- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167662035
感想・レビュー・書評
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中学の教科書で読んだ。
面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
動物園が好きだけど、なんとなく感じていた違和感を、この本が見事に表現していて、はっとなった。人間主体、それも先進国の人間からの視点が大きく、環境保護・生息地保護を訴えるけど、自分たちの生活レベルは変えたくないとか、、、。なんて自分勝手!
もはや地球全体が大きな1つの人間にとっての動物園だと思う。 -
20年前の本ですが、今でも古びない内容です。動物愛護から一歩進んで種差別やヴィーガニズムがメディアでも取り上げられるようになった昨今、野生動物を捕らえ、飼い、展示する動物園という施設について改めて是非や意義を考えたくて読みました。平易な文章でとても読みやすいです。
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多角的な視点と絶妙なバランス感覚が素晴らしい。
多くの日本人は動物園の動物も愛玩動物としての視点から(つまり「カワイイ!」というだけの感想で)見る、ということ、確かにそうなんだけど、改めて言葉にされると衝撃的だった。文庫のための後書きでも2006年付近の事情だから、2013年の今だったらもっと色々変わっているんだろうな。メディアや周りの来園者からは手放しでほめられている旭山動物園の抱えるジレンマなんかも書かれていて面白かった。行く前に読むと色んな視点で観られると思う。
あと、2011年を経て2013年の今さんざん手垢のついた「~にできること」という言葉が久々にすんなり心に入ってきた。
小説も面白いもの書く方だけど、こういったレポートのような本の方が個人的には読みやすかったな。 -
動物園の複雑な現状を取材したノンフィクション。
もとは単なる見世物だった動物園だが、多様な価値観のもと変容しつつある。動物の福祉、種の保存、生息地保護、環境教育…
動物のために、自然のために、社会のために、動物園にできることは何か。 -
幅広い問題意識が織り込まれていて、「動物園」に対して無条件に肯定的ではない自分でも違和感なく読めた。1999年の本(2006年の加筆あり)なんで、現在の動物園の状況が知りたいな。
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旭山動物園でいろいろ話題になった行動展示や、エンリッチメントに触れている先駆け的な動物園本です。自分はこの本がきっかけで川端裕人にはまりました。ついでに動物園にも。
もっと話題になってもいい本だと思うけど、語り口がわりとあっさりしているのがいいと思うので、そこはしょうがないのかなあ。
文庫版では旭山動物園の話も出てきて、色々お得。 -
アメリカの動物園は種の保存や環境教育の場としての役割を第一に担っていることがよく分かりましたが、日本の動物園はそれよりも市民の娯楽の場としての側面が強いように思えます。
動物園に来た大半の人は動物の説明が書いてある看板を読まないで素通りします。また、身近な犬猫との原体験に引き寄せて「かわいい」で思考停止しています。しかしそれも、環境教育を受けたいと思って動物園に来る人はとても少ないでしょうから仕方ないことのように思えます。
あと気になるのは、日本の動物園の展示手法は動物よりも来場者目線のものが多いことです。例えばホッキョクグマの展示は雪山を型どったハリボテを舞台にしています。来場者は自然で暮らすホッキョクグマを錯覚することができますが、実際にそこで暮らすホッキョクグマからしたらハリボテと雪山の住み心地は全くの別物ですので、自分の暮らしている場所を雪山と錯覚することはないと思います。動物園もビジネスですので、このように動物よりも来場者を楽しませるための展示が多くなってしまうのも当たり前なのかも知れませんが、見てるとどうしても悪いことをしているような気持ちになってしまいます。
本物に近い環境下での展示には莫大なお金が必要でしょうし、とても難しい問題です。いずれにせよ、自然界から動物をお借りしている以上は、動物園が種の保存への取り組み等を通して人間だけでなく動物にも利益をもたらす存在になるといいなと思います。これから先動物園がどんどん進化していくのが楽しみです。
とりあえずこの本で取り上げられてるアメリカのジャングルみたいな動物園に行ってみたいです。