新装版 推定無罪 (上) (文春文庫) (文春文庫 ト 1-11)

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167812089

作品紹介・あらすじ

地方検事選挙が白熱する街で、女性検事補が殺害された。検事として捜査を指揮することになったわたしには、ひとつ秘密があった。わたしと被害者は不倫関係にあったのだ。そして犯行現場からわたしの指紋が発見された…。累計80万部を売り上げた伝説の名作、ここに復活。リーガル・サスペンスはこの傑作からはじまった。

感想・レビュー・書評

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  • 「被告人は有罪か、無罪か」が争われる裁判だが、「被告人が有実か、無実か」を知っているのは当の被告人だけである……、ということを考えると、人が人を裁くってすごいことをやっているな、とつくづく思います。

    本書は、主人公の検事が不倫してウマーな思いをしていたら、その相手が殺害されて気づけば主人公が起訴されてた、という話。

    前半はイマイチ盛り上がりにかけますが、起訴されてからは一気に面白くなる。法廷シーンの緊迫感といったら! 審理終了も劇的な締め括りで興奮冷めやらぬ……。すべてがもう元に戻らないと苦い思いを残す終盤も感慨深いですね。

    素晴らしい読書体験を与えてくれて本当にありがとう。下巻まで一気に読み終えました。

    *上巻にて下巻も含めたレビューとします。

  • あまりにも有名な作品だが、今まで手にとってなかったので、気を取り直して読んでみる。上巻は事件と背景、登場人物の説明で終わってしまっている。辛抱の上巻か。裁判が始まるのも下巻から。

  • 時折、海外ミステリーを読みます。
    そんなに詳しくないので、適当に有名なものを。
    という訳で、スコット・トゥローさんという人の書いた「推定無罪」。まずは上巻。

    元検事補で弁護士さんなんですね。作者が。そりゃ法廷については詳しいはずです。
    「法廷もの」の不滅の名作だそうです。1987年にアメリカで出た小説。

    地方の州が舞台みたいで、そこの検事補さんが主人公。一人称小説です。
    どうやらアメリカのそういう職業では、検事補とか検事とかっていうのは、政治家の類なんですね。
    選挙とかでボスが選ばれる。
    でも同時に、警察を指揮して、捜査にあたって、法廷で活躍します。
    主人公のラスティーさんは40代な感じ。男性。既婚。男の子が1人います。
    で、ボスが選挙で負けそうだ。
    というちょっと不安な時期に、同僚/後輩のセクシーな30代(40代?)女性と不倫の情事に溺れちゃう。
    この女性がセクシーで野心家の設定。ちなみに独身。

    なんだけど、捨てられる。捨てられた挙句に、女は自分のボスとできちゃった。
    で、このラスティーさんが、真面目に生きてきたエリートで、情事に溺れちゃって、忘れられない。
    もだえ苦しむ。妻にもバレる。えらいこっちゃな日々の中で。

    なんと、そのセクシー女性が、殺されちゃう。殺人事件。

    捜査にあたります。
    犯人が判りません。

    そして選挙。
    ボスが負ける。
    下野する形になる上に。なんと。

    現場のグラスに自分の指紋があって、「犯人」として起訴されてしまうんですね。

    オセロがひっくり返るように、人生が暗転します。

    という、なかなか出来過ぎのミステリー展開なんですが。
    なかなかどうして、筆の具合は堂々と焦らず。
    業界モノとしての読みごたえが十分な上に、作者のやりたいことは、どこまでも中年エリート男性の心理なんですね。
    微妙な妻との距離感、子供への愛情。脱線して溺れていく自分を制御できない惨めさ。
    利害損得、組織の都合に翻弄されるストレス。

    うーん。

    海外ミステリー版、横山秀夫さんって言いますか(笑)。

    基本、「男の子小説」だとは思いますが、なかなか腰が据わっています。下巻が楽しみになってきました。


    (なんだけど…実はこれ、映画になっています。
    ハリソン・フォードさん主演。
    で、この映画、観てしまってるんです。
    面白かったんです。ハリソン・フォードさんの映画では、最高傑作の部類じゃないかなあ、というくらい。
    監督はアラン・J・パクラさん。「大統領の陰謀」(1976)とか撮った人ですね。
    「推定無罪」は1990年の映画。法廷もの映画としても、「評決」とかと並んで秀逸。

