- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309208435
感想・レビュー・書評
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_サガン 奇跡の未発表作品_
という帯と、
この素敵な表紙に打ちのめされ、手にしてしまった。
ブルジョワなフランス映画を観てるような気分でサガンの世界に浸る。
妻の運転した自動車事故から生還した富豪の息子リュドヴィックは、医者の名誉か金儲けのためか、脳に異常があると診断され、ついには精神科へ送られる。
父からも、妻からも、継母からも見放されたままに2年が過ぎ、
ようやく田舎の大邸宅、ラ・クレソナードに帰ってくるところから物語は、はじまる。
リュドヴィックは、誰よりもまともな感覚を持っているというのに、
家族から、特に妻から変人扱いされ別室に寝るようになる。。
そんな彼を、病院にいる時から唯一可哀想だと心を痛め、理解してくれたのが妻の母親であり、美しき自立した大人の女性、ファニーだった。
この屋敷にやってくる人たちにはない、あたたかく、常識的な感情を持ったファニーは、
『悲しみよこんにちは』のアンヌを少しだけ思い出させる。。
フランス人の恋愛観と、ユーモアと、まるでサガン自身のようにふんわりと夢見がちで魅力的なリュドヴィック。。
リュドヴィックの父アンリも、ヒステリックだけど洗練された着こなしが魅力の妻マリー=ロールも、継母の兄で、元伊達男のフィリップも、誰をとっても人間味があり、エレガントで魅力的なキャラクターたち。
ティーンの頃に憧れた『悲しみよこんにちは』の時には分からなかった、サガンの描く人物像に魅了され、
堪能しました。
それにしても
いくつになっても、愛され求められるって素敵だわ✨
ラストは衝撃すぎて叫んじゃったけど。。
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登場人物のキャラクターが立ちまくっており、そのやりとりにクスクス笑ってしまう。それと、これぞサガン!と思わされるような繊細で美しい心象描写が両立している。
自分のなにかが欠落、欠損していることに気付いてしまった人の物語になるはずだったのだろう、と思うと、未完であることはある意味で正しいのかもしれない。 -
前半でシュールで笑える箇所がいくつかあって、クスッと笑ってしまった。サガンの小説で笑ったのは初めてかも。リュドウィックの少年のような純粋さと儚げなところ、サガンを表していたのかも。
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ややおもしろめなくだりがずっと続くなかで、はっとするくらい美しいシーンがいきなり浮かび上がるように胸に入ってきたりして、これ、推敲されて完成してたらどんなんなってたんだろと思う。宝石が散らばって埋まってる岩あるじゃん、あれ見てる感じ。
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読み進めるうちに情景に引き込まれる。リュドヴィックとファニーのシーンが映画のよう。犬のガナッシュの感想はユーモアがある。続きが読みたいけど、続きはない方がよいとも思う。
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まあまあ面白いかな?ぐらいの面白さ
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学生(らいすた)ミニコメント
フランスの文豪の幻の未発表長編作品。
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1323188 -
・二人の間をたゆたうまなざし
https://w...
https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/essays/tanoshimi/book18.html