リヴァトン館

  • 武田ランダムハウスジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270005422

感想・レビュー・書評

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  •  20世紀初頭、イギリスのリヴァトン館でメイドとして働いていたグレイスが、ある悲劇の映画化をきっかけに、過去にリヴァトン館で起きた事件を回想する。
     美しい姉妹ハンナとエメリン、そして自殺した詩人に一体何があったのか。中盤あたりまで、テレビドラマ『ダウントン・アビー』の世界そのままにグレイスが古い館で働く日々が克明に描かれ、知らず知らず姉妹の秘密を共有しながら成長していく。

     正直言って、事件の真相やグレイスの出生の秘密はそれほど驚愕に満ちたものではなく、大西洋を渡った因縁の話は詰め込みすぎのような感もあるが、メイドの目から見た古い館と仕えるべき主人たちの栄枯盛衰のストーリーは十分に楽しめた。

  • ドラマチックな結末だが、途中は少々ダラダラ

  • 時代は、ちょうどドラマ「ダウントン・アビー」あたり。
    第一次世界大戦があって、上流階級に尽くして当たり前の階級が、いりまじって、堅牢だったイギリス社会に混乱と無秩序と新しい潮流を生み出した時代。
    メイドとして、リヴァトン館につとめだした主人公は14才!当時としてもぎりぎりの年齢だったのでは・・・。
    そこでひとりの同い年の「お嬢様」と出会い、侍女に昇格し、ある秘密につきあたり、その秘密が絆となって新しい「秘密」を作り出し・・・。
    この緻密な人間ドラマ。
    99才になった彼女のまえに、そのメイドとして勤めていた時代に立ち会った事件を、映画として描きたいという映画監督が現れる。
    そこから記憶の糸をたどって、回想は14才にさかのぼり・・・99才と14才の描き分け方がすごい。

    物語は楽しんだけれど、「秘密」「忘れられた花園」の訳文のほうがこなれていて読みやすく、物語の雰囲気を壊さずにいる気がしました。
    好みでしょうが、原文を読むほど語学力のない人間としては、訳者の選定は重要ですね。。。

  • 第一次世界大戦を挟んで没落してゆく貴族の姉妹と彼女たちに仕えるメイド(後に侍女)の物語。執事をはじめとする使用人たちの世界や貴族の生活、戦後台頭してくる新興の実業家や戦いに出て心を病む者の姿の他にも、沢山の物語が盛り込んであって、お腹いっぱい。さらに後半、いろんな回収があって、最後の一行まで、みっちり。

  • 図書館で。秘密の花園が面白かったので借りてみました。発表されたのはこの作品の方が先だったみたいですが。読んでいてなんとなくレベッカみたいだなあと思いましたがレベッカの方が面白かったな。日本で言うと時代小説のような感じなんでしょうかね、こういう世界大戦前の古き良きお貴族様が住まうイギリス小説って。

    面白くないわけではないのだけれどもとにかく長く、くどい。これはお話に必要なのだろうか?という事柄が多い。グレイスの現状の買い物行った話しとか孫の話とかは必要なんだろうか?とか思いながら読みました。最初は丁寧に読んでいたのですが段々疲れてしまいました。そしてハートフォード姉妹の悲劇、と最初から銘打っていたのでどんなものかと思っていたのですがそれほど大した事件でもないし。ハンナには気の毒ですが彼女は結局ロビー(だったかな?)ともそのうちダメになったような気がする。彼女はあの時代に生まれたのが不幸だった、というか。
    そしてグレイスが主役の割にはお話のヒロインはハンナなので色々な意味でチグハグ。小さいころからお世話係、という訳でもないのでそれほど最初から信頼されていたわけでもないし。まあなのであの悲劇が起こったわけですが。途中でハンナに語らせるなら最初から交互に視点を変える構成ならもう少しハンナにも共感したんだろうな、と思うのですが。外見からの判断でのみで語られるヒロインの行動に共感するのは難しい。グレイスの母君も何を考えてお屋敷に娘を奉公に出したんだか。大体、不祥事を起こした事を同僚も雇い主も知っているんだろうからそんな所に勤めに出すかなあ?そして雇うかな?なんか変。大体、腹違いの姉妹と自分の娘の境遇を考えたら仕えさせるとかすごい残酷な気がするんですが…。時代が違うといえば違うんでしょうけれども。
    ある意味一番の被害者はエムだと思いました。

    そしてちょっと翻訳がなんか違うなあって思う点がところどころありましてそれも残念でした。

  • amazon.comのベストブック・オブ・2008にも選ばれた本書。何の予備知識もなく読み始めた本だったが読み終えてみるとしばし放心し、それから波のように感動が押し寄せてきた。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file5/naiyou20601.html

  • 今朝やっと読了。
    いろいろと思い浮かんだ・・・ゴスフォードパークとか、いや、う〜ん、私にはタイタニックな感じかな。(3/16)

    介護施設で暮らす、98歳の老女グレイス。
    彼女には、生涯誰にも話すまいと誓った真実の物語がある。
    墓の中にまでひっそり持ち込むつもりでいたその秘密とは。

    老女グレイスの元へ、彼女がかつて奉公していた大貴族の家族の物語を映像化するので、
    セットなどみて意見をきかせて欲しい、と連絡がくる。
    心の奥に、ずっとしまいこんでいた過去の物語。
    気持ちはするすると1924年に舞い戻る。
    その過程が、映画「タイタニック」の老女ローズの思い出からの場面転換に似通ってた。(途中、ロンドンの街角で新年の祝いに、庶民に混じって貴族のお嬢様が踊ったりする場面があり、ますますタイタニックだ!と感動したりして・・・)
    大貴族の家族と、奉公人たち。
    華やかな晩餐と、戦争の暗い影。
    新しい時代への足音が聞えても、古臭く変わらぬ女性の地位。
    ミステリーではないけど、いろんなことが伏線になっていて、おもしろかった。
    速記ね・・・。
    それは思い浮かばなかったなぁ。
    601頁、結構な頁数だったけど、ダレることなく最後まで緊張感を保てて、大変に楽しめた♪(3/25)

  • 「つぐない」+「ゴスフォード・パーク」みたいでした。“THe Forgotten Garden”の翻訳に期待してみよう。

  • 登場人物の言にもあるとおり命令する人間とされる人間が厳然と区別されている時代が舞台で、おれほんとに現代に生まれて良かったと実感しつつも、去った時代にはもはや取り戻せない美しさがあるのだなと思ったり。規律とか分相応とか人に仕える誇りとか。
    気詰まりな古い時代に生きるのは勘弁ですが、じゃあ個人として生きざるをえない現代で我々はどこに誇りを見いだすかねって自問自答。

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著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

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