- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167692025
感想・レビュー・書評
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2002年に「文學界」に掲載した「御開帳綺譚」と「ピュア・スキャット」の2作。芥川賞受賞の翌年ということもあってか、「ピュア‥‥」ではチャレンジングな面も見えた。
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2本の物語が収められている。
この2本ともが、素晴らしく人間の内面を描いていることに驚いた。
人間は目にしたものを自分の物差しで測って想像する。それが正解とは限らないけど、それで良い。 -
どんどん広がり続ける宇宙。遠くの星ほど遠く離れていく。しかし最近私は真空エネルギーってのを知った。広がり続けながらも中心部は薄まらない、という説だ。
たとえば自分が貧乏だっていう考えを心の支えにしてたら、100蔓延落ちてても拾えない。
禅とは記憶や思考から解放されて、今を味わうことです。 -
2006/09/20読了。『御開帳綺譚』『ピュア・スキャット』の二短編を収録。
玄侑宗久を読むのはこれが二冊目になります。『御開帳綺譚』は、21年ぶりに御開帳となる薬師像の真贋騒動を通じて、人の記憶や真実について思い巡らすお話。相変わらず落ち着いた筆致、深い洞察、そして宗教者としての視点(これが読者にとってとても新しく思える)が興味深かった。『ピュア・スキャット』は、人工透析者の妻と、それを支える(支える?)夫のお話。こちらは感傷的に過ぎる部分が気になったけれど(女性一人称だからかしら)、透析で生きるというのが、単なる治療だけではなくて人生全てに関わってくる問題だ、というのがイヤと言うほど伝わってくるリアリティ。ただし、表面的にはこれは闘病記なのかもしれないけれども、描こうとしているのはもっと別のことだ。そういや、宗教者にとっては、宇宙は輪廻を思い出させる現場なんですね。