ゴーストアビー (YA Dark)

  • あかね書房
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本棚登録 : 49
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784251066619

作品紹介・あらすじ

この館には何かいる。戦慄のゴシックホラー。いわく付きの元修道院に移り住んだマギーとその家族。ある日、闇からの歌声に誘われて、マギーは恐ろしいものを見てしまいます…。

感想・レビュー・書評

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  • 母を亡くし、一家の主婦のように父と双子の弟との生活を支えるマギーは12歳。父の仕事の関係で元修道院に引っ越すこととなるのだが…。
    貧しく、どん詰まりな日々から抜け出せるのではと期待しての転居だが、いわく付きの元修道院(アビー)、不気味さが付きまとう。でも、同居人となる管理人の独身女性、ミズ・マクファーレンと関わりながら、少しずつ新生活は軌道に乗り始める。…ま、たまにぞわっとするホラーな現象は現れるのだけど、それよりも、何だかんだありつつも家族がこの新生活を楽しみ始める描写がすごくよくって!
    何といっても、ウェストール作品の醍醐味でもあるフード描写!マギーが作るイギリス料理の数々が、実にうまそうなのだ!!
    マクファーレンは初めはエキセントリックな女性でマギーとも微妙な感じだったけど、互いに影響を受けながらいい関係を築いていく。妻を亡くし無気力だった父も、新しい環境でようやく前向きに働き始める。男気あふれる彼は一本気すぎて時にハラハラするが、やんちゃな息子や態度の悪い若者をびしっと叱る姿にはスカッとした。
    ひょんなことで知り合ったパーシーさんと犬のウルフが番人として雇われ、双子の相手役もしてもらえて一家は安泰(このパーシーさんとウルフ、要所要所で家族をピンチから救ってくれるのだ)。流れは上向きになっていき、そんなにホラーってほどでもないなと思っていたら…後半からアビーが牙をむき始める。背筋が寒くなるような事件が重なり、いよいよマギーもこの屋敷に住み続けることが怖くなってくるのだが…。
    話の着地が見えそうで見えなかったのだが、さすがウェストール!と言いたくなるラスト2行がたまらなく好きです。
    どの登場人物も、長所短所をいい按配に表現しているから、すごく人間臭いんだよね。特にマギー、しっかり者にならざるを得ない状況に置かれてるとはいえやっぱり12歳。時々子供らしい振る舞いが垣間見えたときはちょっとほっとしましたわ。
    女の子ながら勇敢なマギーにめっちゃ感情移入して読んでましたが、実はマギーの父親と自分、あまり年齢が変わらなかったという…。
    ウェストール作品に出会って20年が過ぎたが、いくつになっても10代の立ち位置で読んでしまうのよね。
    金原瑞人訳も相変わらず素晴らしい。スピード感があり、一気に読めた。

  • いかにも怖そうなタイトルやカバーだけど、ウェストールだし、別にホラーではない。 カバー絵だとまるで廃修道院に住んでいるかのようだけど、別にそうではなくて、改修した19世紀の館なのね。 でもまあ楽しく読めた。唯一、母親を失くしたからといって、12歳の女の子が一日中家事しかしていないという設定はどうなのよという気がする。女の子なら12歳にもなれば小さな主婦でしょうっていうのが嫌だ

  • 12歳のマギーは、父親と双子の弟の4人暮らし。

  • ウェストールの小説には幽霊がよく出てくるので、これもそうだろうと思って読んだら、このghostは日本で言う付喪神だった。
    付喪神は道具に魂が宿ったものだけど、こちらはアビー(修道院)に。はじめは少し怖い感じだが、アビーが意図したことががわかってくると、アビーを応援したい気持ちになる。
    読みどころは、思春期の少女の妻をなくした父を元気づけようとするけなげなところと、まだ大人の心を充分理解できない幼さと、父の新しい恋を認めたくない気持ちがたいへん上手く描かれていること。
    『かかし』の主人公ほど親の再婚に悪意を抱くわけではないが、それでも思春期の子どもにとって親の恋愛が、たとえ望ましい相手であっても、決して歓迎できるものではないことが伝わる。
    大人としては、育ちが良くて知的で、発展途上国に進んで暮らすような自由でリベラルな35才の独身女性と、軍隊も経験し、建築現場で働いてきた、妻をなくしてしょぼくれてる39の男の無器用な恋愛がなかなか良いな、と思う。
    ウェストール作品の中では明るく希望のある終わりかただけど、平凡で退屈な家で暮らすことも、時に恐ろしい意志を持つ古い修道院で暮らすことも、囚われているのは同じだと気づくあたりの皮肉な味わいはウェストールらしいな、と思った。

  • 母を亡くし父と双子の弟と共にマギーはアビー屋敷に住む事になるが、ミズ・マグファーレンと関わるうちに少しずつ父もマギーも元気を取り戻していく。しかしマギー屋敷は不気味なメッセージをマギーに送りつ続ける・・・・。

  • マギーは12歳の女の子。母親を亡くし、父親は元気がない。双子の弟たちはハチャメチャで、お手伝いさんは意地悪。ある日、父親に新しい仕事の依頼がくる。今の生活から抜け出せると喜ぶマギーだったが引っ越し先は古い修道院(アビー)だった。どこからか聞こえる歌声、不気味な部屋の数々、マギーにしか見えない亡霊。アビーはいったい何を伝えようとしているのだろう…。久しぶりにひたひたと迫る恐怖を楽しみました。ウエストールの巧みな心理描写から生まれる人の心に潜む恐怖。怖さだけでなく、マギーの成長もしっかり描かれているので、謎ときと一家の行く末を気にしながらぐいぐい読めました。家が生きてるという感覚が面白いです。

  • 表紙があまりにおどろおどろしいので悪い事が立て続けに起こる悲惨な物語なのでは…と身構えながら読み始めたが、そのようなことはない。意思を持つ古びた元修道院と主人公が心を通わせる物語といったらよいのか。

  • 金原さんの訳す本の女の子はみんな芯が強くて逞しい!
    テンポが良くてさくさく読めた。

  • マギーは、12歳にして主婦だった。ママが亡くなった悲しみから立ち直れないパパと嵐のような双子とのギリギリの生活。ある日、建築士であるパパに思い掛けない仕事の依頼が舞い込む。廃虚となった歴史的建造物(?)アビーの修復という大仕事だ。一家でアビーに移り住んだ途端、マギーは不気味な現象に出会うことに…。
    ウエストールらしい舞台設定。シンプルでわかりやすい展開。アビーに選ばれた少女マギーの、アビーに負けない勇気と行動力が魅力的。ラストも納得。怖さはそれほどでもないものの、よくまとまった面白い作品。

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著者プロフィール

1929~1993.英国を代表する児童文学作家の一人。「かかし」(徳間書店)などでカーネギー賞を2回、「海辺の王国」(徳間書店)でカーネギー賞を受賞。

「2014年 『遠い日の呼び声 ウェストール短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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