現代語訳 南総里見八犬伝 下 (河出文庫 古 1-3)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (609ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407104

感想・レビュー・書評

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  • 現代語訳とは言ってもそれなりに昔の言葉なのでわかりづらいぶぶんはある。
    仕えた主人の横のつながりや昔の功によるつながりが物語のなかでも重要になるのだが、八犬士それぞれの物語が描かれているので、それが途中で分からなくなる。
    でもわからなくても話は楽しめる。現代ではあたりまえのファンタジーアドベンチャー小説だか、江戸時代にこのような発想ができたことはすごい。終わり方がかなり寂しいが、それまでのハ犬士の活躍ぶりは映像として目に浮かぶぐらい鮮やかに描かれている。

  • 舞台にアニメに漫画にエトセトラエトセトラ、二百年経っても終わらないコンテンツ・曲亭馬琴さまの大著「南総里見八犬伝」のおそらくもっとも読まれているであろう白井訳その下巻。巻末に馬琴の年譜、多田道太郎氏の解説つき。
    上巻に引き続き下巻。庚申山・なみだの雛衣編から終わりまで収録。やはり鈴ヶ森の仇討ちはアツいね、川を挟んでの孝嗣君と道節毛野の問答もすっごい好きなところだ。それはいいとして半分くらいになってもまだその辺りで、親兵衛が出てこない…こりゃあ後編省略の嵐なんじゃないかと戦々恐々してたら段々二回を一回にまとめたりクライマックスの管領戦なんかは一気にまとめてって感じになってたです。一回一回逐語訳とはいかないまでもちゃんとさらってくれてるもんだと思ってたぜ。個人的には施餓鬼法要の描写とか百八十回勝(だったけなー)のゝ大様の字解きのやつとかなくてすげー残念だったのですが。牡丹の痣の謎解きね。あれ重要だろう…
    でもまあ流れはこれで掴めると思うので八犬伝読んでみたいけどいきなり原文アタックするのはちょっとって人にはとりあえずお薦めしておく一冊と言う感じです。

  • 読み終わってしまうのが、悲しくてたまらない…といった感じで残りのページをめくってしまった。京都編も入っていて、読み応え抜群!

  • ちょっと前巻に比べて早足な印象。とはいえ、ただ八犬士を出すだけじゃなくてそれぞれに因縁があるので、ただ単調に勧善懲悪な作風にならないのがよかった。

  • 一騎当千の兵で義に厚い八犬士がとても格好良かった。

    しかし、江戸時代にこんなファンタジー小説が生み出されるなんて、自分が思っている以上に江戸時代の文化は豊かだったんだろうな。

    そういえば、家の祖先は辿って行くと南総館山の出らしい。
    自分たちが暮らす土地を舞台に紡がれる物語を、当時の祖先は、どんな気分で読んでいたんだろう。

  • 資料番号:011281573

  • 前半に比べて、後半は急いで終わらせてるような感じがしました。

    まぁ、連載小説だったらしいからしょうがないけどね。

    ハッピーエンドの持って行き方があんまり好きではなかったです。

    典型的な勧善懲悪!!になってました。

  • 八犬士そろうまでに時間かかりすぎて、八人そろって過ぎ終わるような感じなのは残念。

  • 年始にお正月らしいことをしたと言えは2日3日の二夜連続放送されたTBS50周年記念の

    5時間ドラマ「里見八犬伝」を観たことぐらいである。ドラマの感想はひとまず置いて、

    ドラマを観たことがきっかけで原典の「南総里見八犬伝」を読んでみたくなった。

    「里見八犬伝」というタイトルを最初に知ったのは薬師丸ひろ子、真田広之出演、

    深作欣二監督の角川映画だった。この映画は馬琴の作品の映画化ではなく鎌田敏夫が

    新解釈で書いた小説「新・里見八犬伝」が原作。映画は当時観ており深作欣二らしい勢いの

    ある演出は迫力があったが展開がセカセカして落ち着かない印象が残っている。鎌田敏夫の

    小説「新・里見八犬伝」はいつ手に入れたのか自分でも覚えていないが持っているので

    いずれ読んでみるつもりだ。その後、山田風太郎が忍法帖シリーズにアレンジした

    「忍法八犬伝」を読み、同じく山田風太郎の「八犬伝」を読んだ。「八犬伝」は八犬士の

    活躍を描く「虚の世界」と執筆を続ける原作者・馬琴を描いた「実の世界」、2つを

    交錯させてつくられたもので「作家と作品の関係」を書こうとした山風版「八犬伝」は

    崇高なラストシーン迎える。これには感銘を受けたし忘れがたい作品である。しかし今回は

    「南総里見八犬伝」の物語そのものに入り込んでみたい。といっても馬琴の原作は

    岩波文庫から現在入手できても読みこなす自信がない。様々なリライト版が出版されている

    中でも、より馬琴の原作に近いと思われる白井喬二による現代語訳版を選んでみた。伏姫の

    自害とともに体から飛び散る8つの珠の鮮烈なイメージにまず引き込まれる。登場する

    八犬士達にはそれぞれの身上や目的があり、彼らがが出会い離散を繰り返し様々な事件に

    遭遇。一つ一つの挿話が幻想的で化け猫が登場するなど怪談めいたものもあり因縁に

    因縁が絡みエピソードがぐいぐい膨らんでゆく。白井喬二の訳文が切れ味よくテンポを崩す

    ことなく読み進む。後半、八犬士の中で犬江親兵衛だけが一人歩きして大活躍するところ

    など迷走っぷりも面白い。物語が終盤に近づくにつれ、章立てを見るに原作の省略が目に

    付くようになる。物語としてはついに八犬士が集結する場面が最大のクライマックスに

    なるだろう。「作者二十年の腹稿は今にして小団円を見たのである」というこのくだりの

    文章は馬琴の原文で読んだ方がより深い感慨を味わえたであろうとは思うのだが…。最後の

    合戦の部分だけでも原作は膨大な量らしいがここは大胆に切り捨て一章にまとめ物語は幕を

    降ろす。原作を読んでなくても「南総里見八犬伝」をバランスよくリライトしようとした

    白井喬二の意向は伝わってくるし最後まで楽しく読むことができた。読んでいて不思議と

    懐かしいような気持ちがするのは「南総里見八犬伝」と言う物語に影響された漫画、映画、

    小説等が日本にはたくさんありそういった作品群の古里を垣間見たからかもしれない。

    前後するけどTBSのドラマはなんだか画面が中華風で細かいことを言えばいろいろと文句が

    あるものの総じては楽しく観ました。本を読んでみれば意外や、原典に沿った筋書だったし

    5時間でコンパクトに上手くまとまっていた。八犬士の名前が犬飼、犬川、犬塚だのよく

    似てるのがドラマでヴィジュアルのイメージがあったおかげで本を読んでるときも

    混乱せずにすんだしね。本ではあまり登場しない玉梓を最大の悪役に持ってきたことで

    話がスッキリとしたし演じる菅野美穂には妖艶さがあった。悪女・舟虫がドラマでは運命に

    翻弄される悲劇の女になっているのも面白い解釈をしていたんだな。これでヒロイン浜路役

    の綾瀬はるかにもうちょっと魅力があったら良かったんだけどねえ。

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著者プロフィール

1767年生まれ。江戸時代後期の作家。1814年から28年をかけて全98巻、106冊の「南総里見八犬伝」を完結させた。1848年没。

「2016年 『南総里見八犬伝(三) 決戦のとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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