ちしきのぽけっと (20) かき氷 天然氷をつくる (ちしきのぽけっと20)
- 岩崎書店 (2015年5月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265043705
作品紹介・あらすじ
埼玉県の長瀞では100年以上も前の明治時代から、山間にある池で氷が作られてきた。この氷づくり専用の池は、氷池とよばれる。むかしは何軒もあった氷屋さん(製氷業)は、いまは阿佐美さんの家(阿佐美冷蔵)だけになってしまった。この阿佐美さん一家の、天然氷づくりを追ったフォトドキュメント。
感想・レビュー・書評
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「埼玉県の長瀞(ながとろ)では、100年以上もまえの、明治時代から、山の谷間にある池で氷がつくられてきた。この氷づくり専用の池は、氷池(こおりいけ)とよばれる。
このような天然氷をつくる氷屋(製氷業)もいまでは全国で数軒、埼玉県では、阿佐美さんの家だけになってしまった。
冬のあいだ氷池でつくった氷を夏までとっておいて、いまも売っているのだ。」
本書では、阿佐美さんの氷池の様子を、夏過ぎの氷づくりの準備から、11月の水入れ、1月から2月までに3回行う氷の切り出しなど、その作業の様子や方法を丁寧に追う。
「天然氷」という言葉を聞いたことはあったけれど、ふぅん、自然にできた氷なのかぁと思ったぐらいで、深く考えはしなかった。昔、氷室というものを使って、冬の氷を保存していたらしいということは知っているが、随分溶けただろうなぁというくらいの想像しか及ばない。昨今、かき氷ブームなんかもあったように思うが、そんな中でも名に聞いた「天然氷」とは、かくも手間ひまのかかる品であったか。
電気の力で凍らした普通のかき氷であっても、1000円以上したりする世の中であるが、このようにして作られた「天然氷」であれば、それなりの値段がついてもいいと思った。
そもそも、「天然氷」というからには自然の寒さを利用して出来る氷なわけだが、どこが天然というのかというくらい、作る人の手間暇がかかっているのだ。まず、氷を作る以前に、周囲の草の刈り取り、氷池の掃除、保全。そして水を入れた後も毎日の見回り、落ち葉の掃除。雨や雪が降ったら氷の質が落ちるので、やり直し。雪が積もれば、その雪を取らねばならない。
確かに水を凍らすのは気温の低さであるが、存分に人の手がかかっている。なんなら電気で凍らした氷よりも人の手が入っているのだ。
その労力や、計り知れない。この仕事を続けている阿佐美さんを尊敬する。
今は、「天然氷」ということに価値を見出すことが出来る世の中だと思うが、高度経済成長期などはどうだったのだろうか。経済性と効率化が最優先された時代においては、困難や迷うこともあったのではないか。
けれども、阿佐美さんの祖父が作ったという氷池を保全する阿佐美さんを、かき氷が大好きだったというおじいさんの話を、今年初の氷を手にして満面の笑みの阿佐美さんのご両親を、阿佐美さんの仕事を手伝うご子息の写真を見るにつけ、とてつもなく力強い家族の信頼だとか、脈々と受け継いできたものの力だとか、そういったものを感じて、大丈夫という気になった。
中でも、阿佐美さんとお父様のかき氷を食べている写真が素晴らしい。
埼玉は遠いのでなかなか行けないけれども、食べてみたいな、天然氷。
ちなみに、「てんねんごおり」ではなく、正式な呼称は「てんねんぴょう」というらしい。
そして、天然氷が溶けるときに見られるチンダル像(アイスフラワー)がとてつもなく可愛い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「埼玉県の長瀞では100年以上も前の明治時代から、山間にある池で氷が作られてきた。この氷づくり専用の池は、氷池とよばれる。むかしは何軒もあった氷屋さん(製氷業)は、いまは阿佐美さんの家(阿佐美冷蔵)だけになってしまった。この阿佐美さん一家の、天然氷づくりを追ったフォトドキュメント。」
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4年教科書掲載本。
毎年暑さが厳しくなっていくように感じる日本で暮らすにはかき氷は必須!と思うのは私だけではないはず。
氷といえば冷凍庫で作るもの、と思っている人がほとんどだと思うので、電気を使わず冬に凍らせた氷を夏まで保存しておく「天然氷」があるということに驚きました。
美味しいかき氷を食べられるのは、こんな人たちの努力のおかげなんですね。 -
無くならないで欲しい文化。
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表紙デザイン/鈴木康彦
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真冬の読み聞かせで使いたい。
低学年から高学年まで大丈夫そう。 -
ひと冬の間に作られる天然氷作りを追った本。
澄んだ氷が出来上がるまでを綺麗な写真で綴ってあります。 -
かき氷がぢのようにしてできているのかが分かる絵本。