発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

  • 医学書院
4.05
  • (21)
  • (25)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 463
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260007252

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この本が指摘している事は多数派が社会を一方的に定義し、都合の良い答えを一つに絞って支配していることに対して客観的に見直しをすることができれば、共生環境を創れるということに成って行くだろう。
    ここでは社会が部分的に成らざるを得ない利己的利益を大きくすることを急ぐあまりに全体的利益が損なわれてしまうことを、自閉症と福祉を通して取り上げている。
    社会性という枠を設けてそこから外れてしまう人々をくくって支配し搾取することで、安全に利益をむさぼれる体制を作っている現状を、支配される側の視野から見るとどう見えるかを示している。
    現状社会には相対する裏表を対立させて、善悪としたり勝ち負けとしてしまうことで、円錐状の支配体制を作り上げようとする依存性があり、自閉症と診断された人はこうした外圧のためにコミュニケーションをそこなっているのである。
    つまり相対的な問題を一方だけに負担させると言う横車を押し通しながら、お前の障害によって損ねていると責任逃れをしている
    こうして問題点が見えてきたところで始めて適切な解決方法を創造できるはずで、どうすれば良いのかといえば、本格的に多様性を理解していくことである。その上で社会組織をどうするかと考えていけばいいだろう。
    当然目標は各自が対等で自在で競争のない、切磋琢磨しながら実験を楽しみ合う共生社会となるだろう。
    切り口や目線を変えれば現状の中で言葉すら見つからない状態になるから、新しい言葉を見つけたり創らなければならなくなるだろう。
    この本の著者も「~したい性・します性・せねばならない性」とか「一次情報」とか
    「モノの自己紹介」とか「夢侵入・所作の侵入・キャラの侵入」とか「水フィルター」とか「行動のまとめあげパターン・意味のまとめあげパターン」「手話歌」「自閉圏」などなど、深く広く部分と全体を理解する事で隠されていた別の社会性が見えてくる。

  • [ 内容 ]
    「過剰」の苦しみは心ではなく身体に来る!
    外部からは「感覚過敏」「こだわりが強い」としか見えない世界の豊かさを、アスペルガー症候群当事者が、脳性まひの共著者とフリーズしながら探る画期的研究。

    [ 目次 ]
    1章 体の内側の声を聞く
    2章 外界の声を聞く
    3章 夢か現か
    4章 揺れる他者像、ほどける自己像
    5章 声の代わりを求めて
    6章 夢から現へ
    7章 「おいてけぼり」同士でつながる

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 発達障害について、研究者が書いた本は非常に多いが、逆に当事者が書いたものは非常に少ない。
    本書とは本屋の店頭で出会い、少し中を読んだ後その場で購入した。

    本書の筆者はAS(アスペルガー症候群)の女性である。
    当事者研究というだけあって、その感じ方を当事者視点で説明しているため、非常に面白く興味深かった。
    ただ、読み物としては分かりやすいものの、ある程度は発達障害に関する知識を持っている方が読む事をお勧めする。

全29件中 21 - 29件を表示

著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター特任講師

「2023年 『当事者研究の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綾屋紗月の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×