祝福

著者 :
  • 河出書房新社
3.13
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  • (6)
本棚登録 : 448
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020136

感想・レビュー・書評

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  • 女主人公5人 VS. 男主人公5人の10篇から成る短篇集。
    (私の評価は)結果から言うと女の勝ち!

    『丹下』
    団地の4階に住む今井留子。土曜日11:45、近くのサッカー練習場からの「丹下」の声で目を覚ます。起きだしてサンマ定食を食べに近くの食堂へ歩いて行く・・・。その夜眠りに入る暗闇の中で又「丹下」と聞えた。
    聞えて来た「たんげ」の言葉を著者はなぜ「丹下」と書くのか私には謎だ。「たんげ」はどうしても「丹下」でなければならないのだろうか…
    『マラソンをさぼる』
    小高い丘の上にある進学校の市立A高校。三年の主人公は15kmのマラソンの途中、学年でただ一人の不良男子学生に走りながら話しかけられ成り行きで二人マラソンコースから外れ不良の家へ行く。不良の家の庭には何十匹ものヒトデが捨ててあった…
    『穴場で』
    ナナさん川沿いの凸凹のコンクリ敷きの上に座り仲間と共に花火を見る。
    『山根と六郎』
    大学生の山根と六郎 携帯をいじりながらコンビニで買ったカップめんを外で食べる。六郎の名前の由来は「ロックンロール」から来ているらしい。
    今まで読んだこの著者の本の中に「六郎」って人が居たような…
    『噛みながら』
    南出頼子 銀行内で銀行強盗に遭遇。他の客とともに床に伏せさせられる。犯人が金を手に入れ逃げようとした時…
    この篇がダントツに面白い。これで女を勝ちにしました。
    『ジャージの一人』
    『ジャージの二人』の息子の方。夏に住まいした別荘の後片付けに訪れた夜、浅間山が噴火・・・
    『ファットスプレッド』
    マーガリンより油脂含有率の低いものがファットスプレッドだと夫である文夫から教えられる。帰宅した夫と専業主婦の妻は毎日の生活で自分だけが見て相手が見なかったことについて語る。
    『海の男』
    そう親しくもなかった原田から誘われ海へ釣りに出掛ける。人生に於いて数々ある分かれ道をその都度選択してきてそれが良かったのか失敗だったのか…
    『十時間』
    雪の積もった北国の古い木造の社宅に学校から帰宅した小学生の姉妹。姉の連はなんとかマッチでストーブを付けた。夜になってもなぜか母は帰ってこない。不安なまま二人は寝付くが、雪の降りしきる真夜中、家の屋根が落ち開いた穴から雪が入ってくる。電気がつかない。母はまだ帰ってこない…
    『祝福』
    ひとの結婚式に出席する。まだ風邪の治りかけで体調は思わしくないが、式は友人たちが工夫を凝らし盛り上がっている。
    一ヶ月後また別の結婚式に出席する。友人たちが式を盛り上げる中、突如出し物のバンド演奏に参加させられる。
    会社を辞めて貯金で生活しているアラフォ独身男性 セックスする女は一人いる。

  • 長嶋有ってだけで★は五つ。
    ずっとサイドカーに犬の頃から思っているんだけど、
    この人とは、血液濃度のパーセントか、前世で犯してきた罪の数とか何か、どこか、共通点があるらしい。

  • 10の短編集。
    長嶋有さんらしさはどの作品にもあるけど、玉石混淆という感じでした。

    個人的には、「僕は落ち着きがない」の単行本カバー裏に掲載されていたという、頼子のその後を書いた話が目当てでした。(「僕は落ち着きがない」は図書館で借りて読んだので、本に汚れ防止のフィルムコーティング的な処置がされていて、カバーを外せず裏を読めなかったのです。)
    その後の話といっても、「僕は~」にあったエピソードを頼子サイドから思い返している部分があり、「僕は~」の再読のときには、その部分を注意して読んでみようと思いました。

    個人的に1番良かったのは、「マラソンをさぼる」です。

  • 2022/7/11
    合う。

  • 松井大吾監督で映画化されそうな話だ

  • 「噛みながら」の日常と非日常の段差のなさ

  • コロコロ変わる短編の話を、まぁ楽しく読んでいたが、最後に掲載されている本のタイトルにもなっている「祝福」がダメだった。

  • 地に足が着いた人たちの、現実世界の話し。

  • *女ごころを書いたら、女子以上。ダメ男を書いたら、日本一! 男主人公5人VS女主人公5人で贈る、長嶋有ひとり紅白歌合戦*

    ゆるゆる、ゆらゆらとした、とらえどころのない短編集。表現が独特で楽しいけれど、一瞬ですうっと流れ落ちて残らない感じ。

    「ハブ・ア・ビバーク」
    「はい、ビバーク」
    「ビバークビバーク(手を叩きながら、徹夜で煮詰まっているメンバーに)!

