- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901264
感想・レビュー・書評
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情報自体の稀少性は疑うべくもないが、その価値を減じてしまう文章の粗雑さが残念でならない。前後の文章の関係性が不明瞭な個所が多々あり、文意を正確に把握できない。それが臨場感のある文章であり、ルポルタージュの醍醐味ということなのだろうか。
筆者自身も本書の中で言及している通り極めて特殊な環境下で「今なら完全なる情緒不安定で、自己陶酔の極みだったと理解できる」との記載から、ある程度自覚的だったのだとは思うが、本書全体を通して感じたのは筆者自身の強烈な自己陶酔だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前半は,原発にどう暴力団がかかわっているかというところに焦点があてられているが,著者が原発で働き始めたあたりから,原発での作業の実態が浮き彫りになってくる。東電やメーカーが明らかにせず,マスコミも明らかにしない事実ばかりが出てくる。
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福島第一原発に作業員として潜入した暴力団専門ライターによるルポルタージュ。原発が暴力団の最大のシノギである事実、原発事故処理作業の実態が赤裸々に綴られる。
原発の立地に際して、ばら撒かれる金。原発事故処理も同様のようだ。まるで消耗品のように扱われる作業員、遅々として進まない原発事故処理、原発に大きく関わる暴力団の実態を暴露したゴシップ誌のような内容であるが、非常に興味深く、面白かった。 -
福島原発の作業現場への潜入ルポ。現場で働いている人たちの背景が見え隠れするのだが、プライバシーの問題があるせいか、少し中途半端な気がする。
もっと色々な事実を入手していることは想像に難くないが、あくまでもライターの域を出ていなくて、ジャーナリズムになっていないのが惜しい。
また、ヤクザが原発をシノギにしている情報に触れても、さもありなんと納得してしまう。これは、日本のムラ社会構造に慣れきってしまっているせいであろうか。東京電力を始めとする福島原発の現場で起きている事についても、詳らかにされない事実があるであろう事は、日本中が感じている事だと思う。
福島の復興を邪魔する気もないし、風評被害にあっている人々がいることも事実であろうが、本当に何が起きていたのか、そして今も何が起き続けているのかをジャーナリズムの視点で語って欲しかった。
この本が翻訳されて海外で読まれれば、日本が時代遅れの隠蔽社会であるという理解をされるであろう。著者の主張がそこにあるとすれば、何が問題なのかをもっと掘り下げて欲しい。 -
暴力団取材を専門とするジャーナリストによる、事故直後の福島第一原発を取材したルポ。
被曝よりも熱中症の心配が大きくなる現場の過酷さと危険さ。細かく定められているはずの線量管理も実態はいい加減で、東海村臨界事故ではウランをバケツで運んでいたという話を思い出す。絶対安全という建前と現実のギャップに入り込む、暴力団を含むアングラな人々。地域や会社への忠誠心から作業に携わる人々。飼い主を失って取り残され、瘦せ衰えたペット。
「暴力団が原発をシノギに出来るのは、原発村が暴力団を含む地域共同体を丸呑みすることによって完成しているからだ。原発は村民同士が助け合い、かばい合い、見て見ぬふりという暗黙のルールによって矛盾を解消するシステムの上に成り立っている。(p246)」
体を張ったルポとして読み応えがあるけれども、現実の話だから面白がるどころではない。原発入りに高揚していた著者が、のちに自身の被曝の程度について専門家から説明され、ようやく恐怖を覚える場面が終章にある。読者もあらためてぞっとする。 -
当時テレビのみの情報だけで大変なことが起きてることは実感できても中の人達の壮絶さは具体的には想像しづらい。
THE DAYS(福島原発事故のNetflixドラマ)を見た。地上波では出来ないことをやってくれたなと思ったけどこの本はさらに踏み込み下請けや暴力団、日雇いの末端の人間達の状況が描かれてる。か(ドラマでは全く取り上げられていない)
ネット記事などでなんとなくは分かっていたけど実際に体を張って潜入した人からの言葉は臨場感があって更に踏み込んで知ることができて良かった。目に見えない放射能の怖さと現場の過酷な状況。それでも原発があることでの雇用や経済的な力は恩恵もあり地元の人たちも複雑な感情を抱えてる。 -
古い本だけど、原発がこわい事は、よくわかった。日本は、本当に再稼働するのか。福島の再検証が必要なのでは。
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福島原発の潜入など、なかなか現実にはしりえないところも多いにある。
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取材と称し、やくざの懐深くに入りこんで実際に見聞きした経験をもとにしており、独特のリアリティと臨場感あり。取材を続ける中で、反社であるやくざに惹かれるようになりつつも、なんとかバランスを取ろうとしており、単なるやくざ礼賛・反権力!に陥らないところも好感が持てる。取材の動機は「好奇心」だと言い切るスタンスも新鮮だが、好奇心もここまでくるとやや病的な感あり。