- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167651701
作品紹介・あらすじ
ワインの将来の価値を予測する。症状の統計から病気を診断する。脚本段階で興行収入を最大化する。そしてあなたに最適な結婚相手まで決めることも、「絶対計算」が可能にする!IT時代の兆単位のデータがもたらす新世界ビジネス戦略。イェール大学気鋭の計量経済学者がわかりやすく書いた知的大興奮の書!文庫版は補章追加。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
面白い。統計予測の豊富な成功事例(米国)とその影響(専門家の反発や社会問題等)。ただ成功本なので、あまたの失敗事例・紆余曲折・注意点の説明はない。訳者後書きがこの点と日本の現実を淡々と述べていて良かった。
-
ざっと統計学を学校で習ったことがあるのだが、習ったことを応用して実際利用する となると難しい
この本の八章では特に、講義で聞く統計学とは違った角度から標準偏差と無作為抽出が説明されていて、腑に落ちる感じがあった
あと記憶が確かならベイズ理論の説明でよく 三つの扉に当りがひとつ隠れてる云々 の話が使われると思うが、この本の八章の説明のほうが理解しやすかった。 -
ビッグデータの可能性を指摘した本。実例が豊富で説得力ある。ビッグデータが日本で騒がれ出したのはここ最近だが、著者をはじめ研究者はだいぶ昔から着手していたようだ。
自分の研究の時代遅れっぷりを痛感させられた。 -
231116-5-1
-
統計学の啓蒙書。近年の多量のデータに基づく統計分析による革命についての本。回帰分析が意外とすごいということを教えてくれる。単純な回帰式による予測が専門家の知識と経験を上回る。もう診断と治療法はコンピューターが教えてくれるようになり、内科医はディスプレイ上のフォームにデータを入力するだけの下等な存在と化すだろう、とまで予測している。自分もぜひとも何かで回帰分析してみたいと思ったが、見積りとかに使えそうだ(たとえば購買の例:pp.151-152)。ただ、そうなると技術の伝承とかいらなくなるようなと思ったが、回帰式を作るときに知識と経験が必要なのか。
それから、これを可能にしたのは、コンピューター技術、特にストレージの発展で、テラバイト単位の多量のデータを容易に扱えるようになったこと、データを容易に収集・分析できるようになったことだと書かれている。また、悪い面も示していて、たとえば、差別に使われたり、プライバシーが完全に消滅する可能性を示している。データを蓄積していくことの重要性がよくわかった。そしてそのコストの低下こそが、統計の革命の真因であることも。
そしてDI(Direct Instruction)。詰め込み、機械的反復、個性無視、教師の創意工夫否定の教育が最善であるという面白いもの。素読や暗記教育こそ正道だったか? 成績の低い子にこそ効果があるというところがミソである。これぞ基礎の重要性を物語る。個人的な経験から言っても、複雑で難解な問題を時間をかけて解くよりも、簡単な問題を数多く解いたほうが理解が深まる。というか成績が上がると感じる。
また、2SDルールは使える。正規分布のとき、2σの範囲に95%が入るというだけの話であるが、使い方の具体例があるだけで、これまでの知識だけとはまったく異なる。あとはベイズ統計関連を詳しく知りたかった。 -
[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
統計や数学に興味を持ち、色々と調べて本書を読んだのだが非常に面白く参考になる内容だった。
はじめのワインの品質を計算する数式を統計から作り出すことに始まり、医療、教育、政策、映画、経営など非常に多くの分野で統計が活用されていることを知ることができた。
今まではボンヤリしていた統計に対するイメージが本書を読むことでハッキリしてきた。 -
本書の中でも評論家の未来予測の的中率は一般人のそれとほぼ同じというのは驚きだった。やはり人間の直感や思い込みはあてにならないことを痛感させられる。
本書の邦訳は2007年が初出だが、14年後の現在、さらにその傾向は強まっている。シンギュラリティは着実に近づいている。 -
2007年に単行本、2010年に文庫化ということで、世の中でビッグデータがもてはやされ始めた時期の作品です。内容的には、マネーボールや標準偏差などの話題に触れながら、「絶対計算」の未来と限界を論じたもの。
以下は、閑話休題。
本書の翻訳者は山形浩生氏。
1964年、東京都に生まれる。麻布中学に入学し、学校の帰りに橋本治の『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』を立ち読みして影響を受ける。また、当時からSFや漫画にも興味があったという。中学校3年生ごろから御茶ノ水の駿台予備校に通う合間に秋葉原へ行くなど、パソコン少年でもあった。予備校には、秋山仁と山本義隆の講義を受けるために通っていた。麻布高等学校を卒業し、東京大学理科I類に入学する。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て、野村総合研究所研究員となる。その後、マサチューセッツ工科大学大学院不動産センター修士課程を修了する。 野村総合研究所で開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや、前衛文学、経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。(ウィキペディア)
文庫本あとがきで、質問に対する著者からの丁寧な返答に「ありがとう」、翻訳ミスを指摘してくれた人にも「ありがとう」・・でもそこは、「ありがとうございます」でしょう!確かにすごい経歴ですが、ここではイチ翻訳者であるという立場がわかっていないと思わせる俺様感が強烈。
イアン・エアーズ:経済学者、弁護士。イェール大学ロースクール教授
NYタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、FTなどに寄稿。彼の研究はプライムタイム・ライブ、オプラ、グッドモーニング・アメリカ(いずれもテレビ番組)でも取り上げられている。ベストセラー『その数学が戦略を決める』など、著作は10冊に及ぶ。イェール大学およびMITで学位を取得。