触法少女 誘悪 (徳間文庫 ひ 25-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198943110

作品紹介・あらすじ

母親を殺害し少年院送りになった九子は、2年足らずで仮退院を迎える。退院の朝、警視庁の女性刑事が九子を訪ね、同級生だった井村里美が自殺したと告げる。衝撃を受ける九子。さらに社会に出た彼女を待ち受けていたのは、想像を超えた周囲の反応だった。贖罪と更正が不充分との批判があがる一方、彼女を神格化するオタク集団も形成されていた。九子は、里美の死の真相を探るが…
ベストセラー「触法処女」の続篇! 書下し長篇ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • ヒキタクニオ『触法少女 誘悪』徳間文庫。

    あの衝撃の問題作『触法少女』の続編。文庫書き下ろし。なかなか読ませてくれるミステリー作品だ。独特の変な空気が漂う物語は捻りに捻られ、全く予想もしなかった展開へと…

    母親を殺害し、少年院に収監された美少女、深津九子は二年足らずで仮退院を迎える。退院の朝、女性刑事の朝霧が九子に伝えてたのは、同級生の井村里実の自殺だった…

    『遠くて浅い海』に優るとも劣らない面白さ。ヒキタクニオの作品には独特の面白さがある。決して、気を抜いては読めない。

    • hs19501112さん
      「触法少女」は…、一気読みする勢いで引き込まれはしたものの作品全体としては不満の方が大きい作品でした。

      ・・が、このレビューを拝読し、...
      「触法少女」は…、一気読みする勢いで引き込まれはしたものの作品全体としては不満の方が大きい作品でした。

      ・・が、このレビューを拝読し、続編も読まねばなるまい!という気持ちになりました(笑)。
      2018/08/29
  • 触法少女の続編。
    ワクワクしながら購入したものの…
    あれ?
    なんか違う。
    背景は、ネット社会を中心としたストーリー。
    ページを捲るのも滞り、やっと読み終えた。
    期待してて読んだけど、期待し過ぎたのかも…。
    '18.07.07読書完了

  • 触法少女の続編。
    触法少女の衝撃を再び・・・という期待で手にしたこの作品。
    児童虐待が子供にもたらす頚木、虐待の連鎖を恐れるあまりわが命を絶った女性、大人になっても親との関係を決着させられずに苦しむ者たちそれらに加え、匿名性の陰に隠れ繰り返される壮絶なネットリンチなど社会派小説でありながら、里実の死の真相は?古田の正体は?とサスペンス要素も十分で、終始重苦しい雰囲気の中、誰が敵で誰が本当の味方なのか疑心暗鬼、最後まで息がつけない中での一気読み。
    今回も十分楽しませてもらいました。

  • うーん、前作のほうが好きだったかな。九子ちゃん、なんだか素直になっちゃって、せっかくの強烈なキャラが前作ほど生かしきれてないなあと感じました。「9」のメンバーのキャラの濃さは読んでてドキドキするけど、結局回収しきれない伏線とか必要なかった設定とかがけっこうあってもったいなかった気も。
    あと、里美ちゃんの死の真相はたしかに意外で、そっちはそっちでけっこう重篤なテーマだと思うので、そっち側をもうちょっと主軸にしてもよかったんじゃないかな、とは思いました。



  • 母の虐待に耐えかね、未成年の殺人に対する求刑を利用し、母を殺害した主人公九子。人を殺しても罰せられない魔法、刑法第41条。
    前作からの続編。
    少年院から仮退院をするが。
    塀の中で過ごした2年の間に世間は大きく動いていた。ネットリンチ。
    罪を償う。しかし、それで全てが清算されたわけではなかった。

    久しぶりのヒキタクニオ作品を読んだけど、ピリついてんなー。常に雨か曇天という感じだな。
    現実は甘くないってのが、ヒシヒシと伝わる。

  • 触法少女の続編。続編となると通常,色褪せてしまいがちだが本作は前作同様読み応えのある物語でした。
    あらすじ(背表紙より)
    母親を殺害し少年院送りになった九子は、二年足らずで仮退院を迎える。退院の朝、警視庁の女性刑事が九子を訪ね、同級生だった井村里実が自殺したと告げる。衝撃を受ける九子だが、社会に出た彼女を待ち受けていたのは、さらに想像を超えた世間の反応だった。贖罪と更正が不充分との批判の一方で、彼女を偶像化するヲタク集団も活動していた。九子は里実の死の真相を探る。書下し長篇推理。

  • 触法少女の続編
    テンポの良い展開で読みやすい。
    思ってもみない者が犯人だったりして楽しめた。

  • 「触法少女」の続編でした。
     物語は、触法少女ではなく、少女として殺人を犯した九子が少年院から出てくるところからの話。

     この二年の間で、九子の周りは勝手に様変わりしていた。
     インターネットが普及し、九子の情報が勝手にアップされ、勝手に「ファン」と名乗るモノたちが九子をめぐって争いを繰り広げていた。

     そして、九子を崇拝し、止めを刺していた里実の死。
     一般には自殺になっているそれを、九子は
    「里実は自殺をしない」
     という思いから、真実を探り始める。

     という話でした。
     切実な気持ちに駆られた、どこか非現実的な未成年の犯罪、から檻で囲まれたある種守られた空間にいた九子が、「現実」というものに直面する話でした。

     なんというか……面白いとは思うんですが、残念ながら、私の求めていた方向性とはズレちゃって、ちょっと残念だなあ……と面白くないわけじゃないんですけどね。
     理想と現実、という感じを突きつけられた気がして、エンターテイメント性を求めて読んじゃうとダメだなあ……と思いました。(この手の本にエンターテイメント性を求めるのは少々不謹慎なのは理解しつつ)

  • 最悪な虐待は親による子ども殺しとあったけど、まさか虐待と無縁だった里実に降り掛かるというのはやりきれない。花器子が里実と自分の母親の殺人を求めたとき、朝霧が九子に晴子のことを「お母さんという呼称がつくと、ちゃんとしてるみたいだけれど、そんなもの、外したら、ただの若い女かおばさんなのよ。常識もなければ、自分のことしか考えられない、そんな母親はいくらでもいるわ。井村里実が事件を起こした後の対応は、世間知らずそのものでしょう。あなたに対しても‥‥‥」と言う。それは最悪なカタチで現実になってしまう。オイラとしてはネット社会やネット住民に対する気味悪さよりも肉親が大人になってないじゃんか、という気味悪さが強かった。ネット社会になっていなくても世の中はきっと大人らしくない大人が溢れていることには変わらないんじゃないかな。オイラも含めて。だからこうしたものが物語になるんだろうけど。ところで、朝霧が退院直後から九子に近寄った根拠がよくわからない。花器子が里実を屋上から突き落としたのは自分だと言う必要性がわからない。オイラの読解力なんだろうけど、こういうときこそネットに頼って解説を探してみよう。

  • 九子のキャラクターが弱くなってしまって残念



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著者プロフィール

1961年、福岡県生まれ。イラストレイター、マルチメディアクリエイターとして活躍後、「凶気の桜」(新潮社)で小説デビュー。2006年「遠くて浅い海」(文藝春秋)で第8回大薮春彦賞受賞。

「2018年 『触法少女 誘悪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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