五輪と戦後: 上演としての東京オリンピック

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309254050

感想・レビュー・書評

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  • 2021年、コロナ禍の中で強行開催されたオリンピック。

    自分はやや反対派だったけれど、オリンピックの歴史に詳しくないことに気がついた。

    オリンピックとは何なのか。それがたどってきた歴史はどのようなものだったのか。ここらで学ぶ必要があると思った。

    そこで手にとった本書。大変おもしろかった。

    オリンピック自体がたどってきた道だけではなく、それが日本にどのような影響を与えたのか。アジアにとって、五輪とは何だったのか。

    とても詳細に書かれ、大変学びのある1冊だった。

    欲を言えば、IOC という団体や、アジア以外のオリンピックについても書いてほしかったけれど、それは筆者の得意とする分野ではないのかもしれない。

    オリンピックの全体像について知るには、あと2, 3冊必要かもしれない。

    (書評ブログもよろしくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2021/09/05/%E4%BA%94%E8%BC%AA%E3%81%A8%E6%88%A6%E5%BE%8C%3A_%E4%B8%8A%E6%BC%94%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF_-_%E5%90%89

  • 「より速く、より高く、より強く」


    五輪の価値転換
    「より愉しく、よりしなやかに、より末長く」

    開催都市
    「より緩やかに、より低く、よりしなやかに」つながる都市

  • 本書は1964年の東京オリンピックを上演という観点から考察している。上演に関連する、舞台、演出、演技、再演の項目を使って東京オリンピックを分解して捉えようとする試みだ。
    舞台として取り上げられている軍用地の利用についてはある程度知っていたが、演出の聖火リレーについては全く知らない内容ばかりで興味深く読んだ。
    新聞の投書が多く紹介され、日本各地の当時の人々が、オリンピックの演出をどのように考えていたのかが熱を持って伝わってきた。
    オリンピックの招致/開催は惨事から回復するための上演として捉えられてきたが、2020年オリンピックは綻びを無理やり繕った再演になるだろう。この綻びを乗り越えるためにも、1964年オリンピックの再検討が必要だと筆者は述べている。

  • 2021.8.7市立図書館
    オリンピック2020の開会がせまる時期に、河出書房新社のツイッター公式アカウントで1年前のこの本の刊行記念著者インタビュー「そもそも、この国にとってオリンピックとは何なのか 新型コロナウイルスによって開催延期になったいまこそ改めて考えたい(https://web.kawade.co.jp/bungei/3590/)」を読み、興味を持って借りてみた。

    「一年後、膨大な犠牲を払いながらようやく実施される東京五輪を、マスコミは「TOKYO2020+」などと言って必死で盛り上げようとするだろうが、「TOKYO2020」が来なかったという事実は変わらないのだ1990年代半ばを境に、日本は高度成長期が反転していく歴史に入っていった。2020年代は、すべての日本人がそのことの意味を自覚させられることになる時代なのである」という、2020年3月24日に記されたあとがき補記の結びをかみしめるように何度も読む。

    (あまり読み進める余裕なく時間切れ返却)

  • オリンピックに反対ではあり、一部の歴史になるほどと思う部分はあるが、どちらかというと結論ありき、に読める。

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著者プロフィール

吉見 俊哉(よしみ・しゅんや):1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論などを主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『大学とは何か』(岩波新書)、『知的創造の条件』(筑摩選書)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し』(集英社新書)、『東京復興ならず』(中公新書)ほか多数。

「2023年 『敗者としての東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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