- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296108619
感想・レビュー・書評
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20240417
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アベノミクス、黒田バズーカなどと称される日銀の異次元の金融緩和をテーマにした小説。日銀の金融緩和がどういう問題を孕んでいるかを簡単に知りたい人は本書を読むと良いかもしれない。
主人公?の記者から諸悪の権現のように言われる古賀は根っからの悪人ではないというか普通の良い人の一面もあって、勧善懲悪、二項対立のよくある小説とは違って、その分、人間味的な部分でのリアリティはあったかなと思う。その反面、ドラマチック性には欠けるけど、それは仕方ないかなと。
ボリュームは結構ありますが、手軽で読みやすい一冊でした。 -
大量の国債発行がもたらす財政破綻、ハイパーインフレがテーマのフィクション小説。大規模金融緩和で銀行の経営が厳しくなり、不正融資やリスクを伴う投資をするようになる。営業ノルマに追われた銀行員の自殺がリアル、、、
『現代の徳政令』で生き残るべきではない中小零細企業をも救済していたことは知らなかった。
財政破綻の危機が本当にあるのかどうかは疑問。
過去これだけお金をばら撒いてもインフレは起こっていなかった(直近のコストプッシュインフレは除く)。
不発弾のようにいつかいきなり爆発するリスクがあるということなのか?正しい答えは多分誰にも分からないが、皆が考え続けることが重要。 -
ノンフィクションのような小説でした。ある程度の経済知識があれば、もっと楽しめたと思います。
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あまり感銘を受けるストーリー展開ではありませんでしたが、「省益あって国益なし」を知らない人にはおすすめかも
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日本経済全体のヤバさ、衰退ぶりを明確に示した本。平成から始まる超金融緩和政策により、日本の政策金利は0%台を維持し、果てはマイナス金利まで導入した。これが意味することは、金融機関が顧客へ融資する際の貸出金利も下がり、日本国債の利回りも下がる(国債価格は上がる)ことにより、もはや金融機関は金利の利ざやで収益を支える事が不可能になった。顧客基盤を地域に根ざしている、地銀・第二地銀・信用金庫などは、かつては日本国債の利回りで濡れ手で粟の儲けがあったが、人口衰退で地域の産業基盤が崩壊しつつあるフェーズでは、融資で稼ぐことは難しい。そんな地銀がスルガ銀行のシェアハウス融資のように、到底価値のない商品を不正に顧客へ販売するようなモラルハザードも理解できる。
もはや貸出では儲からない金融機関は民間への資金供給を渋り始め、結果的に民間の資金繰りを悪化させ、不況に拍車をかけてしまう。
更に事態を悪化させるのがコロナウイルスだ。コロナによる急激な受注減で苦しむ中小企業を救済すべく、政府は中小企業の返済延期と繰り延べを実施している。一見すると、中小企業の資金繰りを支援しているが、倒産すべき企業を政府が国債で存命させたとも言える。
膨張し続ける国債の受け皿は日銀だ。約1055兆円の日本国債残高のうち半分を日銀が保有している。これはアベノミクスと黒田総裁によるタッグで、異次元の金融緩和を実施し、日銀が国債を積極的に買い入れし続けたからだ。もし、仮に、国際市場が日銀の国債保有率の高さを指摘し、日本円の信認が揺らげば、日本円の価値は一気に下落する(日本国債の値段は下がり、利回りは急上昇する)。日本円の価値下落に伴い、、ハイパーインフレが起き、国民生活が崩壊するという最悪のシナリオも想定される。
膨れ上がった国債残高、金利が吹き飛んだ日本の金融市場、独立性を失い政府の要望通りに国債購入を維持する日銀、加えて、コロナによる不景気。この状況を打開する手段は一朝一夕には見つからないが、まずは本書を手に取り、日本経済が薄氷の上にあることを学ぶことが第一歩だと思った。
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フィクションの体裁をとっているものの、あからさまに実在の人物をモデルにしているのだが、必殺技(あえてこう書くが)の印象が強すぎた。
真面目に感想を書くと、この話はずっと言われているけど今のところは何も起きていないし、実際のところはどうなのだろうか。 -
麻生太郎、経済素人記者の熱い気持ち、日銀内部でクーデター、財政ファイナンス。
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著者は社会派の小説を良く書いているが、今回は日銀による異次元金融緩和。題名からして、その出口戦略が書かれているのかと思いきや・・・
話の大部分は安倍政権と黒田日銀総裁が始めた、現代では過去に例のない程の、事実上の財政ファイナンスの有り様が書かれたものだ。しかしこの流れは事実として既に知られていること。現在も継続中の超絶金融緩和の出口戦略は無いと言って良いだろう。無責任な行き当たりばったりの政策を推し進めたが(個人的にはモリカケサクラより遥かに悪政だと思うが)、ごく一部の人達が批判しているだけ。これをどのように終わらせることができるかが、日本の未来を決定付けると思う。
その始末がこの小説に書かれたのではと、期待してしまった。つまらなくはなかったが、思ったものとは違っていた。