ミッドナイト・バス (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906719

感想・レビュー・書評

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  • 家族や男女、社会がが抱える一筋縄ではいかない物語が深夜バスを舞台に進行されます。登場人物多め、かつ伏線回収されたっけ?と途中で戸惑ったので、長編ですが一気に読むのをおすすめします。

  • すれ違い、生き違った家族が会いまみえた時に、どうやって向き合い、どうやって再出発していくのか。家族とはとても近いため、時には支えに、時には脅威になる、そんなデリケートな関係なのかもしれない。それでも家族を紡ぐ物語が心引かれるのは、それをみんな求めているのだろう

  • 「終わり良ければ」という言葉があるが、
    そのような印象がややある作品。

    終始起伏は少なく、それぞれが抱える問題(家族、仕事、恋愛、結婚、離婚)に対して向き合い、最後にはそれに対する答えを見つけ新たに歩みを始めるというストーリー。

    この作品は、読者側の今の状況や精神状態によってハマる/ハマらないが大きく左右されると思うが、何かモヤモヤしている時に読んでみる一冊としては良いと思う。

  • 独特の雰囲気だがこのトーンは嫌いではなくむしろ好み。ただ、登場人物が皆個性的というか支離滅裂で、こんな人たちでは穏やかな人生を送ることは無理だろうという感じ。特に元夫婦の2人は大嫌いなタイプで最後まで共感することは出来ず。子どもたちは早く経済的にも精神的にも自立しこんな親から卒業して、その呪縛から逃れるべき。

  • 深夜高速バスの運転手と家族恋人たちの物語
    各々の仕事や介護、人間関係、これからやこれまでを織り交ぜながら綴られていく
    主人公の物語以外に深夜バスを利用した乗客の
    物語もあり、私は往年のロック歌手の話しが素敵だと思えた

    池袋→新潟の路線、私も利用した事もあり
    見送った事も、迎えに行った事もある
    新幹線とは少し違う独特な雰囲気が伝わる

    主人公の利一の煮え切らなさにも共感できたり
    朝に向かう深夜バス、登場人物達が朝に向かうであろう期待感が良い

  • 重たくて深い心情を描いた話でズンと来た。
    リイチの焦ったいところや不器用さにイラっとしたが、まあ、それが人間なんだろうね

    「深夜バスは夜から朝に向かって走るバスだ」
    「夜明け前がいちばん暗い」

  • 考えたらしょうがないかもしれないけど、タイミングというのはある。
    それでもバスは人の気持ちを乗せて、次の目的地へ進む。

    (以下抜粋)
    ○繊細な人なんだよ、と絵里花が言った。
    「目が良くて。すべてが見えすぎちゃって、疲れちゃうんだ、たぶん」
    それがわかるこの子も、おそらく同類だ。(P.212)
    ○リイチさんは決して踏み込まないの。一緒にいてほしいって言ったら、いてくれるし、優しくしてと言ったら、優しくしてくれる。だけど決してそこから先に来てくれない。自分の内側にも踏み込ませない。(P.233)
    ○あなたに惹かれるのは、若さの名残。私にとってあなたは青春時代そのもの。失われていく若さの象徴みたいなもの。だから惹かれるの。愛情じゃない、愛惜なの

  • たまにしか乗らないけどバスが好きだ。目的地にいる友達に会えるのは楽しいし、バスの隣に座る人と思いがけず話をする事もある。帰りのバスは寂しくもあるが、旅で出会った人や感じた感情を思い返す大切な時間にもなる。
    この物語でも色んな想いを抱えた人が、回り道をしながらも、それぞれ自分の感情と向き合って生きている。周りの人や自分自身を認めるための物語のように感じた。
    もう少し家族と向き合う機会を持たなきゃなと反省。何事もすぐには結果はでない。後悔しないように、お互いに間違いながらも暖めあって行ける関係が築けたらと思う。

  • 7月-24。3.0点。
    新潟在住の長距離バスの運転手、バツイチで社会人の息子、娘が相次いで戻ってくる。息子は会社を辞め、娘はネットアイドルになりグッズを販売する。

    恋人、子供たち、元妻、元妻の父親、降って湧いたような関係に苦しみながらも前へ。
    登場人物それぞれの描写が丁寧。悩みながらも少しずつ前へ。共感出来る。

  • 穏やかに進行する、失われた家族の修復の物語。読み手が考える収まりどころにゆっくりと向かっていく感じ。
    登場人物それぞれの職業やその抱えている問題などが説明しきれていない印象。特に娘の彩菜を取り巻く状況が分からない。往年のシンガーとの相談する場面に違和感。息子の怜司の方は登場場面数は多いが抱えている謎は勿体ぶった割に終盤に要約して説明があり消化不良。150万円の借金は結局なんの為だったのかわからずじまい。彩菜の友達で東京の彼氏に遊びに行ったら彼女といたエピソードは続きがないのか。市町村合併と会社の吸収合併の筋は必要あったのか。
    主人公である利一は、取り巻く二人の女性を思わせぶりに接触した後塩対応したり、恋しくなったと一方的にまた会いに行ったりと一貫性がない。
    全体的に不要なエピソードが多く無駄に長い印象。また、人物が取った行動がそれまでのエピソードと結びつかない。
    全体の雰囲気はよいがまいた伏線の回収が甘く消化不良。

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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