- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270006245
作品紹介・あらすじ
『ファストフードが世界を食いつくす』のエリック・シュローサー、『雑食動物のジレンマ』のマイケル・ポーラン、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌスなど錚々たる執筆陣による食の警告書。第82回アカデミー賞「長編ドキュメンタリー映画賞」ノミネート作品から生まれた、"もうひとつの「フード・インク」"。
感想・レビュー・書評
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資料ID:98101314
請求記号:611.3||F
配置場所:工枚特集①
(※配置場所は、レビュー投稿時のものです。)
☆特集展示「SDGs特集」☆
SDGsを特別なものとしてではなく「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透できるようSDGsを理解し社会課題に関心を持つことを目的としています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<a href="http://amzn.to/wOiiZK" target="_blank">「ありあまるごちそう」</a>と同時に読んでいたので、かなり被る部分が多く、どっちを読んでいるのか分からなくなる時があった。ただし、内容も翻訳も「フード・インク」の全勝。ローリング・ストーン誌の支援により執筆に至る経緯や方針が冒頭かなりを割いており、章立てごとに我々が行動するためのポイントや情報、サイトを掲載しており、読者を向いた姿勢が非常に好感を持てた。
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映画は見ていないのですがアメリカのアグリビジネスの闇と言うかえげつなさを知ることができました。今まで思っていたよりも酷い状況でした。
安い食品は何故この価格で販売できるのか、農薬まみれの広大な農場で安い賃金で働く不法移民、等々は店頭でアメリカ産農産物を見かけたら色々と考えてしまうようになりそうです。
少し古い本なので現状は当時と比べてどう変化しているのか分かりませんが少しでも良い方向に変化して行ってもらいたいものだと思いました。 -
食システムの問題を、広くわかりやすく書いているのでとっかかり安くておすすめ。映画もあるからみて欲しいなー。
こんな本読んでも、お金のない一人暮らし大学生は葛藤しつつ安い食材を買うんですけどね。 -
努力したって仕方ない?
太陽が照っている限り、
人が計画を立て、野菜を植え、
考え、行動する力を失わない限り、
そう、あきらめない限り、
自らを養う道を見出せる。
マイケルポーラン -
2013年2月7日読了。食の安全について警鐘を鳴らす同名のドキュメンタリー映画の製作裏話・取材協力者たちによる寄稿文やアメリカを覆っている深刻な「食」の現状と、そこから身を守るためのささやかなアクションの紹介など。安い食材を大量に売るため食品業界は入国者らを最低の賃金・劣悪な労働環境で働かせ搾取し、家畜たちは身動きもできないような狭い檻の中で病気と心身の障害に苦しむ生涯を送り、消費者は安価なファーストフードや薬漬けの肉を食べて健康を害し、その治療の費用が国家の財政を常に圧迫し・・・。今の世界は「どうしてこうなった?誰がこの仕組みのおかげで利益を得ているのだ?」と首をひねらざるを得ない。決定的な解決策などなく、個人にできることは「なるべくファーストフードは食べない」「信頼できる業者から野菜を買う」「電球を交換する」といった、がっかりするくらい小さな対策しかないのだな・・・。つくづく、今後生まれてくる子供たちの世代の健康が心配でならない。世界はよりよい方向に進むことができるのだろうか。
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大人の社会科見学シリーズ第一弾。農業を工業化したことで、生産者にも、動物・植物にも、環境にも優しくない生産工程に変わってしまった様子を描く。何よりも恐ろしいのは、生産現場である農場と、消費の現場である食卓が遠く離れていること。そして、その理由が、生産現場が消費者にとって見たくないであろう現実を抱えており、隠蔽した方が好ましいからというもの。
この映画をまともに受け止めると、食品のバリューチェーンで得をしているのは、食品メジャー、加工業メジャーのみということになる。
有機食品の取り扱いは広がっているものの、メジャーが有機食品のベンチャーと契約し、棚の一部が「オーガニック」表記となるだけで、「安く、早く、多く」原則を変えるつもりはない、と指摘する。
牧草ではなく、 安いコーンを肥料に切り替えて牛を育てた結果、毒性の強い大腸菌が生まれた(O-157)。かつてはメジャーの占める割合は25%だったが、現在では70%を占め、集中的に工場で加工が行われるため、一気に安全でない食品が広がってしまう危険性がある。
食品業界の持つ危険な構造が、政治的に本気で取り組まれない理由は、食品業界を監査すべき機関の代表者が、食品メジャーから選出されており、寄付金のバラマキにより、政府の要職にも収まっているためだという。先に見た、「インサイト・ジョブ」と同じ構図だ。
結局、生産者は本来作り手として、消費者として、一番正直に、良いものを作る存在なのではないかと思う。そこにメジャーの存在が入ることで、作り手が食べたい、ほんものの食品が虐げられてしまう。
生産者の良心が満たされる農業、食品業界こそ、私たち消費者が行動によってエンパワーすべきである。 -
特にアメリカを中心として、
食にまつわるどのような問題があるのかを
様々な著者が寄稿するかたちで取り上げた、
「食の危機」に関する総合リポート的一冊。
読んでみると、その問題の幅広さと根深さに
愕然とする。
特に衝撃的だったのは、
「第7章 安価な食品そのつけは労働者に」
のセクション。
低賃金かつ苛酷なブドウ畑で
働かされている不法移民の人々。
命を落とすことも珍しくなく、その実態は知れ渡っていない。
安いワインを作るための畑。
でも、そのサプライチェーンが複雑怪奇になっていて、
誰に責任があるのかが曖昧にされている。
こうしたひどい問題を解決するための様々な提案も
本書では出されているので、
読むと、自分の中で「これだ!」と思うものもあるのではないか。
日本は今、食が大いに揺れているが、
アメリカも十分に、いやもしかすると前から日本以上に
揺れ続けているのではないかという率直な感想だ。
目次は
http://www.tkd-randomhouse.co.jp/books/details.php?id=976
こちら。