文を読むという作業を半年かけて行いました。満足!最初の数編は、結婚し子孫を増やせ、というよりも「なすべきことをせよ」と言っているように思えました。シェイクスピア初心者ですが、これから出会う作品が楽しみです。
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20110529
シェイクスピアのソネット集。
愛情、嫉妬、不安、それぞれが美しい言葉で描かれ、どの詩もハッとするものがあった。
訳も良いのでしょうねー
ソネットとしての短さか、無駄のない鮮烈なイメージがありました。
原文も読みたいな。
挿絵は作品として存在感が高く、良し悪しな印象でした。
あるバージョンとないバージョンがあるとよいなとは思いましたが、解説を読む限りはあるべきものなのでしょう。
とはいえ、絵が現代的でもあり、イメージがズレて少しつらかったかも。単行本のほうは良かったのかな? -
シェイクスピアのソネットの歴史的な評価は専門家の方によって出尽くしているため、ここでは角度を変えたシェイクスピアのソネット評。
シェイクスピアの『ソネット集』はシェイクスピアが自身より以降の作品を支えていくために書き残した「遺書」のようなものである。ちょうどシェイクスピアより昔、世阿弥の『風姿花伝』が後の能作者のために書かれた秘伝書であったのと同じように、シェイクスピアの『ソネット集』は後の詩人のために書かれたシェイクスピア劇の劇作論なのである。
このことの根拠は実際に『ソネット集』を読み解いていくと分かってくるのだが、ここではヒントとして黒澤明のシェイクスピア映画『乱』と『蜘蛛巣城』を観ておくことをお勧めする。『ソネット集』でシェイクスピアの言わんとしたことが黒澤明映画を通して見事に分かってきて面白い。
シェイクスピアは自分の作品を「独創」などとけして定義することはなかった。シェイクスピア劇はこれまでの過去の遺産によって集成された、シェイクスピアによる古典作品の集大成なのである。
『ソネット集』の意図を是非汲み取ってみて欲しい。研究、評論、創作など様々な分野でエッセンスとして消化できる。明日からあなた自身もシェイクスピアのように生きられるかもしれない。 -
ソネットとは14行から成るヨーロッパの定型詩のことだとか。
本書の成り立ちはよくわかってないのですが
美青年に対する思いをうたっているもの、らしいです。
青年を賛美する深い思いのうつくしさ、猛々しさには
こころが揺さぶられたりうっとりしたりあ〜あと思ったりするばかり。
対象や描写の謎がシェイクスピアの研究対象として
さまざまな憶測を生んでいるようですが
自分はいろんな感情の揺れをおこすシェイクスピア像は想像するものであれ、
真実を追うものではないと思っています。
折りにふれて読み、こころがひきしまることばなのですが
それにしてもどうもこのさし絵は、なんなんだろう。
必ずしも詩に沿うものでなく
画家の思い浮かんだビジョンが自由奔放に描かれていて
シェイクスピアの詩を読ませたいのか、画家の絵を見せたいのか
出版社の意図はわからないけど、読んだ限りでは両方を同列に扱ってる感じがする。
絵がほんと目について、詩のイメージが画家のものに限定されてしまい
個人的にはとても嫌でした。マイナス3で。 -
シェイクスピアの感性に脱帽!
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戯曲の中にもソネットは見られるし、もちろんシェイクスピアは詩人だし。けれども、この「ソネット集154篇」は、なんだかやはり特別なもののようにも感じられる。すべて一人称で綴られるからだろうか。美貌の青年に向かって語られる詩だから、だろうか。カヴァーのみならず、各篇が山本容子による銅版画によって彩られる。文庫になってよかったー、と思って手に入れたのに、実家に帰ってみたら、父は1994年の単行本(ブックデザインは和田誠)まで持っていた。それで、唸っている。「シェイクスピアって、こんなんだったかなぁ」などと。私は詩集を少し真面目に読んだこともあるし、ソネットについてもさほどの違和感を覚えなかったのだけれど、シェイクスピアの大作悲劇、から中心に読んだ父のような人には、どこかに違和感があるのかも。「戯曲と違って直截だからねぇ、岩波文庫や他の訳と較べたら少しは違うかも」とか誤魔化しながら、私には父がじゅうぶんに心惹かれているのが感じられたので、「その装丁のいいほうと私の文庫と取り換えて」なんてお願いできず終いでした。