- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198605391
作品紹介・あらすじ
村娘狭也の幸せな日々に、影を落とすのは昔の記憶…「鬼」に追われた六歳の自分。十五になった祭の晩に、「鬼」はついに追いついた。『おまえは「闇」の氏族の巫女姫だ』と告げられて、憧れの「輝」の宮に救いを求める狭也。だが、宮の神殿で縛められて夢を見ていた「輝」の末子、稚羽矢との出会いが、狭也の運命を大きく変えていく…神々が地上を歩いていた古代の日本「豊葦原」、光と闇がせめぎあう戦乱の世を舞台に、「水の乙女」と「風の若子」の冒険と成長、運命の恋を描き、圧倒的な人気を博したファンタジー。10代から。
感想・レビュー・書評
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村で暮らす狭也は、幼いころから「鬼」に追いかけられる悪夢から逃れられないでいた。
ある日、村の祭りに訪れた楽人を装う一行に、自分の出自が村を統治する「輝の一族」に抵抗し、「土ぐも」と卑しまれる「闇の一族」であることを知らされる。自分の運命を受け入れられず、「輝の一族」の采女として神殿に仕えることを望む狭也。しかし運命は彼女を大きな争いの中に巻き込んでいく。
ファンタジー好きを自認していたが、実は日本のファンタジーを読んだのは大人になってからで、上橋菜穂子さんの『守り人』シリーズは完結してから手に取ったし、小野不由美さんの『十二国記』シリーズも読みだしたのはつい数年前である。
本書の作者である萩原規子さんは、上記の二人と並ぶ代表的な日本ファンタジー作家なのだが、失礼ながら存じ上げず、先日読んだ『この本、面白いよ!』でおすすめされていたので、初めて手に取ったしだいである。
本書は、古代日本神話のイザナキノミコト、イザナミノミコトの話をベースにしている。
「輝の一族」は、イザナキから生まれ出たアマテラスとツクヨミ、スサノオをモデルとした不死の一族で、「闇の一族」は、黄泉の国に行ったイザナミに仕え、地上の八百万の神を奉る有限の命の一族である。「輝の一族」と「闇の一族」の闘いは、大和朝廷とそれに抵抗する蝦夷との闘いにもなぞらえられる。
本書はまた、「闇の一族」の中で「輝の一族」を滅ぼす剣をコントロールすることができる「水の乙女」狭也と、「輝の一族」のはずれ者であり、スサノオをモデルとする稚羽矢の純愛物語でもある。彼女たちの純粋な愛が、国を二分する戦いをどのような方向に導くのかというところが本書の見どころの一つとなっている。
図書館では10代の若者向けに分類されているが、文字は細かくページ数も多い。それでも、続きが気になって一気に読んでしまった。うっすらとだが神話のあらすじを知っていたため、ああ、あのストーリーをベースにしているのだな、と理解しながら読んだが、知らなくても十分楽しめる。
ただ、主人公の狭也のキャラクターがいまいちつかめなかった。気が強いところがあり、物語を積極的に引っ張っていく立場なのかと思いきや、行動は受動的である。また、物語の始めの方はもっと活躍すると思われた月代王も、中盤から影が薄くなっていく。神話の中で月代王のモデルであるツクヨミはそもそもあまり登場しないうえ、「陰」の立場の月代王は、「闇の一族」とやや立ち位置がかぶってしまうのが原因かもしれない。そこは神話をベースにしたことによるストーリー上の弱さが生じている気もするが、ページをめくらせる力は十分にあるし、読んだ後は改めて『古事記』をおさらいしたくなる。
本書は「勾玉三部作」としてシリーズ化されているようなので、次作も読んでみたい。 -
中学生の頃に読んで、すごくすごく惚れ込んだ作品です。
ファンタジーといえば、海外ものがメインだった私に、日本のファンタジーの魅力を教えてくれた気がします。
日本神話をベースにした、とても幻想的な物語でした。
大好きだったけど、十年以上読んでいないと内容も綺麗に忘れてしまうものですね。新鮮な気持ちで読めました。
光に焦がれる闇と、闇に惹かれる光。
切なくて、それでいて共感できて、胸が締め付けられるようでした。
最後の神様たちの掛け合いがすごく好き。日本語の美しさに思わずうっとりします。それに、自然の美しさにも心が洗われるかのよう。
自分の役割について。死について。愛について。
主人公と一緒になって幼心にかえったように考えていました。
読み終わった後は、自分も大きな冒険をしてきたような気持ち。
闇と光のコントラストがやっぱり美しい。
日本人が古来から大事にしてきた自然を慈しむ気持ちが全体にあるのもいいですよね。
再読してみて、やっぱり好きだなと思わずにはいられない作品でした。
これがデビュー作とは、驚きです。 -
25年ぐらい前に読んで、何度読んだかわからない。調子が悪くて寝付けないときに、冒頭から場面をひたすら思い出して行く。その度、自分の頭の中の情景が詳細になる。おそらく、自分の核を作った本だと思う。
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ふと日本のファンタジーが読みたくなって、本棚に随分眠らせていた本書を引っ張り出してきました。
荻原規子作品はエッセイしか読んだことがなく、物語は初めて読みました。
子供時代に読もうとしてはみたものの、「ファンタジー=外国のお話」という感覚のあった当時の私には、なかなかとっつきづらかったようです。
神々がまだ地上にいた時代を舞台にした物語は、今読むとすんなり受け入れられ、むしろ肌に馴染む感じすらするのでした。
「輝」と「闇」。
互いの世界に焦がれる少女と少年の姿は、それぞれの背負う宿命の重さゆえに、一層まぶしく見えました。
本書と直接関係ないのですが、30代を間近にしてファンタジーを読み始めるのに随分覚悟と体力が必要になったな…と感じました。
一旦読み始めちゃえば、どっぷりはまってしまうのですが…。 -
学生時代に出会った一冊。難しそうな印象だったが読み始めるとするすると世界観に引き込まれあっという間に読み終わってしまうほど面白かった。
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ファンタジーもののオススメでよくみかける本書
さすがに面白いっ!!!
