- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309021225
感想・レビュー・書評
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2012年芥川賞受賞作「冥土めぐり」と、「99の接吻」がおさめられている。鹿島田真希は、ふつうの人が思うすこし明確な言葉にしづらいものをすくいとって、変わった風に表現しているかんじ。「99の接吻」は書きたいことにまだまだ技術が追いついてない印象で、ほんとうにそのままそれらしい言葉に移し替えただけ、みたいな。「冥土めぐり」のほうが優れた小説だとおもいます。まあ「冥土めぐり」も、これがソリューションなのかなあ、救済ってこんな風に訪れるものなのかなあ、と疑問でいっぱいだったけれど。案外現実のソリューションなんてこんなものなのかもしれない。わからない。
ところで、この膜がはったような現実との微妙な距離感、自分というものの希薄さ、それがさいきんの文学が表現しようとしてるものなんでしょうか。書きたいものはわかる。でも正確に汲み取れていると感じた小説はまだありません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奈津子の母と弟は精神的に崩壊しているし、家族としては問題外だが、夫の太一だって私から見ればイライラのターゲットでもある。
しかし、奈津子にとってはやっと見つけた癒しであるし、自由も得ることができたのだ。
人は誰もが思ったとおりに生きればいいだけなのに、当たり前の尺度が狂ったがために幸せを逃してしまう。
何が幸せなのか考えるのも難しい。 -
地味だけど、心にずしっと来た。
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賞ものなので興味本意で読んでみました。
わりと女性的。
好き嫌いは別れそうですが嫌いじゃないな。
谷中はよいですね、やっぱり◎ -
奈津子とその母親・弟と、夫。
菜々子とその3人の姉と母親。
…太一 -
なんだかよくわからなかったなぁ
「冥土めぐり」はなかなか、悶々としながらも明るい方へと歩む感じが好きでしたが、「99の接吻」は、なんかちょっと気持ち悪い人たちだなぁとしか思わず…この作家、これをかいている間どんな気持ちだったのだろうとか思ってしまった。谷根千のローカルトークはところどころよくわかるので面白かった。
芥川賞受賞作だったんだね。ぽいぽい。 -
表題作の冒頭で、病を患う夫を見つめる主人公の女性の視線がなんだか怖かった。
その視線はとても無感動で冷めていて、嘲りのようなものも含まれているような気がしたから。
読み進めていくとそうではないと分かったけれど、力のある作家さんだという印象です。 -
芥川賞受賞作。
うーん、最後は主人公は自分を一個人として認めたということなのか・・・。表題はすらすらと読めました。
99の接吻はなにを言いたいのかがわからない・・・。単なる作者の妄想言葉遊び?マスターベーション?って思っちゃった。 -
表題の「冥土めぐり」の主人公は、冒頭で死をどこかに意識しているような様子がありましたが、病気の夫と旅行をし、過去を回想し、隣にいる夫の生きざまを思い起こしてようやく死を意識する原因を作った“家族”を拒絶する一歩を踏みだします。趣味の悪いカーディガンを「着なくてもいいんだ」と、唐突に気付く場面は思わず頷いてしまいました。
やらなきゃだめだ、と思っていたことが唐突に「あれ、違うんだ」と気付く瞬間ってあると思います。
99の接吻に関しては……主人公に感情移入出来なくて。言葉の選び方や文章の書きかたは結構好みでした。