クライマーズ・ハイ (文春文庫 よ 18-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167659035

感想・レビュー・書評

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  • 切れまくり。喧嘩しまくり。

  • 記者としてギリギリを攻める状況や、県境で起きた事件を取材するかの地方紙の葛藤などやたらリアルだと思ったが作者が元記者ということで納得。それに加えて登山の過酷さ、何のために登るかの答えを追い求める様など、記者と登山の二つの要素が組み合わさっており作品の深みが増していた。

  • 2018.2.20
    読後感が清々しい!面白かった!
    現在と過去を行ったり来たり、
    どっちも良かった。

    同じ場面を与えられることは二度とない。
    その一瞬一瞬に、人の生きざまは決まるのだ。

    の言葉が強く印象に残りました。

  • 見事な緊迫感です。
    ピンと張ったような緊迫感が最初から最後まで続きます。
    著者自身、当時群馬県で新聞記者をしていたからでしょう、見事な臨場感があります。
    御巣鷹山の事件はあくまで背景です。社内での不協和音に悩みつつも、最後には記者としての責務に忠実であろうとする悠木。そして、自身の過去の問題から、反抗的な息子を扱いかねている悠木。そうした主人公の悩む姿が主題です。
    並行に続けられる、友人の遺児との登山を廻るやり取りも、良い間合いで入っていると思います。

  • 最初、厚いし登場人物多いし(名前と関係を覚えるのが大変だった)私には難しすぎたかな…と思ったけど、読み始めたら止まらなくなった。
    人が死なないのに泣ける小説をかけるのは、本当に力がある人だと考えている。横山さんは泣きたいのに泣かせないという、その上を行く人だった。主人公の緊張状態が伝わってくるくらいの臨場感があるからこそ読者も気を抜けない。ずっと泣きそうなまま読んでいて、ラストでようやく気が緩んだ。
    新聞記者の仕事への想いや使命、立場の難しさ、社内における様々なプライドのぶつかり合いが詳細に書かれていた。記者は相手をみる目が肥えているから社内のいざこざが余計に難しくなる気がした。(相手のことを言葉以外のすべても含めて察知してしまうから)
    権力に負けず、スクープと真実の狭間に立ち、常識や正論さえも飛び越えていくストイックさと、本当に必要な読者に届ける思いやり。それが真の新聞、マスコミなのかなと思った。業界の人は一度これを読んでほしい。

  • 新聞社内部の力関係や仕事のことがあまり分からず、読み終えるのに時間がかかってしまった。未曾有の大事故で怒涛の毎日を過ごす悠木の苦労を自分事のように感じられた。

  • 「私は自分の父親の何を知っているのだろう。」
    子どもの視点以外の「父親の人物像」を考える切っ掛けになった本。
    父親にも社会人としての顔、友人としての顔、弟としての顔など、いくつもの「顔」あったはずだ。
    父親の背中を見たような気がした。

  • 御巣鷹山での未曾有の航空機事故。

    次々と飛び込んでくる情報、凄みの効いた台詞のやり取り、意地とプライドのぶつかり合い、とにかく熱かった。

    事件、事故、天災、傷ついた人々の言葉に耳を傾け、その目で見た凄まじい光景を文字に起こすということがどれほど重い使命なのか、
    そして、その全てを紙面に掲載できない無念さがどれほど記者の心を苦しめるのかを知った。

    悠木さんが挑む衝立岩が、抗えない権力の壁とリンクする。
    その挑戦が最後に何を生み出すのか。

    とても良かったです。胸に響きました。

  • 重厚長大。漢くさい、骨太な小説。それでいて、四十男の女々しさみたいなものもよく描かれていて、どこにも隙がない印象。だからと言って「詰め込み過ぎ」感は全く無く、所々栞替わりに挟まれる心象描写でふっとスピードを緩めて一息つける感じも用意されている。が、それが逆に次の頂を高く感じさせる効果があり、本当に抜かりがない。

    基本的には、一昔から二昔前の、仕事に命をかけてる男たちの群像劇。御巣鷹山の日光ジャンボ機墜落事故が「降って湧いた」、群馬の地方紙出版社が舞台で、そこに同じ会社の「山仲間」やその家族、主人公が「自殺に追い込んでしまった」後輩とその親族、さらに日航機事故の遺族や主人公親子の確執などが複雑に絡み合い、物語は重層的に進む。

    本ネタはとてつもなく大きく、登場人物も多く、それぞれのキャラクターがきちんとそれぞれの人生を懸命に送っている姿も描かれているが、全体を通して破綻がない。著者の筆力ももちろん、取材と準備にどれほどの時間と情熱を傾けたのか、想像するだに驚嘆するしかない。

    主人公は、とてもよく悩む。報道人のプライドと会社員としての保身、関係が悪化した自分の息子と同い年の親友の息子との距離感、子供のころの母親に対する歪んだ愛憎と過去を知る上司との軋轢...などなど、様々な対立構造の中で苦悩し、決断し、後悔し、それでも少しずつ成長した...かと思うとまた悩み(^ ^; 人間の「決意」など、どれほど脆いものなのか、作者は容赦なく暴いていく。

    それでも作者は、きちんと「救い」も用意している。それは本作においては、つねに「外部」からもたらされている気がする。自分が目を背けてきた相手からの、人づてに明かされた何気ないアシストが、長く立ちこめていた霧を一瞬で腫らしてしまったり。最後の「後日談」も、一応はハッピーエンドに見える形になっているし。ただしこちらはあくまで「現時点では」という注釈付きではあるが(^ ^

    一本の映画を見終わったと言うより、一年かけて大河ドラマを見終えたような、壮大な読後感である。

  • 通勤途中で、途切れ途切れに読んでいたせいか
    自分の中で盛り上がりきれなかった。
    一気に読んだら違ったかもしれない。

    登場人物多すぎて、社内の人はよくわからんくなってしまった。新聞社ってこんな感じなんかな〜。
    誌面を作るにも、いろんなしがらみの中出来上がっていくもんなんだね、と。



    衝立岩を登るシーンも、専門用語がわからなくて
    調べ調べ進めたけど、ラストシーンは、よかった。

    でも、私の読み方が悪かったかな〜

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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