かわいそうだね? (文春文庫 わ 17-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167840020

感想・レビュー・書評

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  • かわいそうだね?
    「かわいそう」という言葉の意味を改めて考えた。誰かに「かわいそう」と言われると頑なに否定したくなるし、誰かに対して「かわいそうだな」と思う時は侮蔑的な意味合いが含まれていると思う。「かわいそう」という感情を超えて、樹里恵が最後まくし立てるシーンは痛快だった。

    亜美ちゃんは美人
    学生時代のさまざまな記憶が蘇った。
    高校時代の学年のマドンナ的なかわいい子に関しては女子も男子も公然と「あの子は可愛いよね」と言うことができて、普通異性に「可愛い」と言ったら恋愛感情があるんだろと冷やかされたりするものだが、マドンナ的な子に対してはそれが適用されなかった。それを不条理に感じてモヤモヤしていたのが懐かしい。
    また、大学のサークルの新歓コンパの描写に心抉られた。かわいい子が近くにいてチヤホヤされていると、無言のうちに自分はブスであると罵られているような被害妄想に陥ってしまうことはよくあった。
    亜美ちゃんみたいな子はその子なりに悩んでいるし、自分の価値を他人に見出そうと必死なのだなと感じた。最後は素敵な友情の話で終わってよかった。

  • 一人称小説だからどうしても主人公の気持ちに寄り添ってしまうけど、アキヨの気持ちを考えるとどうしても嫌いにはなれない。
    しかし隆大、お前はアカン。

  • あらすじを読んで購入しました。どうなるのか見てみたくて…!

    じゅりあちゃんがめちゃめちゃ物分りの良い彼女をしていて不安だったけど、最後ブチギレてくれて安心した。そうよね、きついよね。。
    元カノさんのメールが気持ち悪くて、それとやり取りしながらお家にとめてる彼氏さんが気持ち悪かった。
    いや彼氏出ていくんかい!しかも出ていかないよ、って言ってた元カノも一緒に出ていくんかい!_(┐「ε:)_ズコー
    ほんと気持ち悪いふたりだぜ。。

    あみちゃんは美人は途中まで何も起こらないような雰囲気を感じていたけれど、あみちゃんが初めて恋した彼氏を連れてきたところからおっかなびっくりで読み進めた。皮肉だけど彼氏が出てきたところから一気に面白くなった。
    結婚式するんかーい!さかきちゃん行くんかーい!_(┐「ε:)_ズコー
    さかきちゃんの婚約者の経験の話、何かの伏線かと思ったけど読み解けなかったから、みなさんの感想読むのが楽しみ

    どちらも楽しく読めました!

  • 文学だった

  • 【かわいそうだね?】
    一体、誰がかわいそうだったのだろう。
    三人それぞれを俯瞰して見ていると、三人共、かわいそうだった。
    誰かに読後の感想を聞くなら、かわいそう、だったよね?と聞くだろう。
    発せられる言葉は、自分の価値観や人生観が基準となって出てくるもの。
    かわいそう。そんなものは当人になってみない限り、分かるものではない。
    ただ慮って出てくる想像の言葉。
    今一度、考えさせられる。
    かわいそう、という言葉の意味について。
    何気なく使っているけれども、果たして使っていい言葉なんだろうか。

    【亜美ちゃんは美人】
    想いの重いに慣れてしまった人には、逆に新鮮な思いが芽生えるのかな。
    分かる気がする。
    例え錯覚だとしても、損得なく見てくれている、気がする。
    サカキちゃんが涙した時、なるほどなと、思ってしまった。
    二人の想いの重さを知った時、違う見え方になった。

  • 女性が女性に抱くモヤモヤとした嫌悪と憎悪を、ややコミカルに、しかし現実的で共感度高く描かれた作品でした。
    女性間の絶妙なやり取りが本当にリアルで、読んでいて「こういう人いるよね」「なにこの女、腹が立つ!」「男も男で一体何なの!」と、まるで友達の話を聞いているかのような相槌を打ちたくなりました。

  • 修羅場がめちゃくちゃよかった

    アミちゃんみたいな子、周りにもいてなんで?て思ってたけど理解できました
    恵まれすぎてて孤独なんだね

  • するする読める。
    勝手にふるえてろも、私をくいとめても、(この二作は映画で観ただけだけど)表題のかわいそうだね?も、考えすぎてなんだか訳の分からない状況に陥ってしまった女性の心境と、彼女と深い関わりがある男性との関係性をユーモラスに描いている。
    私もどちらかというと考えすぎるタチなので、彼女たちの心境は、私の「考えすぎ」の延長線上にあると感じる。

    「亜美ちゃんは美人」は、美しい友人と、その友人と一緒にいることに居心地の悪さを感じる主人公、という設定が山田詠美の「蝶々の纏足」に似ているぞとドキドキしながら読んだ。
    でもこちらは主人公が友人に抱いている友情に気づき、これからも二人の友情が続いていくという展開で安心した。

    大学の飲み会のシーンは辛かったな、アラサーの私が突入して愛想笑いなんてしなくていいと言ってあげたくなった。
    さかきちゃんが登山部という居心地のいい環境を見つけられてよかった。
    (さかきちゃんが登山部という居場所を見つけられたからこそ、「蝶々の纏足」と異なるエンディングにたどり着けたんだとも思う)

    そしてさかきちゃんにも「蘭」という美しい名前があるんだなあ。これはさかきちゃんが引き立て役になってしまったからこそ、蘭ちゃんとは呼ばれなかった、という描写でもあると思うんだけど…
    でも個人的に苗字+ちゃん付けって心根の良い子に多いあだ名な気がしており、さかきちゃんと呼びたくなるようなある種の魅力がある子なんだろうなあと思う。
    (なので私もたまに苗字+ちゃん付けで呼ばれるととてもほっこりした気持ちになる)

  • 読めて良かったと、心から思った作品でした。
    “嫉妬”の感情を物凄く上手に描いており、「かわいそうだね?」「亜美ちゃんは美人」のどちらものめり込んで読んでしまいました。

    キャラクターの心の機微を繊細に描いているのに強い感情の迸りもあって、特に「かわいそうだね?」で彼氏の家に転がり込んだアキヨさんとのメールのやりとりが判明し、狂気となった主人公の心のうちの表現は震えました。

    「亜美ちゃんは美人」の、どうして亜美ちゃんはサカキと崇司を好きだったのかの理由が判明した時も唸りました。

    個人的には「亜美ちゃんは美人」の方がより好きです。小池くんのキャラが凄く良かった。

    あとストーリーの端々に、人生勉強になるフレーズがありました。筆者はどんな風に人生を歩んできたのだろうと、表現の細かさに尊敬すら覚えます。

    色々な意味で衝撃的な作品で、読めて良かったです。
    面白かった!!

  • 綿谷りささんの作品を初めて読了。
    元カノと同棲する彼氏、美人で天然な友達との友情のそれぞれを中心に2つの小説が書かれている。

    どちらも読みながら心動かされるし、美しい顔や服装の描写がその人物像をありありとみせてくれてすごいと思った。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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