現代日本文学館 李陵 山月記 (文春文庫 な 70-1 現代日本文学館)
- 文藝春秋 (2013年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838676
作品紹介・あらすじ
大きな活字、詳しい注解、作家評伝付き持病と闘いながら鋭く自己を問いつめ、その孤独と絶望を中国古典に、あるいは南洋への夢に託した作家、中島敦の傑作六篇。
感想・レビュー・書評
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2020/03/31 読み終わった。
高校一年生の時以来、山月記を読んだ。懐かしい。当時もハマった。山月記以外の作品は読んだことが無かった。
「光と風と夢」、「山月記」、「弟子」、「李陵」、「悟浄出世」、「悟浄歎異」。
弟子が刺さった。あと李陵もよい。テーマは大体同じで、美しい、清らかな人間とはなにか、という視点。きっと中島敦は子路や蘇武に憧れていたんだろうな。蘇武を見る李陵の人間らしさも、とても刺さる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どの話も登場人物(妖怪)が本当に魅力的
子路と悟浄が特に好きだなあ -
図書館で借り。
万城目学『悟浄出立』で中島敦の本の紹介があったので読んでみようと思った次第。
「山月記」読んだ。有名な話であるが読んだのは初めて。
才能あふれる主人公の自分への過信?将来の自分の姿が想像できて日常に倦んでしまった?中年になって何も重ねられなかった自分に絶望し人を羨んで失ったものを嘆いてももう遅い。
それは私自身の姿ではないか?現実の雑事に背を向け、賢しらぶってリスクを冒さず、逃げ続けた結果醜い虎になる。自責の念にかられても、僅かにでも自分の可能性が残っていないか期待しても、徐々にその気持ちも薄れて虎になってしまうのだ。
刺さるなー… -
中島敦の小説6編と中島淳伝。
名前は知っていたが、もっと早く読んでいたら、昔の中国文化に興味を持てたかもしれない。
山月記は何かで知っていたが、改めて格調高い文体に触れれて嬉しい。
弟子は、孔子の弟子の子路の話。著者の家が儒家であったとのこと。
李陵は、漢の武帝の頃の武将と司馬遷の話。
悟浄出世は、沙悟浄の三蔵法師に会うまでの求道の遍歴。様々な思想がパロディっぽくまとめられていて驚く。
悟浄歎異は、悟空をはじめとした人物の観察。 -
山月記と弟子と悟浄出世が納まっててやばい1冊
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文章が美しい
山月記がこの短さなのも素敵
こんなに短いのに生きることの葛藤が誰にでも共感できるように書かれている
染まりきってしまえば楽なのに、染まりきることを恐れてる。飼い慣らされたくないと思うときが私にもある。
ある程度できる状態になってから人に見せたい(できなくて下手なところを見られたくない)傾向がある人は誰でも、心に虎を飼っている!ふとらせたら、私もいつか虎になってしまうかもしれない。
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万城目学が中島敦の『悟浄出世』をよんで、『悟浄出立』を書いたと述べていたので、どんな作品か気になったため読んだ。
これは悟浄が我とは何か知るために、あらゆる賢者を訪ねるストーリーなのだが、悟浄はどの賢者の言葉も納得がいかない。
私は賢者の言葉に納得するものがあったのだが、悟浄にはピンと来なかったようだ。
悟浄はあらゆる賢者の言葉を聞き、心の琴線に触れるものがあったが、最後の最後まで明確な答えは出せていない。
生きていく限り、悩みは続くのだろう。 -
【大きな活字、詳しい注解、作家評伝付き】持病と闘いながら鋭く自己を問いつめ、その孤独と絶望を中国古典に、あるいは南洋への夢に託した作家、中島敦の傑作六篇。