伏 贋作・里見八犬伝 (文春文庫 さ 50-6)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167784065

感想・レビュー・書評

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  • 狩る者と狩られる者の話なのに殺伐としてない、どちらにも感情移入しきれない感じが「物語を読んでる」という気持ちにさせてくれる

  • 南総里見八犬伝をモチーフにした作品はいろいろとありますよね。書籍を読んだり映像作品を見たりしたことがある方は少くはないのではないでしょうか。本作も八犬伝をモチーフにしているのですが、他の作品以上に、原作を抑えてから本作を読む方がより楽しめると思います。

  • 本編と同じくらいの量で過去の話が入り、それが悪い方向に働いて本筋をわかりにくくしている。結果どのキャラにも感情移入がしづらい。
    設定も若干無理があるように感じ、ふわっとした世界観で、やっぱり結果どのキャラにも感情移入がしづらい。

  • 時は江戸時代、山で猟師をしていた浜路は身寄りを亡くし、都に住む異母兄・道節を頼りに山をおりてきた。その頃江戸では伏と呼ばれる犬人間なるものが世間を騒がせており、狩れば懸賞金が出るという。
    兄と共に伏狩りをすることとなった浜路は、伏にまつわる不思議な因果に巻き込まれていく。

    もちろん本書はタイトルの通り、かの曲亭馬琴による南総里見八犬伝を下地としているが、まったくの別物として楽しめるつくりとなっていて、しかも捕物としてのハラハラ感や伏や浜路にまつわる人情モノとしての部分があって、終始楽しめた。
    元となっている南総里見八犬伝もいつか読みたいな。江戸時代にこんなにファンタジックでここまで語り継がれる物語を思いつくなんて、曲亭馬琴は恐ろしい。

  • 桜庭一樹さんのお話がけっこう好きです。しかしこのお話については、読みにくかったです。なぜなら、わたしには歴史の知識があまりないから、時代小説系になれていないのです。きっと知識を持って読めばもっとおもしろいはず。しかし読み返すことはしばらくなさそう。



  • 滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』のオマージュ。
    作中作で『南総里見八犬伝』と『贋作・里見八犬伝』が交わる。
    本家の伏姫とは大分、性格が異なるが、物語が進むにつれ、贋作の味が滲み出る。
    実に多角的な一冊でした。
    八犬伝ものの作品は割とあるけど、現代に通じるものを非常によく感じさせられる作品でした。
    現代の若人はこういう心持ちで生きているのやもしれん。

  • これはまぁ…小説を読んだというより漫画を読んだって言った方が感触としては近かったかな。映画版はキャラクターの性格やら容姿やらが結構変わっていて、どちらもそれぞれ面白かった。小説の方が全体にドライな感じだと思う。信乃好きです。←

  • 里見八犬伝がモチーフです。
    子供の頃に八犬伝にふれ、面白いなぁと思った記憶があります。
    (残念ながら、本かマンガかアニメか、何だったのかは覚えていないのですが)
    『伏 鉄砲娘の捕物帳』というアニメ映画の原作ということですが、アニメにぴったりな印象を受けました。
    本編とは別、作中に出てくる物語「贋作 里見八犬伝」が良かった。本編は結構コミカルでした。

  • 本家八犬伝読んでないので贋作も何も「そうなんですか?」って感じで普通に楽しく読めてしまった。善悪が判然としない感じの話は年を重ねるごとに受け入れられるようになるな。

  • 「南総里見八犬伝」のことをほとんど知らない。
    ざっくりと、ドラマや映画になったものを見たくらいで、はたしてその中にあったストーリーが正しいものなのかどうかさえわからない。
    だから、この「伏」がそのまま里見八犬伝だと言われたとしてもまったく違和感がない。
    本家の「南総里見八犬伝」を知る人にとってはとんでもないことだろうが、ライトノベルを読むような感覚で物語を楽しんだ。
    伏姫と八房をめぐる物語は、時を越えて江戸の町へと続いていく。
    何ものにも染まっていない浜路は、猟師の嗅覚で次々と伏たちに遭遇していく。
    そして伏のひとり・信乃から聞かされた運命ともいえる彼らの生き様を知る。
    世の中を生き抜いていくための仮面をつけた生活。
    伏であることを自覚していない者は仕方がないが、自分が伏だとわかっている者にとっては本当に短い時間しか与えられていないことが、逆に生きる力になっていたようにも感じた。
    自分たちは何のために生まれ、何のために死んでいくのか。
    伏である信乃たちはひとつの答えにたどり着く。
    その行動が正しかったのかどうかはわからないけれど、因果の輪がそこでひとつ閉じたことは間違いないだろう。
    面白かったのだけれど、何というか印象が薄い物語だった。
    何年経っても記憶に残る物語というわけにはいかなそうだ。
    「アニメの方が面白かったな」などと不謹慎なことを思ってしまった。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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