やっぱり古事記を読んでいる方がより面白いと思います~
黄泉の国での伊吹王♡と赤星(┳◇┳)泣けたぁ~
最終章
輝(かぐ)の大御神と闇(くら)の大御神
照日(てるひの)王と月代(つきしろの)王
稚羽矢と狭也
それぞれの行末にキュンキュン
+♡:.(っ>ω<c).:♡+
闇の氏族の王たちはじめ登場人物もほんと魅力的(♡ω♡)
大好物♡の日本神話ファンタジー♡ -
休み時間図書室に通い詰め人生で一番読書していたであろう小学生の頃に読んだ。
この本よりも面白い作品も読んだとは思うがこの本を越える”読書体験”は経験していない。
本を手元に置いていないので今では内容は朧げだが時間も場所も忘れ本に向かっていた、そしてこの場面だけは強く覚えている「主人公が稚羽矢のことを疑ってしまった」シーン。完全に本の世界に感情移入していた私は突然座っているデスクチェアの背もたれがなくなり背後に大きく開いた崖に落ちるような絶望を覚えた。鳩尾の奥が冷え足が震え周りがとてつもない闇に感じた。それが逆に現実の自分を強く意識させてしまい目覚めたように新鮮に周りを見回し自身の心拍とデスクライトの光を強く感じたことを酷く客観的に記憶している。
もう十何年も前のことでバイアスのかかった記憶なのかもしれないがこれを越える体験が無いのは確か。その後記憶にある似たような体験は衝撃的な夢から目が覚めたときくらいだろう、まさに夢見心地で本を読んでいたのか。
今そんな体験ができないのは集中力も感受性も低くなってしまったからなのだろうか?全身溺れるように読書し、あのときのような読書体験をしたいと思いながら本を開いている。 -
中学生の時読んだ。
あの時の、読んだ後の気持ちを忘れたくない。
狭也になりたかった。
稚羽矢が好きだった。
国語便覧の和歌をストーリーと合わせて、授業中ひとり楽しんでた。
中学生女子は読むべきだと思う。 -
私の人生を変えた本です。
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友人にすすめられて読んだファンタジー。主人公と一緒にドキドキハラハラ、冒険ができて大変楽しかった。ラストはなかなか壮大で、独特の世界観があって好き。
いつもいいねをありがとうございます!
私も海外のファンタジーしか読んだことがないのでこちらに興味を持ちました!
ありがとうござ...
いつもいいねをありがとうございます!
私も海外のファンタジーしか読んだことがないのでこちらに興味を持ちました!
ありがとうございます!
また今後とも参考にさせてもらいますね(^ ^)
いつも本棚の本を参考にさせていただいています。
まだレビューは追いついていないですが、勾玉三部作...
いつも本棚の本を参考にさせていただいています。
まだレビューは追いついていないですが、勾玉三部作の最後の「薄紅天女」を先日読み終えました。
とってもまっすぐで読んだ後明るい気持ちになれるシリーズです。
ハイジさんは歴史もお好きみたいなので、面白いと思いますよ。
レビュー楽しみにしています。
ようやくこちら読みました!
とても楽しめました♪
分量の割に、ストーリー展開のテンポが良いのか、...
ようやくこちら読みました!
とても楽しめました♪
分量の割に、ストーリー展開のテンポが良いのか、
気にならないくらい読みやすかったです。
他2部も読みますね~!
ありがとうございました!