夜の鳥

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309203812

感想・レビュー・書評

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  • 数日前に読了。以前から気になっていたものの、手に取らずにいたもの。
    訳文のもってまわった感が気になって、あまり入り込めないまま終わってしまった。とくに会話文が、あまりにも型にはめ込んだ翻訳調すぎると思う。そのせいかどうか、訳者が評価しているらしい「詩情」も、鼻につくキザさにしか思えなかった。訳者あとがきに書かれているような原書のよさが本当だとしても、訳に活かされていないのじゃないかしら。
    酒井駒子さんの、不安げな緊張感のある表紙がすてき。

  • 現代北欧児童文学。中学校教師を目指したものの色々合わず心を病み出勤拒否中の父と保母を目指してるけど学生時代に妊娠出産休学&夫の病気により一家の稼ぎ手として洋服店で働くものの心身共にだいぶやつれてる母。いじめ、魔女、秋の公園、人殺し、友情、万引き、恋。少年ヨアキムの心に広がる不安と共に暴れだす洋服だんすの中の黒い鳥たち。頼りたいものに頼れないヨアキムの心細さとノルウェー郊外の自然描写が絡まり合ってとてもノスタルジック。これが1975年発表っていうのがまたノルウェーって感じだよなと思ってしまう。

  • 藤田のぼる『児童文学の行方』より。7/14読了。続編の『ヨアキム』も含めて感想を書きたい。

  • 心を病んだパパはしばらく仕事を休むことになったけど、ときどき、家事をほったらかしにしてふらりといなくなってしまう。近所に行く時の木靴をはいて、遠くへ行く時のウィンドヤッケを着て。
    近くか遠くか、ぼくはどこを探したらいいんだろう?

    ママは本当は保育士になるための学校へ行きたいけど、パパの代わりに洋品店で働き、毎日自分がどんなドレスを欲しいのかもわからないお客の相手をして疲れている。

    ぼくの部屋の古い洋服だんすの中には黒い鳥が住んでいて、不安な夜には締め切った扉の向こうで鳥の騒ぐ物音を耳にするんだ──。


    階段の四段目にある「しみ」は魔力を持ってて危険で、地下室にはきっと凶悪な殺人犯が隠れてる。…こどもならではの想像力と感性が呼ぶ独特の恐怖。それから、信じていた「魔法のじゅもん」が効かなかった時の絶望感とか(*´Д`)=з 皆さんにも身に覚えがありませんか?
    こどもの頃は色々なものが不思議で怖かったはず。
    夢を諦めて一家の大黒柱となっている母親、父親がどこかへ行ってしまう不安、いじめっこへの恐怖。語り手の「ぼく」、ヨアキムが幻視する夜の鳥。
    言い尽くせない不安を抱きながらも両親を思いやる、小さな少年の姿を描くアンデルセン賞作家代表作の復刊。

  • 子供の思っている言葉選びが凄くリアルなのでファンタジー要素があるけどリアリティがちゃんとあるので程良く楽しめた!

  • 資料番号:010532729
    請求記号:949.6ハ

  • ひとりぼっちで世界に対峙する子供は、一足飛びに大人になる。くもりのない瞳を持ったまま、子供時代の自分を抱えたままで。

    ヨアキムの父親が陥っている状況は大人でも対処が難しいことで、ヨアキムは、父親がいつか自分たちを置いてどこか遠くに行ってしまうのではないかと不安に思っている。
    ヨアキムが不安になると、洋服だんすに閉じ込めたはずの鳥たちが騒ぎ出す。扉を開けてはいけない、夜の鳥たちが表に飛び出してしまうから。

    “近くか、遠くか、パパはどこへ行ったかわかりゃしない。
    そう考えるのは、つめたくて、さびしいことだった。秋の風と、闇と、窓ガラスをたたく雨のように。
    ひとりぼっちで、さびしく。”

    ヨアキムと、ヨアキムを取り巻く世界に、夜の鳥がこれ以上おとずれないように。洋服だんすには鍵をかけて。閉じ込めて。もう、開けないように。

  • 装丁が好きだった。

  • 子供の目線での世界観、空気感がすごく良い。

  • ノルウェーの小説。個人的な感想ですが、翻訳の文体が自分の作文と似ていてうわあーてなりました。原書でも読みたいなー。終わり方とかいいですね。好きです。

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