新装版 義経 (下) (文春文庫) (文春文庫 し 1-111)
- 文藝春秋 (2004年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167663124
感想・レビュー・書評
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義経って不幸だなと思った。子供のまま大人になってしまった、その生い立ちも政治感覚の無さに関係してるんだろう。頼朝の考え方、葛藤もよく書けてるなーと思った。
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義経が一ノ谷の戦いで鵯越の逆落としをやった際に文中で「人よりも百倍臆病であるとすれば、百倍勇気を奮い立たせればいいではないか」という表現がとても人間味に溢れていて好きだ。
いくら奇襲だとしても、崖を目の前に馬に乗りながら駆け下りるなんて相当怖いだろう。
当時、就職の面接を控えていてこの言葉に勇気を貰った記憶がある。 -
大河ドラマの予習も兼ねて。
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戦の天才は平家を滅亡させて京へ凱旋する。この単純な思考を持つ天才は、なぜ頼朝が上洛しないのか?を理解することは生涯なかった。相手の立場を理解せずただ自分を見て欲しいとせがむ純粋さが悲哀。
奥州への都落のシーン、弁慶との逸話などが書かれていない。何故?あっさり終わる理由とは?謎に包まれた下巻である。 -
遮那王がただひたすらに法と秩序の名を冠した獣の顎の下で時を過ごし・待ち・窺い続けたのが上巻ならば、あとはもう楔から解かれた猟犬の如くそれら獣が老いさばらえたのを目敏く見抜き、喉元に食らいつき、そして"役"を勤め上げて煮らるるのが下巻
といった具合だろうか。そんな所感 -
現代人がイメージする主従関係、戦術、戦略は、戦国時代のもので、平安末期、鎌倉時代のそれは非常に淡白であるけとがよくわかった。
結局、最後まで頼朝の考えを理解できなかった義経。
天才でありながら、鈍感。登場、活躍、栄華、没落が一生のなかで如実に分かれ、最後は悲しみを抱えながら、消えていく。
作中にもあるように人々を惹きつける魅力が義経には揃っている。
まさに、諸行無常を体現する人物。
欲を言えば、義経が平泉で滅亡するまでを詳細に描いてほしかった。それにしても、頼朝、戦に行かなすぎ。 -
最後に、「悪とは、なんだろう」とあるが、本当になんだろうか。戦功があるから輝いて見えていただけで、それがなければダメ男。あまり魅力を感じなかった。かといって、法皇のように義経を愉しめるわけでもなく。こういう男性が身近にいたら厄介だろうなあと思った。別の角度から見たら魅力的に映るのだろうか。