わたしはノジュオド、10歳で離婚

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309205380

作品紹介・あらすじ

「助けて!」少女の悲痛な叫びは、ついに天にとどいた。古い習慣によって無理やり結婚させられた少女が、世界最年少の離婚訴訟を起こした-「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008」に輝いた少女が語る感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • サナア…イエメンの首都
    カート…精神を興奮させる作用がある葉。多くの国では麻薬の一種だが、イエメンの主な農業生産物。貯水量の2/3をも使って栽培
    ザンナ…イエメン北部の男性の、円筒形の伝統衣装。
    ニカブ…アラビア女性の黒いヴェール
    ベドウィン…アラブの遊牧民族を指す
    フェネグリーク…中近東やアフリカ、インド料理でよく使われる香辛料
    恵まない家庭の子供がサウジアラビアに密輸される問題
    シガール…伝統的な交換結婚。夫が持参金の代わりに妹を義理の家族の一人に与える
    イエメンでは、夫は15歳未満の妻に触らないという条件で結婚できるが、実際にはほとんど守られていない
    フッラ人形
    イエメン・タイムズ紙の女性主幹、そして女性が多い職場
    "多くの友人に囲まれていると、幸せになるのはとても簡単です。"
    伝統と貧困
    名誉
    ノジュオドの離婚裁判後、イエメンでは結婚法定年齢が男女共に17歳に引き上げられ、誓約書には裁判官の確認を要するようになった

  • 中東のイエメンで実際にあった少女の離婚訴訟を追った物語だ。
    少女・ノジュオドの自伝のようだが実際はルポルタージュになる。

    イエメンの山奥の寒村で生まれたノジュオドは、父親の都合で村から追い出され、首都サヌアで貧しい暮らしを強いられる。母親は次々と子供を産み、出生届も出されず、自分の確かな年齢もわからない。

    そしてわずか9歳か10歳の年頃で、自分よりもはるかに年上の男と結婚を強要され、初潮も迎える前に性的にも身体的にも暴行を受ける。

    名誉を守るのが第一と誰も彼女の悲鳴に耳を貸さない牢獄のような日々から逃れるため、彼女は単身裁判所へ向かい、離婚を申し立てる。

    ノジュオドの訴えは世界中に報道され、一躍有名となった。

    イスラム圏では父権制度が非常に強く、男尊女卑の考えが強いという知識はあったが、これほどかと衝撃だった。
    暴力的な夫だけでなく、周囲が彼女を救おうとしない、とういことが胸に重くのしかかる。彼女の家族が冷血なのではなく、因習、文化、貧困、教育のないこと、様々な社会的な仕組みそのものが厚く冷たい壁となっているのだと知る。
    9歳とか10歳って、ランドセル背負ってリコーダー吹いている年齢だよ。親友と思っていた友達が他の子としゃべったということが世界の一大事みたいな年齢だよ。
    まだ身体も精神も未成熟で、狭い世界で生きる術しかない年齢の少女が振り絞った勇気と、類いまれなる運の力に胸を打たれる。

    彼女だけが特別なわけではなく、同じような境遇の少女たちが多数いる、ということも本書では言及されている。

    知ったところで自分に何ができるのかと思う。それならば知らなければよかったのか。そうではなく、知ることに意味があると思いたい。

  • 中東では家長制で女性の人権がなく早婚や略奪婚がまだまだ残っている
    そんな現実を感じれた

  • 図書館借覧。

    タイトル通り、2008年に10歳で裁判所に離婚を申したて、見事勝訴し、離婚を成立させた少女ノジュオドのドキュメンタリー。

    世界の見解の差違を痛感する出来事が述べられている。

    以下原文抜粋
    「イエメンでは、父親が結婚年齢前の娘を結婚させる要因は、たくさんあります。「この問題には貧困や教育の欠如、地方文化などが関わっています」」
    「家族の名誉、不義への不安、敵対する部族間で決着をつける…両親が掲げる理由は数多く、多様」
    「地方には〈九歳の少女との結婚は、幸せな結びつきの保証〉という部族の諺まである」
    「多くの女性にとって、早婚は悲しいかな習慣で、普通のことだということ」

  • タイトルに衝撃を受けて一気に読了。
    彼女の存在は、イェメンの現状の氷山の一角に過ぎない。
    若年婚姻も衝撃だったけども、離婚後に行く場所がなくて結局両親とまた暮らすことになったのも衝撃だった。

  • この後の彼女達の人生はどうなるのでしょうか。
    名誉を汚したとして執拗な報復にあったりしないのでしょうか。
    昔から連綿と続いてきた風習なんだろうけど、こういった問題への対処ってとても難しい。
    宗教、文化に深く起因することだし。
    でもノジュオドの離婚が認められるまでの過程をみてると、必ずしも女性を押さえつけようとする人々ばかりではなくなってきているんじゃないかなって思える。

  • イエメンって家長制度がとっても厳しくて、
    女性はほんとうに男の言いなりなんだそうです。

    女の人、じゃない、女の子は、
    まだ10代前半、酷いと10代に満たないうちから父親の決めた結婚相手に嫁いで、
    そして生涯で十何人もの子供を産んだりします。
    それが、あたりまえ。

    その「あたりまえ」に屈することなく、夫の暴行や酷い仕打ちに耐えかねて自ら裁判所へ行き、
    自分の離婚を願い出たノジュオドは、まだ10歳かそれに満たない女の子でした。

    わたしは知らなかったけど、この少女のことは当時世界中で話題になり、アメリカでは「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」にヒラリー・クリントンやライス国務長官などと並んで選ばれるほど、その勇気ある行動が賞賛されたという話です。
    日本はこういうニュース、疎いのかな。

    たしかに日本で暮らしていると、無理やり結婚させられたのが嫌で裁判所に駆け込む、なんて出来事は簡単にできることで、ノジュオドのやったことがはたしてどれほどすごいことなのかがよくわからない。

    わたしも理解し難くて、じゃあわたしたちの国の、なにか別の事象にたとえてみようと思ったけれど、
    そうやっていつも変換してみなければ理解できないという時点でわたしは世界的な視野に欠けていると思った。

    この本は東京の医学生の方からのもらいもの。
    いろんな本を読まなきゃだめだと反省した。

  • アラビア半島南端のイエメン。古い慣習によってわずか10歳で無理やり結婚させられた少女が、世界最年少の離婚訴訟を起こした……。

    ノジュオドの意を受けて離婚訴訟を起こしたのは別の大人です。ノジュオドは買い物に行く振りをして裁判所に行き「離婚したい」と言っただけ。
    その幼い少女が結婚して(させられて)いることに、驚き呆れた大人たち。その晩からノジュオドは保護され、離婚への道を歩くことができました。

    父の決めた結婚を10歳の子どもが避けられなかったのは痛ましいけれど、裁判所に駆け込んだことと、10歳にもかかわらず裁判の場で、ウソをつく大人たちに対峙して事実を伝え続けられたことが彼女を自由にしました。

    いい大人の、ノジュオドよりずっと教育のある自分だって、裁判を起こすとなったらそうとうな覚悟が必要です。
    それを10歳の女の子が。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008もむべなるかな。

    裁判所でなく警察に行っていたら、結果は違ったかもしれません。ノジュオドが地域の悪習に染まらない機関を選べた幸運を、有難いと思います。

  • この手の話は読み終わっていつもゲンナリ。誰が悪いわけでもないのだが。

  • 聡明な少女、イスラム世界を変えるか。

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