ラウィーニア

  • 河出書房新社
3.71
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本棚登録 : 227
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205281

感想・レビュー・書評

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  • 私の大好きなアエネーイスを下敷きに、妻ラウィーニアをル・グィンが描く!と勢い込んで読んだのがまずかったのか、やや期待はずれ。煽り文句に彼女の最高傑作!とあるので、期待しすぎた。しかし悪くはないし、むしろ素晴らしいとは思う。が、ゲド戦記や闇の左手を越える感動を期待したのがまずかったのだと思われる。

  • 読了後、表紙カバーをしげしげと見て余韻にひたる。訳者にも装幀にも恵まれた美しい物語。

  • 1月31日読了。

  • SL 2022.3.7-2022.3.12
    ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」の後半六歌をもとに、ラウィーニアを語り手に据えてル=グウィンが語り直したファンタジー。
    ウェルギリウス本人が登場して、ラウィーニアが自分の未来を知っているというちょっと変わった構造。アエネーイスを底本にしているけれど、これはラウィーニアの物語。死ねないラウィーニアが切ない。

  • 自分が『アエネーイス』という物語の登場人物(作者ウェルギリウスに創られた存在)にすぎず、それゆえに不死性を持つラウィーニア、というアイディアに唸らされる。ウェルギリウス本人まで登場して、ラウィーニアと奇妙な対話をするところがとてもおもしろい。ローマ建国以前の宗教的儀礼の描写が多く、地に足のついた人々の生活の気配が感じられるのもよかった。語り手となるラウィーニアの性格は自分には掴みがたいところがあったが、静かな余韻を感じさせるラストシーンは強く印象に残った。

  • 久方振りの洋物ファンタジー。
    古代イタリアの王女がたどる数奇な運命。
    設定もあらすじも登場人物も、すべてウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』の後半六歌から。
    西洋人のかつての教養ラテン語です。

    あーそういえば小説読むのってこういう感じだったわ。
    巫女さん体質の主人公ラウィーニアが、「未来の」詩人の生き霊に会い、自分が登場人物(脇役)であることを知り、これから出会う夫や都市や戦争のことを知る。
    通常のカットバックシーンの他に未来のラウィーニアの回想シーン、現在のシーンがモザイクのように散らばって、なをかつこちとらに足りない基本事項の注釈を回収しながら追いかけなきゃいけない。
    (一例:p284:ウリクセス:ギリシア語名オデュッセウス。英語名ユリシーズ。ウリクセスは『アエネーイス』で使われているラテン語名。)……聞いたことはあるがウリクセスなぞしらんわーい、ぐはぁ……
    しばらくケータイ小説の脳筋ヒロインなんちゃってファンタジーとか、わかりやすいじれじれ恋愛ファンタジーとか読んでたから、中々骨が折れましたわー。

    あちらものには珍しく長めの著者後書きがついています。
    70すぎてからラテン語やり直して読み込んだとか流石としか言えない。
    それで2009年ローカス賞(ファンタジー長編部門)かっさらうとかもう、ね!

    装画 / 丹地 陽子
    装幀 / 原 路子
    原題 / "Lavinia"(2008)

  • 2009年ローカス賞

  • ウェルギリウスの「アエネーイス」(とさらっと言うけど、私は全然読んだこともない)を、登場人物であるラウィーニアを語り手に、ル=グィンが語り直した小説。「アエネーイス」なのかもしれないけど、ル=グィンの最高の部分がとても良く出ていて、「闇の左手」や「天のろくろ」やゲドを思い出す。とてもル=グィン的な世界と人と理想。
    でもこの透明感はすごい。何というか……年代物の美酒のような趣だ。歳を重ねてル・グインが到達した場所。多少心得はあったとしても、70過ぎてラテン語を学び直し、ウェルギリウスを読むとか、やっぱりすごい人だよね。見習いたい。
    翻訳も装丁も良かった。いつか買って手許に置きたいかも。

  • ヴェルギリウスの『アエネーアス』にちょびっと出てくるラウイーニアのストーリーで、所謂二次創作物。ちょっとまぁ、エキセントリックではある。昨今読んだルグウィンの中ではかなり異色な題材だが、文章が醸し出すムードは同じ。アイロニー満点の子供向きブラックファンタジーよりは読みやすい。これから読めばよかったか、と思ったほど。

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