梅花下駄 照降町四季(三) (文春文庫 さ 63-203 照降町四季 3)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167917012

作品紹介・あらすじ

文政12年、大火は江戸を焼き尽くした。佳乃と周五郎は、照降町の御神木を守り抜いたとして町の人々に厚く感謝される。焼けてしまった店の再建を待つ間、舟を店に仕立てた「舟商い」は大繁盛し、人々は復興にむけて精いっぱいの知恵を出し合い、助け合う。
吉原の今をときめく花魁・梅花から「花魁道中で履く三枚歯下駄」の制作を託された佳乃は、工夫を凝らして新しい下駄を作りつつ、この大火で命を落とした江戸の人々の鎮魂のための催しを企画する。佳乃と花魁が企てた前代未聞の催しとは――
そんな中、藩の派閥争いから逃れて職人修業をしていた周五郎のもとに、不吉な一報が。

復興のアイデアを出し合う人々の心意気、大店・吉原・職人らが連携して作りあげた、奇跡の風景が心を震わせる。読むほどに元気が出る感動ストーリーが目白押しの第三巻。

感想・レビュー・書評

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  • 鼻緒職人の佳乃の工夫に驚かされます
    梅花下駄 ー 照降町四季シリーズの3作目 
    2021.06発行。字の大きさは…中。

    物語は、巳丑(きちゅう)あるいは文政の大火と称される火事で文政12年(1829年)春に焼失した江戸の町に暑い夏が巡ってきた日から。照降町で梅花花魁の花魁道中が行われた7月15日に、豊前小倉藩小笠原家・八頭司(やとうじ)家の当主で周五郎の実兄・裕太郎が藩の改革派の面々に殺された知らせを受けて周五郎が、藩邸へ向かうところまでです。

    鼻緒屋の三代目佳乃は、店が焼失して売り場がないなら船に棚を作って船店として商売する案を出します。そして照降町の復興のために梅花花魁が履く三枚歯下駄に照降町の御神木の老梅を描きます。その三枚歯下駄を履いて花魁が清掻きが鳴るなか悠然と外八文字を踏みながら御神木まで花魁道中を行います。この模様を読売に書いて明日発売すれば照降町は一気に有名に復興に拍車がかかります。

    【読後】
    第3作目は、佳乃と八頭司周五郎を中心に照降町の復興の模様を描いている中に、豊前小倉藩の者たちが周五郎にたびたび接触してきます。そして実兄が殺されたために周五郎が嫌い抜いていた藩邸へ向かって行きます。第4作目は、どのような展開になる楽しみです。
    佳乃と周五郎たちの絡みが面白く、読むのが楽しいです。
    345ページ
    2021.07.31~08.01読了

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    八頭司(やとうじ)周五郎は、徳川家譜代の豊前小倉藩小笠原家15万石の重臣の次男ですが、剣も遣え、学問も出来、人柄も良いため、藩内の改革派と重臣派から誘いがかかり、浪人してからも藩内抗争に巻き込まれて行きます。いまは、照降町の鼻緒屋主人・佳乃のもとで鼻緒屋の見習いとして働きながら復興の舵取を行っています。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ※シリーズの感想と読了日
    己丑(きちゅう)の大火 ー 照降町四季シリーズの2作目 2021.07.16読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/416791686X#
    初詣で ー 照降町四季シリーズの1作目 2021.06.02読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/416791669X#

  • シリーズ3作目
    焼け野原の照降町の復興が始まってきたが、その中で次々と佳乃がアイデアを出し、復興を盛り上げてゆく。梅花花魁との下駄も、職人や色々な支援があり素晴らしい下駄が出来上がり、お披露目も派手には行われる。佳乃と住み込み弟子の周五郎が住む家も他の店に先駆けて完成する。
    一方、その裏で弟子の周五郎には、元の藩の派閥の両方から加わるように申し入れがされ、断ると刺客が次々と差し向けられる。これから照降町の復興や師匠と弟子の間は進展するのかという時に、佳乃や他の人々が心配するように周五郎が藩に戻りそうな事件が起きる。
    シリーズは後1作のみ。どういう結末か、凄く次回作が気になる。

  • 2021年6月文春文庫刊。書下ろし。シリーズ3作目。佳乃が下駄に書いた梅の絵がどんなものなのか、とても気になります。周五郎にまとわりつく武家社会のしがらみ問題が表面化。うまく切り抜けられるのかというところで、次巻へ。ガタピシとした響きの悪いタイトルだと思ってましたが、やはりバイカゲタと読むのですね。ウメハナかなとも思ってましたが。

  • 感想は最終巻で。

  • シリーズ3作目。

    悲しいことはあるけれど、
    悪い人が出てこないながら
    飽きることなく読んでいます。
    強く生きる人々は時代なのだろうか。
    こんな風にひとと繋がっているというのは羨ましくもある。

    花魁道中は何故だかやたら胸に響いた。
    女性が活躍するって特別なことにならない時代がくるんだろうか、


  • シリーズ三弾。照降町が大火で消失し、復興に心身を尽くす鼻緒屋の主従の姿を描く。
    鼻緒屋の女主となった佳乃は、吉原の梅花花魁の依頼で今までにない下駄を作る事になる。やり甲斐のある仕事に打ち込む佳乃。やがて梅花花魁との仲が深まり、照降町で花魁道中をするという案を実現させる。
    そんな中、周五郎は藩の内紛に巻き込まれていく。
    周五郎の今後が気になる。

  • 著者の王道パターン。最後は大円団を期待してます。

  • 佳乃も周五郎も照降町の恩人として皆に慕われ、仕事もバリバリこなして格好良い。常に別れを予感させる周五郎ですが、最終巻に向かって加速して行ってるのかな。とにかく皆が幸せなラストになるといいなと願っています。

  • ラストスパート、佐伯泰英渾身の作品もあと2冊
    (だけど手違いで最終巻を読み終えてるしww)
    大火で焼け落ちた照降町だが、佳乃の命を懸けて
    守った梅の神木から大きな物語が始まる
    (町を武力で守った周五郎にも藩の迷惑が降る)

    手短に言うと、照降町復興に、瓦版に長屋の奮闘
    と女神佳乃の美談、船商売発案で花緒で大儲け、
    江戸復興のシンボルに美談の神木騒ぎが芝居に、
    花魁梅花の三枚下駄を全く目新しい物にするとい
    う大プロジェクトを一任されて、手すさびで描く
    絵を下駄の歯に飾る、その舞台を照降町の神木で
    佳乃も一緒に演出するという・・・面白い!

    本物の感動と興奮を、芝居脚本に書けるものなの
    か、ラストで兄が急死して藩のもめ事が周五郎に
    どのように降りかかってくるのか、鼻緒の師弟は
    果たしてどのような関係になるのか次が楽しみ!
    (だけど、手違いで最初に読み終えている悲劇!)

  • 佳乃さんは、どんどん活躍するねぇ。

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著者プロフィール

佐伯 泰英(さえき やすひで)
1942年福岡県北九州市八幡西区生まれの小説家、写真家。日本大学藝術学部映画学科卒。当初は冒険小説や国際謀略小説を中心としたミステリー小説を執筆していたがヒットに恵まれず、編集者からの勧告に従って時代小説家に転身。初の書き下ろし時代小説『瑠璃の寺』がヒットし、以後作家活動は軌道に乗っていった。
代表作として、『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』のタイトルでドラマ化された『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズ、『吉原裏同心』シリーズなど。

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