- Amazon.co.jp ・マンガ (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784168110139
感想・レビュー・書評
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全5巻読んだ感想。
神戸とドイツを舞台に第二次世界大戦の時代を生きて、死んでいった3人のアドルフと彼らと関わる日本人の話。
内容が内容だけにおもしろかったーっ♪て感じではないけど
力作というか名作というか、さすがだなぁと圧倒されます。
改めて歴史の勉強にもなるし、ナチスだけでなく現在まで続くパレスチナについても、何ともいえないわだかまりを感じますね。
違うことを理解して認めるということはなんて難しいのだろう。
人種とか宗教とか生まれた国とか。
いろいろやりきれなくて悲しくなる。
戦争しても解決することは何もなく、救われる人も誰もいない。
神戸が舞台なのは話に入りやすくて楽しかったけど、
最後の大空襲が余計に辛かった。
アドルフは3人とも歪んでしまったままだったなぁ。 -
#2520-282
#3033ー90ー328 -
こんなに興奮するくらいおもしろいなんて・・・。
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終戦記念日には少し遅れましたが、全巻読みました。本作は、戦争と命の尊さを描き続けた手塚治虫の重要なライフワークです。ヒトラー政権下のユダヤ人迫害や、戦時中の惨禍、芽生える恋と喪われていく命…これらの描写に気圧されてしまう凄みを持った描き方は、やはり手塚先生だなぁと。(ラスト間近は少しドタバタしてはいますけれど。)
「正義とは何なのか」これが本作の重要なテーマだと思います。史実に則りながら手塚治虫のキャラクターたちが第二次世界大戦、戦後を生きていく…。そこでは数奇な運命の糸のもと、さまざまな人間ドラマが描かれますが、どこまでも、どこまでも遣る瀬無い…。正義とはなんなのでしょうか。私たちは何を信じて生きればいいのでしょうか。
一読の価値どころか、何度も読む価値、あります。 -
これは面白いなーと思っていたら、歴史的に間違っていると指摘を受けたことがある。どうやら、フィクションとして読まなければいけないようだ。
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全5巻
非常に重い内容です。
読むのがしんどくなる。
人が人の優劣を決め、生殺与奪を繰り返す、
こういう時代が現実にあったのだと考えると
恐ろしい。
でも、ナチスが滅んで、第二次世界大戦が終わっても、
今も尚、世界中で思想の違いなどによる戦争で
人の命が奪われている。
人とはなんと愚かなんだろう。 -
ナチス総統アドルフ・ヒトラー、在神戸ドイツ領事の息子アドルフ・カウフマン、そして彼の親友であるユダヤ人アドルフ・カミル。“ヒトラー出生にまつわる秘密”と歴史に翻弄される3人のアドルフたち。マンガというより大河小説を読んでいるかのような錯覚を受ける、手塚ワールドの真骨頂。随所に性描写が入っているのは意外だったが、確かに思い出すと昭和の漫画って色っぽかったかも。リアルに描かれているわけではないけれど、レイプも含むので、子どもに読ませるなら事前に再読を~(うちは先に読まれちゃったけど)。
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(全5巻だが第1巻にレビューを書く。)
覚えておくこと:
日常語としてでさえ「正義」という言葉が話題にあがったら、十分に身構えること!自分がもし強い信念を持ったらよく点検すること!宗教対立は自分にはピンとこないが恐らくこのあたりが解決のポイントだ。
…という自分の強い信念は大丈夫だろうか? -
B・Jを凌ぐかもしれない大傑作。
手塚治虫の才能は、B・Jよりこっちのほうがより発揮されてる気もする。
高校時代に読んで、本っ当に天才だと思った。
読みおわった時、ドラマチックっていう言葉はこの作品のためにあるんだと思いました。
身体の芯から震えたのも、漫画読んで理由も分からず泣いたんも久しぶりだった。 -
ユダヤ人であることが何を意味するのか、ユダヤ教徒と「ユダヤ人」を漠然と隔てて考えるだけの私たち日本人の多くにはピンとこないのではないか。ユダヤ人はネーションステイト誕生以前から国亡き民として存在し、およそ政治的・文化的・宗教的・アイデンティフィケーションのうえで選択される(あるいは選択させられた)社会集合(エスニック・グループ)であると私は把握している。
この物語には表紙にあるアドルフ・ヒトラーと二人のアドルフが登場する。一人はドイツ人外交官の子として将来を嘱望されるエリート、もう一人はユダヤ人の息子として日本の学校で差別も乗り越えてたくましく育つ。幼い頃、神戸で旧知となった二人のアドルフが、ヒトラーの登場、激動の第二次世界大戦を経て、運命の糸に手繰り寄せられるように終戦の直前に再び巡り合う。
ナチス将校として反ユダヤを叩き込まれ、日本人を劣等民族としてドイツ国民の精神とアーリア人の血を誇りとするようになったとき、ドイツ人から日本人に戻った母とユダヤ人として日本人とともに生きる旧友に何を思うのか。かねてより黒人や人間未満に類される対象を意図的に描いてきた彼の「日本人というもの」へのまなざし、自責の念をひしひしと感じずにはいられない。
本作における結末には、エミール・クストリッツァの傑作映画『アンダーグラウンド』がオーバーラップする。血で血を洗う人の歴史のあさましさ、そして、むなしさ。昭和を生きた男・手塚治虫の行きついた「戦争」に対する一つの回答といっても過言ではないと私は思う。
フォローしてくださってありがとうございます。
本棚の中にこの本を見つけて、嬉しくてコメントしています。
1の表紙をupされて...
フォローしてくださってありがとうございます。
本棚の中にこの本を見つけて、嬉しくてコメントしています。
1の表紙をupされてますが、最終巻まで読まれたのですね。
途中でやめると気になって仕方が無い本ですものね。
このモチーフですから【良いお話】の分類には決して入りませんが、
読み終えた後の虚脱感が、妙に納得がいきました。
日本は単一異民族だし、植民地化されたこともないし言語もひとつだし、
分かろうとしてもとうてい分かりえない部分が多すぎます。
分かることがひとつあるとしたら、戦いは何も生まないってことですか。
また素敵な本を読まれましたら、教えてくださいね!