都市伝説セピア (文春文庫 し 43-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167712013

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。「昨日公園」と「月の石」が、切なくて好きでした。

  • 『昨日公園』『月の石』は傑作。これだけでも読む価値があるが、せっかくの短編集なので全作を、いや、ホラー作を間に挟んでいるおかけで余計に感動するので、やはり全作を『アイスマン』から順に読むのがいい。
    しかしあれだ、感動や恐怖など、“死”をこんなにも自在に表現として操る巧みさはちょっと凄すぎる。

  • 『昨日公園』が秀逸。時として訪れる奇妙な運命を、切なく、哀しく描き上げている。

  • ニヤリとするラストのアイスマン
    完成度が高く切なく泣ける昨日公園
    意外な展開になるフクロウ男
    の3篇が面白かった。

  • 朱川湊人のデビュー作なのだが、これまで読んだ何作品かの中でこれが一番面白かった。

    朱川湊人というと、ノスタルジックで子供時代の憧憬を呼び起こす作風が特徴だと思っていたが、この短編集はもっと尖っていて、恐怖・狂気の点ではその後の作品を上回っている。

    どの作品もひねりが効いて、駄作がないのだが、その中でも最もよかったのが、「月の石」だ。こんな短い枚数でもひねりを効かせて最後に感動までさせてくれるものはなかなかないだろう。単身赴任の父と息子の久しぶりのキャッチボールを描いた「昨日公園」も素晴らしい。

    これは誰にでもお勧めできるホラーミステリー短編集だ。

  • 「世にも奇妙な物語」の傑作復活編で「昨日公園」をみたので再読。やはり「昨日公園」以外も傑作ぞろいの短編集。怖いのに哀しくて美しい「フクロウ男」。エキスポシティオープンのニュースを聞きながら「月の石」を読んで感慨深かった。

  • Q:口裂け女に出会って「私きれい?」って聞かれたらどう答える?
    A1:「きれいです」→これでもかぁとマスクを外したら、裂けた口が見えてその口で頸動脈食いちぎられて殺される
    A2:「不細工です」→鎌で口を割かれた後、殺される

    で、どうせ死ぬなら「そんなに殺したいか、かかってこんかい」とタイマン張る。という結論に達した小学校6年生。修学旅行帰り新幹線の中のバカな俺たちでした。

    というような青春時代を過ごした俺たちには、怖さよりも懐かしさがたまらない、タイトル通りのセピア色した短編幻想ホラー小説集。怖さに偏らず、切なさに偏らず、懐かしさというおもりでバランスとっているやじろべえみたいな作風が面白い。

    この本を読むなら、夏の後半、ひなびた民宿で蚊帳をつってもらい、その中に敷いたせんべい布団に寝っ転がって、電気スタンドの明りの下、BGMはいらんけど大日本除虫菊のアロマがあるとなお良いかも。

  • ホラー短編集。
    ゾクッとしたり切なくなったり、怖さいろいろで、
    どんでん返しもあり、飽きずに読めた。

    「昨日公園」が良かったな。

    • 円軌道の外さん

      レビュー書いてくれたんですね(^O^)

      ありがとうございます!


      昨日公園は
      タモリの『世にも奇妙な物語』で
      昔、...

      レビュー書いてくれたんですね(^O^)

      ありがとうございます!


      昨日公園は
      タモリの『世にも奇妙な物語』で
      昔、KinKi Kidsの堂本光一が
      主人公を演じていた記憶があります(笑)

      切なくて
      胸に残る話ですよね(>_<)


      朱川さんは地味だけど(笑)
      文章上手いし
      読みやすいし
      必ず郷愁を誘う温かさと
      切なさを感じさせてくれるし、
      もっと売れてもいい作家やと思うなぁ(笑)(^_^;)


      2013/02/06
    • メルさん
      円軌道の外さん

      はい、レビューと言えるようなものじゃありませんがf(^_^;

      そうそう、ドラマ化されていたようですね。
      観てな...
      円軌道の外さん

      はい、レビューと言えるようなものじゃありませんがf(^_^;

      そうそう、ドラマ化されていたようですね。
      観てないんですぅ(;;)
      あぁ、でも観たら泣きそうだからいいや(笑)

      >必ず郷愁を誘う温かさと
      切なさを感じさせてくれる

      の好きです。
      まだ数冊しか読んだことがないので
      また読んでみますね(^▽^)ノ
      2013/02/06
  • おもしろい。読書好きの友人に勧めてもらって読んでみたけど、予想以上におもしろかった!
    一話目からぐぐっと引きこむ世界観。
    昭和のかおり漂う何とも言えない不思議な雰囲気に引き込まれて、ぐいぐい読んでました。
    全5話、すべてが完成されてて、これぞ「短編集」って感じで大満足。
    不思議な感じから始まって、最後にがらっとひっくり返す手法。
    前半の話はラストまで不気味なままだったけど、最終話、「月の石」はラストに救いがあってよかったなぁ。
    「死者恋」はエロチズムがなんとも言えないし、「アイスマン」の不気味さったらすごすぎた。この話、ちょっと江戸川乱歩っぽいよね。おもしろい。
    「昨日公園」は切なすぎる展開にちょっと泣きそうになったし、デビュー作の「フクロウ男」は、ラストのどんでん返しにマジビビりでした。
    最初は「君」の性別が女だと思ってたから、まさかこっちかー!! って最後びっくりした。
    うーん。うまいなぁ。

    この人、是非他の作品も読んでみたいなぁ。

  • これはまた・・獣舟以来の、久しぶりの贅沢で珠玉の質の良い短編集に出会えてラッキー!


    ひとつひとつのエピソードの要素自体はそう、目新しいものではない。
    オール読物推理小説新人賞を受賞した「フクロウ男」は、都市伝説がテーマ。
    「昨日公園」は、人生のあの時をもういちどやり直すバージョン。
    「月の石」は人の後ろめたさを映す人形。

    文章は平易でさらさらしている。読みやすい。
    シーンはゆるやかで、ぎちぎちと説明は詰め込まれていない。

    なのに、その柔らかさに流されて読む読者は、最後であっと驚き、時にぎゅっと胸を掴まれるはずだ。

    私にとってこの作家さんの初見は、角川ホラー文庫の「白い部屋で月の歌を」。
    正直、そのまま古本屋に売ってしまった。軽いノベライズ以上のなにものでもない、そう思ってしまった。
    この文庫本にも正直期待はしていなかったのだが、いい意味で完全にノックアウト。

    物語として美しく、叙情的なのは何といっても「月の石」だが、
    私は「昨日公園」が、本当に素晴らしいと思う。
    時間という軸に翻弄され、友達への想いと自分の無力さに苦しむ主人公。
    しかしその苦しみが最後、あっという間に悲しい、しかし限りなく優しい必然へと昇華する。
    なんと秀逸な。

    リプレイ、7回死んだ男、リピート・・
    今まで読んだどんな鮮やかなタイムトリップ物も、ここまでは美しくはなかった。


    筆者は「花まんま」で、直木賞を受賞しているとのこと。ちょっと、読みたくなってきた。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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