- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309025254
感想・レビュー・書評
-
ある女性の死をもとに
周りの人々のエピソードを短編にて綴る。
短い文章の中に深みがあり、心を打たれる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
末期がん患者の小国ナスミ。
彼女の死はちいさな波紋となって、周りの人へと伝わっていく。
2019年本屋大賞6位。
視点人物を変え、だんだんと明らかになっていく、生前のナスミ。
43歳という短い生涯だけれど、たくましく駆け抜けていった姿は、すがすがしかった。
ナスミの死から始まる、死にまつわる物語でありながら、どの話も前向きで、読後感もいい。
日常の中でおこる、さざなみのような変化。
その、おだやかながらしっかりとした何かが胸を打ち、なんどもじーんときた。 -
一人の女性ナスミの死を迎え、家族や友達のナスミとの思い出や今思うことが綴られていくお話。
主人公と思われるナスミが、序盤で亡くなるというのは、私がこれまで読んできた話とは全然違う始まり。
ひとつひとつの章で何か得るものがあるような気がするが、さざなみのように、ゆるやかな思いのようで、ぐっとくるというよりも、なんだかポッとあたたかくなるような感じ。
読み終わった今、強烈に残るものはないが、なんだか心の小さな穴は埋めてもらえてもらえたような感覚。 -
心があったかくなる話。主人公の名前を何処かで聞いたことがあるような気がする。他の作品に登場したのだろうか。ある人を中心として周りの人達の物語が進んでいく。死んでなお影響を与えられる人はすごい。
-
生きる、ということ。
死ぬ、ということ。
どちらも特別なことではなくて、日々は続いていって、命は繋がっていくんだなぁっていう話。
癌の末期で病床のナスミからはじまり、姉、妹、ナスミの夫、叔母、中学時代の元カレ…それぞれの一人称の短編が繋がって世界が広がっていく。
じんわりくる。
読みながら、星野源さんの「アイデア」みたいだと思った。 -
主人公がいきなり亡くなってしまうところから始まる物語というのも斬新な気がする。
それでも、ナスミの周りにいた人たちが語るエピソードからナスミの人となりがしっかりと伝わってきて、あったかーい素敵な作品だった。 -
TSUTAYAで見つけ、何回かタリーズコーヒーに通って読み終えた。
この本、読み終えてから、新聞や雑誌などの紹介欄でたびたび目にした。
評判もすこぶる良い。
著者の「木皿泉」さんは、夫婦二人の名前で、二人で1冊の本を書いているとか。
初めて読んだ著者だ。
ごく普通の、なんということない40代だったかな? 女性が亡くなって、彼女がかかわってきた人々が、かかわりについて回想する。
飛びぬけて大きな事が起こるわけではないが、第三者の目を通して見ると、人間一人の人生って、なんとも劇的だと考えさせられる。 -
いつも思うのだけど、木皿泉は特別だ。
何にも奇をてらっていない。難しい言葉を使うわけでもない。けれど時間や場所のイメージを喚び起こすていねいな言葉遣いとその視点の優しさは、これが作家の力なんだ。
録画したまんまの『富士ファミリー』を見なくちゃ。 -
死とはつまり曖昧で、この世にいるものにはまだ体験したことのないものであり、だれも説明がつけられないもの。
しかし、誰もがこの死に向かって今も一日一日向かっている、そして死というゴールを目指して毎日を過ごしている。
ナスミのように、愛子のように、ジタバタ慌てずに”今”やらなければいけないことに集中するんだろう。
死が迫って来た時に後ろを向いて、今までやってきた足跡をみながら、こんなに上がってきたんだ!って胸を張って生きたい。だからこそ、今は前を向いて”今”だけを見なければ。 -
富士山ファミリーのドラマを観たから、キャスティングを当てはめて読んでしまうが…ああ、良かった…いい物語だ。死に向かうナスミと周りの人々…泣いた、すごく泣いた…。