ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021553

感想・レビュー・書評

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  • 親が熱心な信者だと、子どもには為す術がない。よく自力で脱出できたものだと感心するが、教育を受ける機会を奪われてしまったのが気の毒。教育を受けさせないようにするのは、矛盾を発見されるのを恐れるからか。ノアの箱舟が現在のトルコにあるアララト山に着いたとすると、コアラやカンガルーがオーストラリアにしかいないのはおかしいと思ったという下り(295ページ)を読んで、リチャード・ドーキンスが同じことを何かの本に書いていたことを思い出した。「コアラやカンガルーは、オーストラリアに向けて一目散に突進し、後に何の痕跡も残さなかったとでもいうのだろうか。」だったかな。つい笑ってしまいそうな光景ではある。2013年2月24日付け読売新聞書評欄。

  • 下世話な興味から本書を手にとったが、あまりに面白くて一気読み。9歳から35歳まで「エホバの証人」のガチガチの信者だった著者の半生記である。著者は、母親が入信したことをきっかけに、十代~二十代の最も重要な時期を教団に身を捧げ、アメリカでの本部勤務歴もあったが、教団教義の矛盾に気づき悩み、脱会する。マルチ商法と教団の類似点や、教理の矛盾、信者に欝病患者が増えたり、信仰が家族不和の元となっている矛盾等に対する疑念が一気に爆発し、脳みそがよじれる幻覚をみて、洗脳が一気にとけ「覚醒」するシーンは印象的。著者は、「東京ガールスコレクション」等の仕掛け人でもあり、社会的地位のある人物であるが、実名で、自分の家族のことも含めて、赤裸々に、しかし、フラットに、本書を綴った真摯な勇気には敬意を表したい。やはり、本当に面白いノンフィクションというのは、書かれざるを得ないとのやむを得ない思いで書かれたものしかないと思う。

  • 9歳から35歳までエホバの証人として教団活動していた著者、信者の日常、自らと家族の脱会を描く。

    キリスト教の下地がないため、教義からエホバに傾倒する理由、エホバが真実ではないという理由などわからないことが多かった。
    (図書館)

  • 暴力的に批判するわけではなく、自分が辿ってきた道をありありと描いている。今までよくわからなかった内部事情が手に取るようにわかった。

  • 何かの本で知って借りた本。サブタイトルの通り、9~35歳までエホバの証人をやってた人の自伝って感じ。筆者が東京ガールズコレクションのプロデューサーだった、というのが売りか。しかし、ちょっと期待はずれというか、もっとカルトカルトした話を聞きたかった。あと、ところどころ自慢っぽくて鼻につく。やっぱアメリカで育ってるからかな。アメリカは宗教に寛大というか、いろんなのがあるから学校生活でもそんなに苦労してないのだ。本にも書いてあったけど、日本人は生真面目だから細かい規則をどんどん作っちゃう、というのがなるほどと思う。同じ宗教でもお国柄が出るのだ。あと、エホバは自分たちを宗教だと思ってないというところ。なるほどなー。聖書の引用がちょくちょく出てくるけど、全然意味がわかんない。みんなこんなのよく読むよな。あとムチの話も出てきた。やっぱほんとなんだ。高校の同級生・Hちゃんは今どうしてるだろうか。

  • エホバの証人脱会記。冗長な叙述も多く、著者の考え方に必ずしも同意できない箇所もあるが、経験の質からいってここまで克明に記録されることも少ないと思われる。貴重な記録として読んだ。

    以下抜粋メモ

    マルチ商法とカルト宗教の共通点
    p.181「一、絶対性(これが絶対の宗教・商品よ!) 二、純粋性(私たちの教義・商品は以外は(ママ)信用できない!) 三、選民性(私たちの教団・商品は選ばれている!) [略]四、布教性(弟子をつくろう!)」

    p.277「洗脳は一〇〇%の絶対のダムの壁に一%の穴を開けることができれば解除できる。一%の「もしかして?」さえあれば、あとは時間と共に壁が加速度的に速く崩壊していく。」

    p.288「洗脳解約のチャンスは一度限りである。一度目の対面で失敗したら二度目はない。」

    p.305「人生の答えをほかの人に委ねた瞬間、自分の人生はなくなってしまう」

  • エホバの証人に疑問を感じ抜け出る過程が細かく書かれていてとても興味を持って読めました。
    ただ、抜け出る最終段階で、「覚醒」とか「スピリチュアル」といったものが出てくるところは若干もやっとしました。

  • 同じ経験をしてきた身として、親の態度、集会や大会、伝道など非常にリアリティがあった。

    違いは著者がアメリカ(特にベテル)にいたこと。
    日本の組織とはまた違った様子が伺い知れる。

    近頃証人の姿をよく見かけるので、
    自分の人生に何らかの役割があったと信じ、糧としていきたい

  • 当事者が書いたので、視点が良かった。

  • 知りすぎると逆に何が真で何が偽なのかわからなくなることがある。そういったところから、信じる、信じないがわかれてくるんだなぁとこの本を読んであらためて思った。著者はこの本を通して、間違った凝り固まった思考の壁も、極々小さな穴が空けば、いつか崩すことができることを証明した。非常にエネルギーに富み、資料性の高い本でありたくさんの人に読んで欲しいと思う。

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著者プロフィール

アーティスト・GAKUの父。
株式会社アイム代表(川崎市の発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス)。かながわ福祉サービス大賞を5年連続で受賞。BSジャパン、ヤフージャパン、東京ガールズコレクション、キットソンのプロデューサーを経て、自閉症である息子のために福祉事業に参入。

「2023年 『GAKU, Paint! 絵は言葉になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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