- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309020549
感想・レビュー・書評
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私は山口瞳さんが好きだ。 いつ読んでもおもしろい。文章も非常に分かりやすい。(これは肝ですね。)
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山口瞳の単行本未収録エッセイ集。1963年以降、新聞、雑誌に単発で書いたものをまとめている。相変わらずの山口節。エラソーに言い切る文体がいいなぁ。いまだにこういう人はいない。
『女というのは劣等感のかたまりではないか。心と体のなかに悪いものをもっていて、自分でそのことを承知しているがどうにもならないという存在ではあるまいか。劣等感がうまく作用すると、一種の善良性となってあらわれる。従って、かどうか知らないが、ヤサシクサレルことに弱いのだそうだ。』
『 理屈でもってちゃんと対決できるような相手と一緒に暮らすのと、理屈なんかまるっきり通じない相手と暮らしているという現状とどちらがいいのだろうか。どっちでも困るように思う。これは女と男がひとつの家で暮らすというときの業のようなものだろう。』
『浮浪者やバタヤで犬を飼っているのがいる。 「どうして彼等が犬を飼っているのだと思いますか。」 バタヤのなかにはいって二十年も暮らしているMさんがいった。 「いばれるからですよ。彼等には犬よりほかにいばれるものがないんですよ。あれは主従関係でね。そうでなかったら、最低生活者が犬の食事の世話までしてやれますかね。バタヤが動物を飼っているのを見て、貧乏人ほど愛情がこまやかなんていう人がいるが、とんでもない大間違いです。』
『可愛い犬は、可愛い。しかし、それにしても不憫である。不憫がさきにたつ。かわいそうなのは人間だけでたくさんだ。』 -
20130214 いろいろな年代の山口さんに会えたような気がする。