    に噴いた…

  • 短すぎてよくわからない

  • 2017/02/09 ジャージの一人があってニヤニヤした。最後の「祝福」だけめんどくさくなり読まず。

  • 2016.12.30 読了


    なんてことない短編集。

    淡々としすぎて、何が言いたかったのか
    わからなかった。。。

    サラッとは読めるけど、
    あまり残らなかった。。。


    登場人物が Aやら Rやらで
    男女なのかも 誰なのかも こんがらがるし。

  • 好き❤️
    心の声みたいなのが、すごくリアルでついニヤニヤしながら読んだ。

    あーこーゆーのあるなあって。
    長嶋有さん、はまりそう。

  • 長嶋さんの小説は、日常の中で感じても誰も言葉にしないような事をしっくりくる表現ですくってくれる、あるあるです。すきです。

  • 短編10作品。作者が埋め込んだ共通のキーワードは?⇒「心との会話」ってとこかな。。

  • すべてそうではないのだろうけど、全篇スピンオフのようなささやかさ。
    「十時間」の異様な光景。

  • 女性が主人公ということになかなか気づかず「?」となる作品がある。面白いんだけどね。

  • 10篇の短編集。どこかでありそうでなさそうな日常を切り取った10篇。『ジャージの二人』のスピンオフ「ジャージの一人」が収録されている。どれもこれも印象が薄くてあまり何も残らない感じ。長嶋有、何冊か読んだけどこの人の持ち味はこのゆるさ加減なのだろうか。2012/170

  • よく分からなかったが 私は長嶋有さん好きです。

  • 表立ってなくていい。裏側でひそひそこそこそ幸せでいたい。
    物足りなさも、ままならなさも、感情の起伏も、あるのだけれど
    芯があたたかい物語たち。
    いわなくてもいいことを、いえる相手がいるって、いい。

  • 図書館にて。
    同じタイミングで借りた白岩玄「愛について」の後ろについていた同じ出版社の本の紹介のページに、「女ごころを書いたら女子以上。ダメ男を書いたら日本一!女主人公5人VS男主人公5人で贈る、長島有”ひとり紅白歌合戦”。」などとテンション高く書かれていたので、試しに借りてみた。
    案の定そんなにテンションの高い本ではなく…。
    (この紹介文を書いた編集者のセンスを疑うが、結果的にその文章のせいでこの本を借りたので、してやられたというところか)
    力が抜けた会話が好き。
    微妙に懐かしいテレビ番組やミュージシャンが出てくるのも厭味じゃない。
    最初はどうにもうざくて暑苦しかった「海の男」、読み終わったら結構好きになっていた。

  • ゆるゆる短編集。

    特に大きな何かが起こるでもなく、ゆるりと読める話ばかり。
    十時間の姉妹はどうなったんだろうかってのだけ最後気になった。

  • 何気ない日常の一コマを切り取り、とりとめのない思いを言葉にすると、小説になりうるのだと新鮮に感じた。その独白の中にある剥き出しの『自分』が、人間の本質を表わしているのかもしれない。

  • 特になにかがあるわけでもなく、ただただとあるひとたちの日常が描かれている。そのゆるっとした雰囲気が心地よくも思えるし、物足りないなあとも思えてしまう。今回わたしは後者だったわけだけども、読んでいるときの精神の状態によって受け取り方がちがうのかもしれない。
    ただなにげない文章でも、くすっと笑えてしまうものがあったり、心の奥底をひやりとさせてくるものがあったり、そこのところはとても魅力的だと思った。
    すごくおもしろいかといわれると微妙なのだけど、時期を見てもう1度読んでみたい。

    (208P)

  • 休日の午後、星野源などBGMにのんびりと読むのに最適。

  • 色んな雑誌に掲載された短編を集めたものだからか、テーマや長さは様々。
    個人的にはあまり印象に残るものがなかったかな・・・

  • 「噛みながら」より「丹下」で「僕は落ち着きがない」の先生を思いだしちゃったなー。
    「ファストスプレッド」人気ですが私もこれが好き。

    意地悪な気持ちにも嫌な気持ちにもならない、ちょっとくせのあるミネラルウォーター飲んだみたいな小説たちだった。

  • 飛びすぎてて、ちょっとついていけませんでした…

  • 「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるくらいだから、「何事も起こらない小説」はアリってこと?
    にしても何も起こらなすぎる…。私には合わなかった。

  • 10篇からなる短篇集。全体的に日常を切り抜いたような、これといった盛り上がりもなくゆるゆると1篇、また1篇と終わっていく。それが良いのかもしれないし、退屈でもあるし、面白くもある。

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著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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