- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198629717
作品紹介・あらすじ
「日本は財政破綻寸前」「公共事業は廃止せよ」「ムダを仕分けしろ」…バカ経済論が日本を滅ぼす!巷で人気の経済政策はデフレを悪化させるだけ!気鋭のエコノミストがいま取るべき真の道を示す。
感想・レビュー・書評
-
図解の詳しい版。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「デフレ下においては、生産性を高める必要はまったくない」ってのは新鮮な言説だな。賛同しかねるが
-
先週の金曜日にペイオフ制度が発足してから初めて銀行が破綻しました、1000万円以上の預金者は超過分は保証されないということで早くも苦情が出ているようです。明日の月曜日から払い戻し作業に入るのでしょうか、今後の展開が興味深いところです。
今回破綻した銀行に限らず、日本の銀行は預金者の預金のほとんどを国債で運用している思いますが、今回の銀行の破綻が国債の金利にどのように影響するのでしょうか。さて、今回読んだ本は政府負債と日本国の負債は異なると主張している三橋氏が書かれた本です。
もう何冊も読んでいるので今回は中古で買ってみました。デフレ下で有効な政策とインフレ下で有効な政策が異なるのは、理論ではわかっても実際に仕事をしている人にとっては今までの先輩や自分の最近の過去を否定することになるの、なかなか方向転換は難しいのではと思います。まあ、この数年で定年延長をされてきた最後の世代が全員会社から去ることになるので、そのときに大きな変化を迎えるかも知れませんが。
以下は気になったポイントです。
・政府の「大きい小さい」は、政府最終消費支出が名目GDP全体に対して、どの程度の割合を占めるかを計算して測る(p22)
・財政健全化を求めた結果、財政がかえって悪化した、小さな政府を求めた結果、政府は逆に大きくなった(p25)
・過剰貯蓄が発生し、銀行が国債で運用しなければならない環境下だからこそ、日本国債の金利は低い(p34)
・乗数効果とは、政府が投じたお金がフロー上でなんども回転して、GDPを当初の金額以上に拡大する現象をいう(p50)
・利益が出る事業については、デフレ期であろうがインフレ期であろうが民間事業がやるべき、財政健全化、構造改革、生産性向上、増税、小さな政府等はインフレ期にこそふさわしい(p53)
・平均時速が下がると自動車の燃費が悪くなりエネルギー効率は悪くなるが、それにかかわらずGDP当りのエネルギー効率がトップクラスの日本の省エネ技術は凄い(p55)
・貨物については高速道路と自動車という組み合わせがベスト(p58)
・ギリシヤは経常収支赤字国(対外負債が積み上がれる状態)で、国民は貯畜不足、為替レートという安定化装置が働かないユーロ通貨使用、また金利もECBに移譲していて金利抑制が不可能(p65)
・日本の財政赤字、900兆円突破とは、フローとストックをゴチャ混ぜにした表現、財政赤字はフロー、900兆円はストック上の話(p67)
・ルクセンブルク等の欧州金融立国は、2008年10月に金融機関の会計手法を変更して、証券化商品などについて、「満期保有目的」とすることで時価会計の対象外にした(p74)
・日本銀行は株式の55%を日本政府に保有されている、日本政府が日銀に金利を支払っても、連結決算時に相殺される、日本政府は国債を日銀に買ってもらうことで利払い負担から解放される(p80)
・バブルとは、資産と負債が同時に「急速なペース」で増大していくこと、負債の急激な増大がバブル経済の本質(p98)
・国鉄民営化も通信自由化も、需要に対して供給が不足していた状況で実施されたから成功した(p120)
・現在の日本のようにモノ余りに陥っている国において、生産性の向上は望ましい解決策ではない(p123)
・財政健全化とは、あくまで好景気の結果であり、本来は目的化するものではない(p125)
・政府の負債が対内債務(国内からの借入の場合、問題は「インフレ率」であり、負債残高でない(p130)
・橋本政権以降の日本政府は、問題の真因を勘違いして、「緊縮財政→デフレ悪化→財政悪化」の悪循環を繰り返してきた、真因が「民間の資金需要がない」ことを把握できなかった(p164)
・ユーロ圏内で為替レートの変動が起こらない以上、ギリシアはドイツに対していくら貿易赤字を拡大しても(対外負債を積み上げても)通貨下落は訪れない、これは、ドイツは永遠に対ギリシア輸出を拡大できるということ(p182)
・中国の現在の為替レートは、対ドル固定相場制であり、2008年に管理フロート制を終了した(p192)
・日本と中国の対外資産を比較すると、2009年末時点で、日本は562兆円(外貨準備高:105)、中国は328兆円(同:232兆円)、中国の外貨準備高が増加しているのは、中国当局が民間から対外資産を買い続けているから、理由は対ドル固定相場を維持するため(p194、196)
・平成21年度の経常収支は、15.65兆円の黒字、内訳は貿易収支:6.6の黒字、サービス収支:1.8の赤字、所得収支:11.9の黒字、経常移転収支:1.07の赤字である(p234)
2010/09/12作成 -
三橋さんの本は二冊目。公共投資がデフレ経済を救う唯一の道らしい。ほとんどの政治家が主張するのはインフレの政策であって、「公共投資をすれば国債の発行額が増える、、、将来の子の世代に負債を残すのは、、、ギリシャの様に財政破たんする、、、」と反対されいつまでたっても日本の景気は良くならない。
-
日ごろのメディアの流す情報を見聞きしていると、
イメージ先行でなんとなくメディアの言っていることが
正しい気がしてしまうことがあるが、本当にそうなの?
って見方で経済を眺める時に読むにはいい本。 -
・デフレギャップを解消する為には、公共投資の拡大しかない
・現在の日本の規制緩和、ムダの削除、生産性の向上は、インフレ対策であり、まずますデフレをひどくする
・財政健全化を目指すと、かえって財政を悪化する
など。
主張が明快で、読みやすい本。