- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255820194
感想・レビュー・書評
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99006
坂本が哲学の教授から講義を受けるといった趣向。音や現在という時間の定義を極限まで追究する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2-2 音楽論
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かなり勉強になった。教授インテリ過ぎ(笑)
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哲学者大森荘蔵と坂本龍一による、認識論・時間論・音をめぐる対話。大森の語り口がやはり素晴しい。坂本龍一の紹介文は爆笑もの。
哲学的捉えるという事が、どういう事なのか、大森の静かな語りの中にそれは顕在している。真の知性とはこういうものらしい。 -
1982年なんで相当古い本なんですけど
今読んでも内容は全然新しいです。
多くは認識論かな。
知覚活動の話が多くて
聞こえるとか見えるというのは
振動なり光なりで物理現象はそれとしてあるけれども
それが結局、どのように人間に見えるということなのか?
という科学から一歩、人間に踏み込んだ問いかけに
まず引き込まれてしまう。
未来・現在・過去と言った場合の
それぞれはいったいなんなのか、
そもそも時間を現在なら現在の点で
科学のように静止した点で捉えた場合
そこは羊羹を包丁でスパッと切った場所のように
何も存在しえなくなってしまうので
「飛んでいる矢は実は静止している」
「アキレスとカメ」
のようなパラドクスに陥らないために考え得る
時間というものの概念は「領域」のようである
といった考え方は非常に面白い。
大森氏は「今頃」という言葉でそれを表現していた。
これに近い概念で僕が使っている言葉は何かなぁ
と考えてみたらアナログって言葉だなぁと思った。
例えば1秒を数学的に細分化していくと
どこまでも細かくなってしまうけれども
アナログの1秒は永遠に細かくされる1秒を
すべてその中に含有しているわけで
そゆ意味でその厳密に測定しきるわけではなく
だいたいそのくらいという曖昧さを残した
「アナログ」という言葉を僕はすごく好きで
それを発展させるためのヒントを少し得たかなと。
基本的に坂本龍一との対談の形式になっているので
いろんな哲学的思考が音楽に置き換えられていて
めっちゃ難しいことも噛み砕かれているので
これはいい本だなぁと。
大森氏の哲学は非常に人間的で
幾何学などは人間がいなかったとしても
成立し得る法則を描こうとしているわけだけど
それとは別に人の「生」というものを
あくまで人間の身体感覚のレベルから
大きく引き離すことを拒否しているところで
ある意味で非常に現代の文化に近いような気がする。
大森氏自身は
「新しい常識を作って
それを自分自身で実行しようと試みている」
といった内容を話しているんだけれども
そういったものが与えた影響は
少なくないのではないかと思う。
思想とアートという結びつきが
80年代初頭において
こういった形でなされていったのか
という意味でも非常に興味深いものがある。
ちなみに坂本龍一の写真が妙に若いのも面白い(笑)。
関係ないけど
この本をたまたま読んでたとこだったんだけど
昨日、NEWS23に坂本龍一・細野晴臣・高橋幸宏が出てた。
反戦ソングみたいなのを演奏してた。
正直、偽善っぽくてそういうのは苦手なんだけど
その音の密度というか
聞き流せないような感じは
巷に流れてるポップソングとは一線を画していて
こんなの哲学のない人間には作れないよなぁ
と思った。
ASA−CHANG&巡礼の「花」って曲を聴いた時みたいな
そんな衝撃があった。
それ自体は淡々と静かなのに
無理矢理に内面に入り込んできて
感情を掻き乱すような音楽。
ちょっと宗教音楽にも近い感じ。
巡礼の曲の方がもっとなんというか
聴いてて崩壊させられそうな怖さがあるかな。
3人のはもっとふわふわした感じだった。
ギターが小山田圭吾でこれまたよかったな。
NEWS23は何気にこゆのをやるから
そこは好きかな。
筑紫哲也のコメントはあんまり納得できません。
って、まぁそれはおいといて
この本は芸術を楽しむように読める
なかなかよい本ですよってことで。
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どやろ・