ただいま神様当番 (宝島社文庫)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299028853

感想・レビュー・書評

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  • 青山作品3作目。
    「鎌倉うずまき案内所」が苦手で、でも「赤と青のエスキース」が良かったので、最新文庫と言うことで、帯にもちょっと惹かれて、読んでみることに。
    同じ時間に、同じバス停を利用する5人を主人公にした連作短編集。
    それぞれの主人公が欲しいと思っているものが、ある日落とし物としてバス停に置いてあって、「少し借りるだけ」の気持ちで持ち帰ると、翌朝左腕に「神様当番」と言う文字が書いてあり、ちょっとお茶目な神様が現れて、「わしのお願い聞いて」とあらゆるお願いをする。
    そのお願いを叶えないと、神様当番は終わらないが・・・
    幸せの順番待ちに疲れたOL、やんちゃな弟にうんざりする小学生、リア充な高校生活に憧れる男子高校生、乱れた日本語に悩む外国人の大学非常勤講師、かなりパワハラ気味のワンマン社長。
    それぞれに無邪気なお願いをする神様と主人公たちのやり取りが、確かにほっこりする。
    だけど・・・
    個人的にはいくら落とし物とは言え、持ち帰ってしまう人たちの行動がどうにも受け入れ難く、そこを受け入れられないので、物語の楽しさが半減してしまう。
    そこは人それぞれなのだろうけど。
    一見意味不明のお願いをしている神様に見えるが、それは主人公たちを正しい道へ導く手段で、さすが神様なのだが・・・
    「鎌倉うずまき案内所」の時も思ったが、こういう想像(創造)を出来る作者さんは単純に凄いと思う。
    最近知った作家さんだが、過去の作品もよく本屋で見かける。でも、個人的には少し苦手かもしれない。

  • 今回も可愛く、ほっこり、時々ホロりなお話。

    神様は特別なんかじゃなくて、自分の中に理想を持ってる自分がいて。第5話のように、卑屈さやケチ臭さ、歪んだ自尊心が邪魔をしている。素直になることの難しさ。だけど素直になった後の温かい気持ち。どちらをずっと大事にして生きていきたいだろうか。

    第4話のイギリス人が律儀で好感が持てた。わざわざ「無神論者でした」と言い直すところも、とても可愛らしい。
    全ての話が人間の一面だけではなく、多面性で書かれている点も、共感を生むのだろう。そうかと思うと、この年代はこの色や形ををこう表現しがち、という雰囲気も持っている。人間の括りだけではそうとは限らないという話をする一方で、ジェネラルな要素もある。だからこその共感と、入り込みやすさなのだろう。

    そしてまさか、神様のモデルがあの爺さんだったとは……

  • この作品も青山美智子さんワールド全開でした!
    どの登場人物も凄く人間味があって、とても魅力的で、悩み葛藤しながら自分のやりたいことに気づく姿にホッコリしました。
    この作品が本屋大賞ノミネート作を輩出する足掛かりになっているように感じました。

  • 自分が本当の本当にやりたかった事…やりたい事…
    どんな人になりたかったのか…なりたいのか…
    小説を通してもう一度自分の心と向き合わせてもらった気分。

    物事は考えようで良くも悪くもなる!
    ならば良い方の側面から見ていけば良い方に流れ導かれてゆく…
    ちょっと綺麗事?^^;
    でもそれでいい!言霊と一緒!
    そう考えている事にデメリットはないはず!

  • 今回は「神様」と「神様当番」という、青山先生の作品では今までになかったファンタジー要素が盛り込まれており、楽しめました。
    青山先生の書く連作短編は言葉で言い表すのは難しいですが、とても美しく、読後の心のほっこり感が桁違いです( *´꒳`* )

    左手が神様によって勝手に動かされててんやわんや!という感じもありつつ、各主人公たちが「勇気が足りなかっただけで、本当は自分のやりたかったこと」と気付いていくのもよかったです。
    第3章の高校生の男の子のお話が甘酸っぱくてお気に入りです。
    ただ、各章の最初が落し物を盗ってしまうところから始まるという設定が、個人的にモヤモヤポイントでした(笑)同じバス停を毎日使う5人が揃いも揃って盗っちゃうなんて...

