小学五年生 (文春文庫 し 38-8)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 182
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167669089

感想・レビュー・書評

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  • 少年の心の機微を、ここまで描けるのが本当にすごい!と思った。

    『「人生で大事なものは、みんな、この季節にあった」と僕は考えていて、それは今後もずっと変わらないだろう。』
    あとがきを読んでストン、と腑に落ちた。

    自分も小5の頃が人生で一番、色んな事を感じていた時期だったなぁと常々思っていた。
    大人になるにつれ、感じることから逃げるのが上手になっていくイメージ。

    翌日が来なければ良いのにと毎日泣いたり、家族を心から愛おしく思ったり、心配かけたくなかったり、友だちと大冒険したり、本当に全力だったなぁ。

    この感覚を忘れずに子どもと関われる大人でありたい、という戒めのためにも、大切な本棚リストに追加しました。
    繰り返し読んでいこう。

  • ふーん、小学生男子ってこんな感じなんだぁと思って読みました。
    著者の作品を読む度に「重松清」さんのイメージが、お父さんになったり、小学生になったり、中学生になったり…。どうも、ランドセルを背負ったおじさん(著者近景)が頭から離れないんです。

    • aida0723さん
      「ランドセルを背負ったおじさん」って素敵な表現ですね(笑)
      「ランドセルを背負ったおじさん」って素敵な表現ですね(笑)
      2019/06/15
  • 17の短編集。どのお話も、小学校5年生の男の子がに主人公です。
    自分の子供も今5年生で、子育てに悩むことも多いので、なんとなく手にとって読みました。
    どのお話も、すごく良かった。
    自分の小学生時代と重ねて、「あぁそうだったな~」と思う場面が多くて、
    自分の息子にも重ねて考えてみたりして・・・。
    ちょっとだけ、子供の気持ちを理解できたし、自分もそんな風だったと思い出させてくれて、今の私には、沁みる一冊でした。

  • 思春期の始まるころの微妙な気持ちの変化や性の目覚めや,少しだけ大人への一歩を踏み出そうとしている子どもたちの様子が本当にうまく描写されていると思う。
    この年齢位の子どもと関わるような仕事をしている人は絶対に読んだ方がいいと思う。
    何より,自分が小学校5年生だった頃の懐かしく,また,ちょっと恥ずかしい淡い思い出が思い出されたのが,それはそれで良かった。

  • 17人の小学五年生の少年を主人公にした短編集。転校やいじめ、親の離婚、病気、死別など様々な出来事と絡めながら、この年頃にありがちな肥大していく自意識や揺れ動く感情がそれぞれ繊細に表現されている。お気に入りは転校の複雑な心理を描いた「葉桜」「友だちの友だち」、仄かな異性への意識の目覚めが微笑ましい「プラネタリウム」、無愛想なバスの運転手との交流が心地よい「バスに乗って」、いじめを扱いながら読後感が爽やかな「ライギョ」。自分が五年生の頃はどんなだったかなと思い出しながら読むのもまた楽しい良作です

  • 2024.02.07
    こういうことを40歳過ぎに書けることを尊敬します。やはり、一廉の作家は自分の中に引き出しを持っていて、それを巧みに引きだすことができるのですね。それが今の1番の感想です。53歳のいま。

  • 短編集ということで隙間時間に読みやすかった。どれもいい話でした。中学受験に出る確率も高いようです。

  • うまいなあ〜。
    でも、好きかと言われると、そうでもないが、うまい。

  • 様々な小学5年生の微妙な心の揺れ動きを描いた17編を集めた短編集である。
    印象に残ったのは、「カンダさん」である。

    「少年」は、隣の家に住む「久美子ねえちゃん」と姉弟のように育った。表題にある「カンダさん」というのは、その「久美子ねえちゃん」と婚約したものの、双方の両親の反対で結婚に至らなかった男の名前である。
    「少年」にとって「カンダさん」は、「歳の離れたお兄さん」のような存在となり、一緒に雪合戦をし、プラモデルを作った。小学5年生だった少年にとって、「カンダさん」が手伝ってくれたプラモデルの出来は、「魔法か手品のようにきれい」であった。しかし、お姉さんとの結婚が破談となり、2年経ったとき、中学生になった「少年」が改めて目にしたプラモデルは、「接着剤が意外と外にはみ出していて、たいしたことはなかった」。
    子どもに頃は、憧れていた大人や輝いて見えたものが、小学5年生から中学生への時間の中で、色褪せたことに気がつく物語だった。その後、「カンダさん」とは違う男が、「久美子ねえちゃん」と結婚することになる。ただ、その男は、もう中学生となってしまっていた「少年」にとって、「歳の離れたお兄さん」という存在にはならなかった。
    「少年」の記憶に残るのは「カンダさん」という「お兄さんになりそこねたひと」であることが、子ども時代の思い出の持つ特別さを伝えている。

  • バスにのって
    は号泣。小学五年生の複雑な思い。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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