- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167717735
感想・レビュー・書評
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危機的状況に追い込まれないようにする手だて《赤松正雄の読書録ブログ》
思想家の内田樹神戸女学院大名誉教授と私の初めての出会いの際に、最も私が共感したのは、あのマイケル・サンデル教授への批判だった。サンデル氏の華々しい登場は興味深く、幾度かその英姿をテレビで見た。しかし、やがて醒めていった。内田氏は、彼の問題設定は全くナンセンス、ああいう危機的状況に追い込まれないようにすることが大切なのに、と言われた。
その後も内田さんの著作をあれこれ読んでいるが、『街場の現代思想』を読んでいると、そのことに関連した表現に出くわした。「君がほんとうにこれからの人生で二度と致命的な失敗を犯したくないと、本気で望んでいるのなら、このような決断を迫られる局面に立ち至った自分自身の『最初の不適切な決断』を反省しなければならない。『自分はいつ、どのようにして、決断を誤ったのか』、それを自分に向かって問わねばならない」―追い込まれるに至った自分を反省しろというわけだ。では、誤らない決断はどうすれば可能になるか―「決定的局面で『正しい判断』をする人とは、これまでつねに『正しい判断』をしてきた人ではない。そうではなくて、『正しい判断』をしないと生き延びられないようなリスクを最小化することに、これまでつねに心砕いてきた人のことを言うのである」と。
実はこうした彼の考え方に影響を与えたのは、天風会の創始者中村三郎天風先生に違いないと思われる。天風会とはヨガの哲学を学ぶ精神修養団体だが、その修練法の基本は、ひとえに決断力の養成にある。私も若き日に少しばかりかじったことがあるが、内田さんもその思想に共鳴しておられる。
内田氏との出会いに際に、合気道について語り合った(同氏は合気道場「凱風館」を経営)が、天風会にも話題は及んだ。合気道と天風会―この二つを二人が共通点に持っていたことには、驚いた。
この本は前半が新しい階層社会についての鋭い分析。後半が若い人たちの素朴な人生相談に答える形式をとっている。どちらも実に面白い。格差社会における文化資本のあり様を書かれたくだりは身につまされるし、人生相談は実践的に使える。得難い秘伝の公開は大いに参考になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「就職」「結婚」「離婚」等のまるで人生相談のような題材を元に、現代思想を説く。内田樹のこの本は面白い!
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仕事や恋愛など現代生活に根付いた「価値観」を、死角から読み解きいていきまったく違った視点から物事を眺めることができる画期的思想理論。
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2011.09.29
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内田樹、面白いー。
大学教授ということもあり、大学生のよくあるお悩みにこたえる形で働き方、企業の在り方、結婚についての見解を展開。
結婚という制度についてのクールな見方が特に面白かったな。
でも、希望をなくしてしまう人もいるので、言及しないけど。
よくよく読んでみると、昔会社を経営していた?とか、男手一つで子どもを育てた?などイロイロ経験して、大学の教授になったのかと、だから面白いのかと納得。 -
なんか、落語とか講談みたいな芸を聴いている感覚。街場のトピックに内田節は実にフィットするのだなあ。読みやすく面白く含蓄のある本だった。
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・文化資産は生まれついたもの。その差を埋めるべく、やすやすと金で買えるものではない。
・向上心は必ずしも人を幸せにしない。小さくても確実な幸福、このリストをいかに長くできるか。
・成果主義が進むと厳格な評価をもとに階層化される。それは給与=自分の能力となり、自分に言い訳ができなくなる。現在の不公平かもしれない、あいまいさが緩衝材となっている。
人事がデタラメであるがこそ、自分の能力は査定以上に高いという妄想に浸ってられる。
・転職を考える時点で失敗している。
・社内改革は可能でしょうか?と聞いている時点であなたの改革はない。
・正しい判断をする人とは、これまで正しい判断をしてきた人ではない。正しい判断をしないと生き延びれないようなリスクを最小限にするべく、心を砕いて来た人。
・離婚について。わたしたちは何故か常に「最悪の解釈」を採用する傾向にある。
・価値があると思っているものの価値は、そのものに価値があるわけではない。そのものを失ったときに経験するであろう喪失感によって担保されている。 -
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