梅花下駄 照降町四季(三) (文春文庫 さ 63-203 照降町四季 3)
- 文藝春秋 (2021年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167917012
作品紹介・あらすじ
文政12年、大火は江戸を焼き尽くした。佳乃と周五郎は、照降町の御神木を守り抜いたとして町の人々に厚く感謝される。焼けてしまった店の再建を待つ間、舟を店に仕立てた「舟商い」は大繁盛し、人々は復興にむけて精いっぱいの知恵を出し合い、助け合う。
吉原の今をときめく花魁・梅花から「花魁道中で履く三枚歯下駄」の制作を託された佳乃は、工夫を凝らして新しい下駄を作りつつ、この大火で命を落とした江戸の人々の鎮魂のための催しを企画する。佳乃と花魁が企てた前代未聞の催しとは――
そんな中、藩の派閥争いから逃れて職人修業をしていた周五郎のもとに、不吉な一報が。
復興のアイデアを出し合う人々の心意気、大店・吉原・職人らが連携して作りあげた、奇跡の風景が心を震わせる。読むほどに元気が出る感動ストーリーが目白押しの第三巻。
感想・レビュー・書評
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鼻緒職人の佳乃の工夫に驚かされます
梅花下駄 ー 照降町四季シリーズの3作目
2021.06発行。字の大きさは…中。
物語は、巳丑(きちゅう)あるいは文政の大火と称される火事で文政12年(1829年)春に焼失した江戸の町に暑い夏が巡ってきた日から。照降町で梅花花魁の花魁道中が行われた7月15日に、豊前小倉藩小笠原家・八頭司(やとうじ)家の当主で周五郎の実兄・裕太郎が藩の改革派の面々に殺された知らせを受けて周五郎が、藩邸へ向かうところまでです。
鼻緒屋の三代目佳乃は、店が焼失して売り場がないなら船に棚を作って船店として商売する案を出します。そして照降町の復興のために梅花花魁が履く三枚歯下駄に照降町の御神木の老梅を描きます。その三枚歯下駄を履いて花魁が清掻きが鳴るなか悠然と外八文字を踏みながら御神木まで花魁道中を行います。この模様を読売に書いて明日発売すれば照降町は一気に有名に復興に拍車がかかります。
【読後】
第3作目は、佳乃と八頭司周五郎を中心に照降町の復興の模様を描いている中に、豊前小倉藩の者たちが周五郎にたびたび接触してきます。そして実兄が殺されたために周五郎が嫌い抜いていた藩邸へ向かって行きます。第4作目は、どのような展開になる楽しみです。
佳乃と周五郎たちの絡みが面白く、読むのが楽しいです。
345ページ
2021.07.31~08.01読了
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八頭司(やとうじ)周五郎は、徳川家譜代の豊前小倉藩小笠原家15万石の重臣の次男ですが、剣も遣え、学問も出来、人柄も良いため、藩内の改革派と重臣派から誘いがかかり、浪人してからも藩内抗争に巻き込まれて行きます。いまは、照降町の鼻緒屋主人・佳乃のもとで鼻緒屋の見習いとして働きながら復興の舵取を行っています。
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※シリーズの感想と読了日
己丑(きちゅう)の大火 ー 照降町四季シリーズの2作目 2021.07.16読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/416791686X#
初詣で ー 照降町四季シリーズの1作目 2021.06.02読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/416791669X#詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021年6月文春文庫刊。書下ろし。シリーズ3作目。佳乃が下駄に書いた梅の絵がどんなものなのか、とても気になります。周五郎にまとわりつく武家社会のしがらみ問題が表面化。うまく切り抜けられるのかというところで、次巻へ。ガタピシとした響きの悪いタイトルだと思ってましたが、やはりバイカゲタと読むのですね。ウメハナかなとも思ってましたが。
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感想は最終巻で。
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シリーズ3作目。
悲しいことはあるけれど、
悪い人が出てこないながら
飽きることなく読んでいます。
強く生きる人々は時代なのだろうか。
こんな風にひとと繋がっているというのは羨ましくもある。
花魁道中は何故だかやたら胸に響いた。
女性が活躍するって特別なことにならない時代がくるんだろうか、
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シリーズ三弾。照降町が大火で消失し、復興に心身を尽くす鼻緒屋の主従の姿を描く。
鼻緒屋の女主となった佳乃は、吉原の梅花花魁の依頼で今までにない下駄を作る事になる。やり甲斐のある仕事に打ち込む佳乃。やがて梅花花魁との仲が深まり、照降町で花魁道中をするという案を実現させる。
そんな中、周五郎は藩の内紛に巻き込まれていく。
周五郎の今後が気になる。 -
著者の王道パターン。最後は大円団を期待してます。
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佳乃も周五郎も照降町の恩人として皆に慕われ、仕事もバリバリこなして格好良い。常に別れを予感させる周五郎ですが、最終巻に向かって加速して行ってるのかな。とにかく皆が幸せなラストになるといいなと願っています。
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佳乃さんは、どんどん活躍するねぇ。