百億の昼と千億の夜 完全版

制作 : 光瀬龍 
  • 河出書房新社
4.50
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本棚登録 : 207
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309292076

感想・レビュー・書評

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  • 三浦しをんさんの「乙女なげやり」から、よしながふみさんの「愛すべき娘たち」を知り、
    その繋がりで萩尾望都さんを知り、本作品を読むに至っている。
    萩尾望都さんは手塚治虫さんの影響を強く受けていて、漫画の雰囲気(根底にある思想とか)も似ていると感じる。

    この本は、2022年に再編集されて出版された [完全版] であり綺麗な状態で読むことができる。
    しかもA5判のサイズなので文字も大きく見やすい。
    [完全版]とした意味は最終ページに記載があった。

    「百億の昼と千億の夜」とは、どういう意味なのだろうと思いながら読み始めた。
    読み終えた時に、きっと意味が分かる…。

    プラトンが1日で消滅してしまったアトランティスの謎を探る旅から物語が始まる。
    少女の姿をした阿修羅王が戦っている敵の名は "シ" … それは生命が必ず出会う運命の存在。

    ある星雲の千億の恒星…全て消滅
    百億の星雲…全て死滅
    終末に向かう宇宙

    エネルギーの完全な平衡状態 = 完全な熱的死。
    その後にはどんな変化も起こらない。
    どんな生命も生きられない。

    なにゆえに宇宙があり、生命があるのか。
    「火の鳥」と「ブッダ」を合わせたような壮大な物語だった。
    仏教の持つ宇宙観を描いた物語で、その思想は難解だ。

    これを少年チャンピオンで全21回に渡り連載したという事実が凄い(子供たち、たぶん読めていないと思う)。
    少女フレンドには馴染まない作品だし、大人のマンガにはあまりSFがないとも言ってるので、相応しい雑誌がなかったのだろう。

    人間社会を風刺する発言も出てくる。
    「繰り返される戦争 絶えざる経済危機 ――人間は高度な文明を持ち得ても 何一つ解決できなかった」
    「進化 発展が人間に何を与えたか」 「破壊につけこまれただけではないか」

    漫画だけでなく、本作品に関するエッセイ(光瀬龍さん3本、萩尾望都さん2本)や、萩尾望都さんのSFに対する想いなども書かれていて充実した本に仕上がっている。
    影響を受けたSF作品や、自作のSFに対する裏話を知ることができて、また読みたい本が増えました。

    • kuma0504さん
      当時高校生の私は、見損なった回があるのかなと思うくらい話がどんどん進んでいくので、途中でついていけなくなりました。でも、その後本になったのを...
      当時高校生の私は、見損なった回があるのかなと思うくらい話がどんどん進んでいくので、途中でついていけなくなりました。でも、その後本になったのを読んで、何となくわかりましたよ。この頃は小松左京「果てしなき流れの果てに」もわからないままに読んでいたので、「ああこういう話か‥‥」って思って。
      2023/07/05
    • kuma0504さん
      あ、コメントした理由を忘れてた。
      「完全版」って何?
      なんか、大事な所が抜けてたの?
      あ、コメントした理由を忘れてた。
      「完全版」って何?
      なんか、大事な所が抜けてたの?
      2023/07/05
    • Kazuさん
      完全版とは、
      物語自体に未公開部分があったわけではないです。

      雑誌掲載時の2色ページを再現している。
      2色ぺーじの後に掲載されてい...
      完全版とは、
      物語自体に未公開部分があったわけではないです。

      雑誌掲載時の2色ページを再現している。
      2色ぺーじの後に掲載されていた広告を単行本化する時にカットしたため、見開きの左右がづれて収録されていたものを本来の位置に戻している。
      単行本化した時にカットした扉2か所を雑誌初出時の状態に再現している。
      全ページを作者自身が見直し、微細な修正を施している。
      が、完全版の説明(の要約)。

      他に、
      最初に、カバー絵、雑誌の表紙用カット、ポスター用イラストなど、16ページのカラーイラストギャラリーが楽しめる。
      最後に、「百億の昼と千億の夜」関連年表を掲載し、発表媒体や内容が一覧できる。
      と、学術的な要素も含んでいます。

      45年も経って、こうして[完全版]として再販されるほどの名作なんですね。
      定年退職後のおやじが主な購入者かもしれません。
      阿修羅王を精悍な少女の姿で描いたのが成功していますね。
      2023/07/05
  •  実はこの作品、萩尾望都作品集第II期の1巻2巻を持っている。[完全版]と銘打っているので、読まずににはいられず図書館で借りてきた。

     雑誌掲載時のページ建てを再現し、全ページを作者自身が見直し、微細な修正を施したとある。それで完全版。

     光瀬龍氏の傑作であるこの難解な物語を、よくぞまあ少年誌に連載したものだと感嘆する。今作品では原作から少々設定を変えている。特に阿修羅王を少女にしたのは、物語の特に絵的に深みを与えている。まさに萩尾望都版「百億の昼と千億の夜」。

  • 萩尾望都 百億の昼と千億の夜(単行本):萩尾望都作品目録
    https://www.hagiomoto.net/books/comics/asura.html

    百億の昼と千億の夜 完全版 :萩尾 望都,光瀬 龍|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309292076/

  • この作品の阿修羅がCLAMPの『聖伝』の阿修羅の元になったんだよな……
    壮大なストーリーだった。ラストは漫画版『風の谷のナウシカ』を思い出す。一回読んだくらいじゃわからない。もう一回読もう……

  • 『百億の昼と千億の夜 完全版』を読み終わってしまったわ…。阿修羅王の戦いは果てしなく続く…つづ…く……。

  • 20代半ばまでSFは苦手だと思っていたのですが、ハリソン・フォードを好きになり、スター・ウォーズ、ブレードランナーを観ていたら慣れた…というアマノジャク。でも、超少女明日香は大好きでしたが…宇宙、がピンと来てなかったのかもしれません。

    萩尾先生の作品は、今さらこの5年以内に読みまくっていて、その流れで原作ものだから…と敬遠していた本作の「完全版」が出た、ということで読みました。
    私が生まれる前に原作が書かれ、小学生のころ漫画化…
    その内容の斬新さに驚きます。または、この50年ほど、何も変わっていないのかも…と。少なくとも環境破壊はほとんど改善されていない…
    そして宇宙、無の概念、宗教のこと…
    現世も「誰か」に操られている、見られている…という感覚は、自分の中にもあり…
    死んだらどうなるのか…まだまだ考えると怖いです。

    様々な神様モチーフも良かった。
    私は宗教には深くかかわらず来たので、どれも良かったです。やさぐれたキリストも…(笑)

    とてもおもしろかったです。
    ビジュアルなしの原作を読むかどうかは検討中。
    重くて厚いですが、ぜひ紙でお読みください。


  • 萩尾望都は好きだが、これは難しい・・・
    SFもの、原作ありで、壮大な宇宙と世界観と、そこに宗教はそれほど書かれてるとは思えないが名を使っているということは、当然意味があるとすれば・・・
    難解で・・・
    ちょっと疲れた(笑)

  • 随所で絶賛されているので拝読。
    ながら読みだったので、理解が追いつかず…。
    ゆっくり再読したい。

  • 光瀬さんの、読んでないエッセイが収録されてた~(イメージアルバムとか出てたのね)。
    原作も読み返したいな~~

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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