    …で、この映画…

    ラストが怖いんですよ。すごかったんですね。

    原作通りなんだろうな…というコトで言うと。
    原作から読めばよかったかな、とチョット後悔…。

    でも、面白い映画/小説は、筋を知っていても面白いはずだ…と、思いながら…)

  • 読み出したらノンストップで、あっという間に読み終わってしまった。
    んだけど、読み終わった後何にも残らなかったかなあ。
    面白かったのは確かなんだけど、かといってすごい作品だったっていうような読後感はなかった。
    この手の作品には、どんなラストを用意しても万人が納得出来るものにはならないんだろう。
    個人的には派手さと面白さで読者をあっという間に引き込んでしまい、最後まで逃してくれないグリシャム作品みたいな方が好き。

  • 続編が出てかなり話題になっていたので、読んでみた。

    なんせここのところ、
    似たようなアメリカの犯罪・司法現場の本を読んでるので、
    正直物足りないというか、面白くなかったというか。

    どうも主人公に入れ込めないせいかもしれない。
    優秀な検事のはずが、
    不倫にのぼせているのはさておいて、
    事件の展開にあわあわするばかりだし、
    推理もさえてないし。

    (下巻へ続く)

  • 前半は、主人公の逡巡がかなりまどろっこしく感じて辟易。
    なかなか読み進まなかったけれど、途中から真犯人もわかり、法廷劇の妙技を堪能。下巻は一気に読みました。
    人(主人公)の内面に深く入っていくところは、私が女性だからか、性的な部分があまりに大きく、共感ができず読んでいて違和感が。。。そのぶん★が減少。

  • 映画も見たはずですが内容は覚えてません。
    確かに他の方が仰るように前半はちょと退屈。
    殺された女性検察官との情事とか安っぽい感じだし、主人公がその女性にメロメロで同じ香水の香りを嗅いだだけで興奮とか中学生か!と突っ込みました。
    ただ後半、裁判が始まるととたんに物語が動き出して面白くなってきます。
    前半は思ったより盛り上がりに欠けたので下巻に期待。

  • 前半は少したいくつだけど、サビッチが容疑者になってから面白くなった。
    下巻に期待。

  • 主人公サビッチの同僚であるキャロリンが殺される。地方検事の選挙があり多忙のため首席検事補であるサビッチが捜査を命ぜられる。
    しかし、選挙が敗北した後でサビッチがキャロリン殺害の罪で訴えられてしまう。
    上巻では選挙の話があり、少し退屈な展開。その後でサビッチが訴えられた以降は非常にスリリングで面白い。
    映画を観ていないため、下巻の展開が楽しみになる。

  •  古典の名作と言われるだけあって、とっても面白かった。事件が起こるまでに、人物関係を細かく描いており、主人公が被疑者となってからは息詰まる法廷戦、その合間に描かれる心理描写や家庭の様子など絶妙のタイミングで描いており、一気に読めてしまった。

     主人公が被疑者として疑われるのも、良いタイミングでとっても面白かった。また、最後まで新犯人の描写がないのもドキドキできて面白かった。途中で、判事の暗い過去や検事との収賄など疑う要素ばっちりの描写をしているにもかかわらず、それを上回るどんでん返しの犯人描写にはびっくりさせられた。

     さらに、出てくる登場人物一人一人が面白いキャラをつくっており、しかも、読み手によっても変わってくるのが、この人の小説の特徴なんだろうと思った。たとえば、弁護士のスターンにしても、自身の出世を望みつつも主人公を助け、さらに真犯人に気づいていたとしても、主人公のために違う戦略を考えてあげる優しさをもっている人物とも読めた。反対に、その戦略を主人公に悟らせることによって、弱みを握り、自分の出世につなげようとする巧妙なやつとも読めるのが、とっても面白かった。

     また、リップランザー刑事も、最初はただの主人公びいきの刑事として描かれているともったが、最後の推理の鋭さからすべて計算された発言だった、と思えるのが面白かった。

    【2019.02.21】再読
    1回目に読んだ時も恋愛描写がたくさんあることに驚いた。精神科医への告白で不倫の現場を描く等々驚くことが多かった。

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