十二人の死にたい子どもたち (文春文庫 う 36-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.36
  • (118)
  • (284)
  • (362)
  • (118)
  • (36)
本棚登録 : 4428
感想 : 313
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911508

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 死にたい気持ちはどうして生まれるのだろうか。

    死にたい。という人は多い。
    私が思うに死を根本に望む人はそんなにいないのではないか。だって怖いし。
    一般的な死にたいは病の一種としてそういう風な思考になってしまう状態の時もある。また生きている状況的に死ぬしかない、死ぬ方が楽である。という考えからでてくるかもしれない。
    死ぬことが目的で死ぬ、変な言い方になるかもだが苦痛を回避するために死を選ぶのではないか。

    本当は皆んな幸せに生きたいはずである。幸せの尺度は人それぞれだが。

    作中それぞれの登場人物が死を共通点としてお互いに同じ時間を過ごすことで改めて死について話すことで何かを感じとっていくのではないだろうか。
    死にたいって誰かに話したかった。

  • 死にたい理由に限らず、それぞれ誰もが考えてる事はなかなか他人からは理解して貰えない。伝え方も表現の仕方もそれぞれだから、考えてる事が正しく伝わらない事もある。
    だから一方的に、他人の考えを否定することなく、自分の考えを押し切らなければ、その柔軟性から新しい道が開かれる…事も ある。
    私自身の気持ちが落ちてる時に読んだから更にネガティブになったんだけど…
    最後まで読んたら、何も解決した訳じゃなくても、それでもいいか!って思えたから良かった笑

  • いやー、面白かった!平日の夜なのに読了したら午前3時。引き込まれて450ページを一気に読み切ってしまった。

    物語のあらすじは、以下の通り。
    いわゆる集団自殺のお話。ネットで知り合った12人の自殺希望者が集まるのだけど、会場には既に1人の死体があり、13人目はいったい一体誰なのか...というところから話が進んでいく。

    まず12人の書き分けが非常に上手いので、キャラクターの把握は難しくなかった。章毎に主観のキャラクターが変わっていくのも構成としてグッド。だんだんと手の内や考え方が明らかになっていくのが良かった。

    そして面白いのは、12人が全会一致のルールを守り抜くところ。13人目の死体を前にしても、このまま自殺を決行するかどうかを話し合う。
    議題は徐々に、いったい誰が殺したのか、どのような経緯があったのかと移行していく。と、同時に12人の過去や死にたい理由が明らかになっていく。
    複雑な立場や思惑が絡まりつつも、彼らは話し合って決を取っていく。それが物語に緩急をつけて飽きさせない。

    全ての真相は終盤で明かされるのだけど、自殺を決行するかどうかは最後まで論議にかけられる。
    全てのキャラクターの主観を体験した読者は、その時点で驚くほど没入しているし、物語の決着に向けて最後まで惹きつけられる。

    ネタバレ抜きで結末への感想を述べるなら、全員が満足な結末になって良かったし、それが爽やかとも言える読後感に繋がっている。

    あと、外の世界から隔絶された廃病院という設定も良い。箱の中に密閉された緊迫感が非常に良かった。

    ワケありな子ども達が非日常の世界で救いに出会う様は、辻村深月の「かがみの孤城」ぽくもあった。


    個人的には、過激思想家のアンリに完全論破された性悪メイコがわなわな泣き出すシーンが一番熱かったw

    映画化が決まっているとのことで、今から楽しみ。単なる新人俳優のお披露目会みたいにならなければ、面白い映画になるかもね

  • 今の世の中、圧倒的に足りないものは、人と話しをすることだと思う。

    的外れな感想かもしれないけれど、読み終えたとき、一番最初に浮かんだ気持ちがこれだった。

    12人の死にたい子供たちが集団自殺を決行しようとした場に現れた13人目の少年。すでに死んでいるように思われる13人目は誰なのか。何故ここにいるのか、誰かが連れてきたのか、自殺なのか、他殺なのか。
    そして、自殺を決行するのか、しないのか。決行する条件は意見が全員一致すること。ひとりでも決行に反対する人がいたら、全員一致するまで話し合うこと。

    12人は13人目の謎を解くため、自殺を決行するかどうか決めるため、話し合っては決をとることを繰り返し、そして、最後には大きな決断を下す……。


    話し合いを進めていく毎に、徐々に他人の性格や立場、抱える問題、育ってきた背景、死にたい理由が明らかになっていく。反発する者も出てくる。けれども、子供たちは話し合う。

    この繰り返しの中で、よく「人と仲良くしなさい」とか「他人を理解しましょう」と言われてきて、納得できなかったことを思い出した。結局は他人なのだから、他の人のことを全部理解することは出来る筈がないのに、と。

    本当に大切なのは、相手の話を聞いて、相手と話し合って、相手の嫌なところも許すことが大切なのでは?と、この本を読んで考えさせられた。

  • 映画を先に観てから小説を読みました。
    内容に大きな違いはなく、映像を思い出しながら読む事ができました。
    どちらも面白かったです。
    それぞれが悩みを持ち、覚悟して集団自殺をする為に集う。
    若く、産まれてから十数年程しか経っていない子供たちに死という決断をさせる程の世の中にどんな意味があるのか。
    解決させるのはやはり人とのつながりなんですね。
    閉鎖された病院内での、推理ミステリーのような、話し合いの決議や時間を取る所など、なんだか人狼ゲームのようにも感じたお話でした。

  •  キャラクターが12人(?)もいて頭がゴチャゴチャにならないか心配でしたが、全員キャラが立っていて覚えやすくて意外と読みやすかったです。

  • タイトルにどきりとし、店頭で気になりながらなかなか手に取れなかった本。勇気を出して手に取ってみたら、とっても面白そうじゃないか!読み始めたら面白くて止まらない。こういう密室対話劇好きだなーと実感しました。映画も良かったけど、本がやっぱり面白い。

  • 廃病院に安楽死のために集った12人の子どもたち。本当ならすんなりと安楽死を実行できるはずだったのに、彼らのために用意されたベッドの一つにはすでに少年の亡骸が横たわっていて……
    子どもの集団自殺という重い題材だけどするするっと読めてしまうし、少しずつ謎解きに傾倒していく様やそれぞれの子どもたちの個性が面白くて夢中になってしまった。
    最後は希望のある終わりでよかった。彼らの人生は良い方向に向かっていきそう。

  • 12人の少年少女達が“死”について話し合う。
    人よりも“死”の距離が近い所にいるからこその発言や雰囲気が読んでいてとても面白かったです。
    “死ぬ”という1つの目的のために集まってきたからこそ堂々と“死”と向き合って話している所が不思議であり読み応えがある1冊です。

  • タイトルからして絶対にホラーだと思った。
    だからそれなりに身構えていたが…


    読み進めていくにつれ、12人の背景が見え始めていくと本をめくる手が止まらなくなっていた。
    つい徹夜で本を読んでしまった。こんなに引き込まれた本は初めてだった。

著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冲方丁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
湊 かなえ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×