リヴァトン館

  • 武田ランダムハウスジャパン
3.75
  • (23)
  • (40)
  • (29)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 264
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270005422

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 好き、ノスタルジックでよかった。のだけど、先に二作目を読んでしまったので期待いっぱいなぶん余計なのかもしれないけれど、翻訳の粗さ、力んで直訳してるようなセンテンスもある冒頭部分から徐々に訳すことに慣れていったんだな、という過程が目についてしまってとても残念だった。創元での改訳版を望む。翻訳はむずかしい。物語を別の言語で一から語りなおすのだから。

  • 98歳になった女性グレイスが、過去にあった事件の映画化について、意見を求められる。
    10代で貴族の館のメイドとなり、お嬢様の侍女となって、現場にいたのだ…
    母一人子一人の貧しい育ちだったが、意外にも後に勉強する機会を得て学者にまでなったらしいグレイス。
    最愛の息子マーカスが今は行方知れずになっていて、彼に残すためにテープを吹き込む。
    あの悲劇の真相を…

    第一次大戦の頃、アシュベリー卿の館。
    田舎で仲良く暮らす卿の孫ハートフォード兄妹たちデイヴィッド、ハンナ、エメリン。
    メイドになったばかりのグレイスは同じ年頃の彼らに憧れて、ひそやかなゲームを見守っていた。
    若い人たちが出征していき…戦争の犠牲者が多く出たことを偲ばせます。
    厳格な執事や腕自慢の女性コックや先輩メイドの指導を受けながら成長するグレイス。
    従僕のアルフレッドとほのかに好意を通わせるが、彼は出征し、帰ってきたときには、別人のようになっていた。

    戦後、ハートフォード家では兄の大佐が死んで当主となった次男フレデリックが、工場の経営に苦しむ。
    その娘達は成長していた。感受性の強い長女のハンナは結婚したくないという少女だったが、当時、貴族の娘の生きる道は他に考えられなかった。
    やがて、アメリカ人の銀行家の息子テディ・ラクストンに嫁ぐことに。
    若者の少ない時代、比較対象もほとんどなかったとグレイスは思う。
    ハンナとだんだん親しくなっていたグレイスは、ハンナの希望で侍女となって、婚家に同行する。下っ端のメイドよりはだいぶ出世したということでもあった。

    ハンナの所へ、兄の戦友ロビー・ハンターが、最期のときに頼まれた品を手渡しに来て、何気ないつきあいが始まる。
    ロビーは詩人だったが、シェルショック(戦争後遺症)に悩んでもいた。
    妹のエメリンはロンドンに出て、次第に奔放な娘に。
    エメリンの不始末をかばうハンナ。
    エメリンをパーティにエスコートするのを口実に会いに来るロビーと、ハンナはとうとう恋に落ちる。
    そして、1924年。
    ハンナの夫が選挙の地盤を継ぐためにリヴァトン館を再興しようとし、盛大なパーティを催すが‥?

    ゴシック風なロマンスとミステリの融合。
    いったいどうなったのか?ぐいぐい読まされます。
    メイドの目を通しての世界というのも面白いですね。
    身近に接していて親身な気持ちなのだが、越えがたい違いもある。
    老境になって振り返る意味や、映画化という状況も、捻りが加わっています。
    痛切な物語ですが、着実な筆致で読ませ、救いもあります。

    著者はオーストラリアの新人作家でこれが2006年のデビュー作。
    ベストセラーになり、アマゾンのベストブック・オブ2008にも選ばれたそう。

  • 没落する貴族の館でメイドとして働いた女性の、謎に彩られた回想記。
    これはミステリーじゃないよ、ミステリーとしての人生なんだよ、というところで読んでよかった一冊。

  • 『悲劇の真相』は読み終わってみれば、「そんなこと?」みたいな感じはするけれど、でもこの時代だからこそなんだろうな、と思うとひどく切ない。
    凋落直前の英国貴族や、その屋敷で働く人々、あるいは新興成金のようなアメリカ人一家が生き生きと描かれ、ノスタルジックというか、とても雰囲気のある小説だと思う。

  • 件名から現代風のゴシックロマンス・ミステリを想像。イメージは大幅には狂わず、老女の一代記と隠し続けた秘密が解き明かされ最後のページに集約していく。エピソードに目新しさはないが、全体に流れる、秘められた狂おしい想いに惹きつけられ読み進める一作。

  • 森薫さまが推してらっしゃったら読むしかないじゃない。

  • 第一次世界大戦〜第二次世界大戦後までを主に軸にした、ある館を巡る物語。ミステリー要素あり。時代の移り変わり、美しいドレス、どれをとっても素敵。過去と現在が混ざり合う形も良い。でももう少しひっくり返して欲しかったかも……。

  • あなたは秘密の扱いの達人だとわたしは信じています。

    「あの悲劇の真相も。
    死を目前にした老女が語り始めた真実とは……。」
    という、紹介文に惹かれて読み始めたのだけれども、
    いかんせん長い!
    主人公がメイド(侍女)で、物語の核がお嬢様なので、
    彼女への羨望や忠誠などはとても良く伝わってくるのだけれど
    事件を期待して読むには長すぎた。
    ミステリーというか、お嬢様の人生を傍らで見守り続けた
    主人公の回想って感じ。
    肝心の事件の顛末も、個人的には呆気なかったのが残念。
    でも最後まで読みきれたのは、やっぱり貴族の華やいだ雰囲気から
    登場人物それぞれの感傷が、細かに描かれていたからだと思う。

  • 貴族・お屋敷・メイド・ミステリーとても好きな設定でした。98歳のグレイスがリヴァトン館でメイドとして働いていた頃を振り返るのだが・・・タイタニック!?と思ってしまった。
    全体的に説明しすぎ、盛り込み過ぎな気がします。

  • ぶ厚さに読む前は躊躇したけど全然退屈しなかった。面白かった。次回作も楽しみ。映画化希望。

全47件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

ケイト・モートンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×