    巻末の対談で、青山先生の小説たちの表紙を手掛けているミニチュア作家さんが、『ひよっこ』のオープニングも手掛けた方だと知り、驚きました。あの連ドラを見ていた時も毎日「すごい精巧なミニチュアたちだなー」と思っていたので、同じ作家さんと聞いてもっと好きになりました( ´˘` )

    青山先生の新刊「リカバリー・カバヒコ」が積読になっているので、そちらも近々読もうと思います。楽しみです。

  • いつもの青山美智子さん独特のワールドを楽しませてくれます。
    自分が本当にやりたいと思っていることでも色々なしがらみや自分自身でブレーキを踏んでしまい実現できていないことを神様が気付かせてくれ実行させてくれます(というか実行しないと神様が消えません笑)
    自分の意志だけではなかなか行動に移せないことって多いので自分にも神様当番が回ってきてくれたうれしいなあと思わせてくれる作品です。

  • ある朝、目覚めると、左腕に
    『神様当番』の太く大きな文字が!

    この文字が左腕に現れた人は「神様当番」に任命された人!
    この文字を消すためには、の願いを叶えなければならない。

    お当番になったのは、毎朝、同じバス停から同じ時間のバスに乗る5人。
    年齢も性別も職業も違う5人は、どのようにして「神様当番」の任務を遂行するのか~

    いや~、やっぱり青山さん!
    ほのぼのとした気持ちで読み進めると、クスリと笑わせてくれたり…
    ホロリと涙が…

    もし、もしも、私が神様当番になったら…
    神様は私に
    「わし〇〇がしたいの」って、どんな任務を与えるかしら…
    きっとそれは、”ちょん”って私の背中を押してくれることなんだろうなぁ…
    ちょっとなりたいぞ~
    神様当番!

    装丁はやっぱり田中達也さん。
    素敵です。

    良い本でした~!


    そして~
    ある朝、ついに青山美智子さんが…
    「神様当番」になった~!!!
    (いや、それにしても青山さん、お美しい手…)

    神様の願いは「わし、書店さんまわりしたいの」でした(笑)

    文庫本発売に合わせて、ですね^^
    いやいや、青山さん、いつも色々趣向をこらされて面白いです!

    お当番さんの詳しい様子はこちら↓
    https://note.com/michicoming/n/nd422986bf0fd

  • 最初から、うんうんあるある!ってあるある話しなので直ぐに世界に入って行けました。
    クスッと笑えて、ジーンと感動して、今回も青山美智子ワールド最高でした。こんな神様がいたらいいな、いるかも⁉️と思わせてくれます。
    個人的には小学生の姉弟の話が好きです。
    もちろん最後のおじさん社長の話も。
    読了後に、清々しく、よし頑張ろうって思わせてくれる作品。田中達也さんとの対談も小説の裏話も聞けて素敵でした。あ〜楽しかった

  • ほっこり。
    所謂、形而上学的な神様じゃなく、自己に内在…どうでも良かった。

    青山氏の書く物語での真髄はほっこりは勿論なんだけど、各話登場人物のナラティブのクロスした所だと思って読んでる。今回は…

    装丁というか、田中達也氏のミニチュアも素晴らしい。

  • 半世紀以上生きてきて、それなりに小説を読んできたので、まぁなんとなく話の流れは予測がつくょ、なんて高を括っていましたが、大間違い。大切なものが何がを探す過程に、年齢や経験なんて関係ない。…というか、自分が子どもの頃を思い出して、胸が詰まりました。神様、いい仕事します(^-^)
    表紙と挿絵はミニチュア写真家の田中達也さん。いろいろ仕掛けがありますので、よく見てみてくださいね。

    • Manideさん
      ふくろうさん

      私もちょうど読み始めたので、
      挿絵に注目しながら読みますね ^_^

      とても楽しみにしていた作品なので、
      ワクワクしながら読...
      ふくろうさん

      私もちょうど読み始めたので、
      挿絵に注目しながら読みますね ^_^

      とても楽しみにしていた作品なので、
      ワクワクしながら読み進められそうです。
      2022/07/31
    • ふくろうさん
      コメントありがとうございます。
      楽しい読書になりますように…☆
      コメントありがとうございます。
      楽しい読書になりますように…☆
      2022/07/31
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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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