黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫 よ 31-9)

著者 :
  • 文藝春秋
3.50
  • (9)
  • (27)
  • (25)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 328
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915575

作品紹介・あらすじ

累計65万部、大人気の紅雲町珈琲屋こよみシリーズ第七弾。お草さんが営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」で片腕として働いている頼れる店員・久実。なぜか男っ気のない久実にもついに春が……!?浮き立つ店に、元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたという衝撃のニュースが飛び込んでくる。容疑者は地元名士の息子。久実の様子がおかしいことに気づいたお草。そして、暴行現場で拾った「あるもの」がお草と久実を悩ませることになる。「私、いつから加害者になったんだろう」──心に小さな勇気の火を灯す人気シリーズ第7弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この巻は切ないかったですね。
    良かれと思ってやったことが悪い方向へ向かうこともあるし、許されない犯罪を犯した容疑者よりも被害を受けた人間の方が犯罪者のように扱われる事実。

    草さんも久美ちゃんも気持ちが分かったいるだけに辛い。
    そして最後のページに付記された文言が今の日本という国を表しているようで哀しくて、悔しいと思った。

  • 2019年6月文藝春秋刊。書き下ろし長編。シリーズ7作目。1作目の萩を揺らす雨を読んで、まるでイヤミスのような後味の悪さを感じましたが、登場人物たちの魅力に惹かれて、新しめの本作を読んでみました。性犯罪と被害者、加害者、それを取り巻く世間をテーマにした話は、重いものでしたが、救いのある話で読後感は爽快でした。とばした作品を読んでみます。わくわく。

  • 今回も可愛らしい表紙と裏腹に重苦しい内容でした。お草さんのお店、おしゃれで素敵ですが、片田舎の小さな町でやっていけてるのが不思議。

  • 7作目。後ろのあらすじで、久実ちゃんとうとう…と思ったら、それは勿論あったけど本筋の事件がつらくてつらくて。衝撃でした。
    性犯罪は犯罪そのものももちろんつらいけど、二次被害の方がつらいのは実体験あるのでしみじみわかります。強姦じゃなくても心の隅の方で引きずるのにな。。
    久実ちゃんは一ノ瀬さんとつかず離れずでいくのかな。すぐにどうこう、というのは難しそうだけれどふたりには仲良くしていてほしいです。
    小蔵屋、顔馴染みとか味方も多いけど、町内会の描写では結構反感も買っているようで心配になります。地方の小都市みたいなので新しいことには及び腰なのだろうな…うぅ。。
    お草さんの心はちくちくといつも休まらない。頼っていいと言ってくれる人は居るだろうけれど、出来るだけ自分の人生を一人で引き受けるとはこういうことなのだと、このシリーズを読んでいるとこの先に思いを馳せたりしてしまいます。続きも読みます。

  • 読みながら実際に起こった事件に思いを馳せていたが、やはりそうだったか。
    性犯罪の被害者は、事が明るみになった後、世間からセカンドレイプを受ける。理不尽だし、間違っていると思うが、無くならない。
    声を上げた被害者が世間から受けた仕打ちを身近で見ていたからこそ、思い悩む久美に「問題を間違えないでちょうだい。犯人を放置するか、逮捕させるか。事は単純なのよ。」と草が言う。そう言いながら、久美の気持ちを思うと「もういい」と言ってしまいそうになるのをぐっとこらえる。
    肉親には言えない言葉だと思う。他人だからこそ、広い視野で事件を捉え、久美を支える。
    犯人は逮捕され、そのうち裁判が始まる。
    そこでまた辛い思いをするのだろうが、大丈夫。
    久美には、草や寺田、一ノ瀬、由紀乃、緒里江がいる。
    変わらない小蔵屋に安堵した。

  • 正解も解決方法もない問題。
    無意識に加害者側へ加担する第三者とならないよう祈るばかり。

  • いつも以上にググっと胸に詰まる。
    大事なことを大事にできる幸運を忘れないようにしないとなぁ。

  • 第一章 小春日和 第二章 颪の夜 第三章 宿り木
    第四章 帽子と嵐 第五章 黄色い実

    元女性アイドルへの性的暴行事件。被害届にも勇気がいる、襲われた女性は犯人からと世間からの二重苦に晒されてしまう。ただ ただ 犯人が悪いのに、女性にもあんなことやこんなことがあったんじゃないかと非難を受けることがある。噂の的にもなる。たまったもんじゃないよねぇ。

  • 【累計60万部、大人気の紅雲町珈琲屋こよみシリーズ第七弾】お草さんが営む「小蔵屋」で働く頼れる店員・久実。ついに久実にも春が……!? 浮き立つ店に衝撃のニュースが飛び込んでくる。

  • コーヒー豆と和雑貨の店「小倉屋」のお草さんシリーズ。
    今回は店を手伝う久実ちゃんの身辺があれこれと大変な事に・・・
    お草さんもあれこれと思い悩みます。
    女性であることを、考えさせられる。
    そして、年をとりながら暮らすことも。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉永南央の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×