不都合な真実

  • ランダムハウス講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270001813

感想・レビュー・書評

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  •  先の副大統領アル・ゴア公とIPCC御一行が,ノーベル平和賞を受賞するというニュースを新聞で読みました。「人類が引き起こした気候変動に関する知識の普及に尽力した」というのが受賞の理由だそうです。
     ゴア氏の『不都合な真実』(アル・ゴア著,枝廣淳子訳,ランダムハウス講談社,2007年)という本はちょっと前から書店に平積みにされているのを見かけていて,気にはなっていたのですが,カラーの図版が多い本なのでややお高く(定価2,800円+税),買うのを躊躇していました。ノーベル賞受賞の大きな理由ともなった本ですので,思い切って買って読んでみることにしました。

     ゴア氏は地球温暖化対策に熱心に取り組んでいる人で,各地で講演会を開いては地球温暖化の現実について訴えてきました。この本はそういった講演の内容をもとに再構成したもので,豊富な図版と短い言葉でわかりやすく地球温暖化の危機について書いています。途中,ところどころにはさまっているゴア氏の家族についての話が温かみを感じさせます。家族を大切に思う気持ちが環境問題への取り組みを支えているのだなーと思うと,環境問題を人ごとのように論じている他の論者と比べて説得力があると感じます。
     地球温暖化の現状と将来の危機的予測を,写真やグラフ,表などを使ってこれでもかこれでもかと挙げていて,このデータだけでもかなり興味深いです。そしてその対策が進まない原因をいくつか挙げていきますが,二酸化炭素の最大の排出国であるアメリカに対する批判は痛烈なものがあります。特に現ブッシュ政権と石油メジャーの癒着関係を厳しく糾弾しているので,ゴア氏ノーベル賞受賞の報にホワイトハウスが無反応なのもうなずけます。
     「地球は今こんなに危機的な状況なんだ」「それに対して最大の二酸化炭素排出国であるアメリカは対策らしい対策を打っていないんだ」と続けてきて,ゴア氏は「我々は地球温暖化に対して無力なのか?」と問いかけます。答えは否,我々は今までにいくつもの困難に打ち勝ってきたじゃないか,とアメリカ国民を励まして,ゴア氏は政府が動かなくても個人でできる温暖化対策を最後にいくつも挙げ,個人の取り組みがどれほど効果的かを訴えた上で,みんなでがんばっていこうと呼びかけています。
     本書に書かれている現状の認識も,温暖化対策も,実を言うとそれほど目新しいものではありません。今まで言われてきたことを科学的裏づけと一緒にたくさん提出したという感じです。ですが,話の運びが見事。これがゴア氏の講演会で私が聴衆だったら,自分にも温暖化を防ぐ力があるんだ,今日から早速がんばろうという気持ちになって会場を後にするでしょう。科学的データをもとに危機的状況を指摘するというだけではなく,また当たり前の対策を挙げて「でもそんなの面倒だよな」とあきらめムードを演出してしまうのでもなく,最後に個々人をやる気にさせるという点が優れていると感じました。

     煮えたぎった湯の中にカエルを入れると,カエルは危険を察知して飛び出します。しかし,カエルの入った水を徐々に熱していくと,カエルは危険を察知できず,いつまでも湯につかっています。──こんなたとえが紹介されていました。今の人類の状況は,徐々に熱せられているカエルと同じです。そろそろ気付いて自分で火を止めないと,煮殺されてしまうかもしれません。

  • 先に恐怖の存在を見ているせいか、提示されている資料もかなり疑ってみてしまった。
    図や写真をふんだんに使って、資格に訴えかけるのは、読みやすかった。しかし、どちらの言い分もあるだろうが、本書には関係ないところまで温暖化のせいにしている箇所が見られた。
    最後の日常で気をつけるところ、例えばレジ袋を使わない等色々書かれていたが、これまた偽善エコロジーを呼んでいたので、これも必要と感じない部分が多かった。環境にいいとちまたで言われていることが書いてあるが、鵜呑みにはせず、自分で他にも色々な情報を収集したほうが良い。
    効果がどれほどあるか分からないが、二酸化炭素を減らそうと運動を行うのは、理解はできるが、二酸化炭素を放出した分、カーボン・オフセット買おうというのは、なぜそこにお金がからんでくるのか理解出来ない。二酸化炭素を減らそうという運動だけではいけないのか。
    環境問題は、人間の倫理を巧妙に付いてくるため、自分でも知識をつけなければならない。

  • 映画も良い

  • 環境問題としてではなく、プレゼン資料のテキストとして。確かに効果的な写真や目を引くグラフなど、すっと流れるように入ってくる。しかし、最後には、何だか都合の良い事実だけを並べられたような気がして。環境問題に懐疑的ではないつもりですが。

  • 今さらながら読了。
    個人的にはOur Choice の方が良かった。
    思いのほか自伝が長い。

  • ずいぶん前に読んだ(見た)ので記憶にないですが、写真ばかりで、つまらなかった。映画を見てみたい。また、メディアによく出ている環境問題はなぜウソがまかり通るのか(作成者 武田)を読んでみたい。

  • 意識にある「地球がよくない方向に進んでいる」という事実。
    その事実すら知らない人、知っているけど気にしない人、どうしようもないとあきらめている人。

    僕はあきらめている人になると思います。
    二酸化炭素が排出される30%は途上国の焼き畑農業(本書より)。
    自分の利益のためには環境など省みない米国。

    これらを止めることは僕にはできません。
    でも身近にある小さなことはできます。
    ・必要のない電気は付けない
    ・水の無駄使いをなくす
    など、当たり前のことはやらなければいけないと改めて感じています。

    以上、2007年3月にmixiに書いたレビュー。

    それから時は経ち、二酸化炭素が地球の温暖化に直接関係はしていないという意見もある中、真実はどうなのか判断できないでいる。

    もっと情報を得ないとなんとも言えないのが今の本音。

  • 概ね正しいと思う。しかし此れをもってco2の売り買い、これは首を傾げる。欧米のしたたかさが感じられる。

  • 元アメリカ合衆国副大統領アル・ゴアsanによる、地球温暖化問題。過去の詳細な気象データや自然への影響などが紹介されていますが、少し偏りすぎな感じも・・・各自できることをコツコツと頑張りましょう☆

  • 温暖化だけでなく、世界各地で起こっている異常気象。


    もちろん一つの要因で片づけれるような問題ではないが、個人個人の意識によって変わるものも多くあるように思う。


    本当に改めて読んでみて考えさせられた一冊です!

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