センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)
- 河出書房新社 (2011年1月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309410609
感想・レビュー・書評
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「書斎」などというものは持てない身(あたりまえだ:笑)だし、持てたとしても作る気もあんまり起こらないような…でも、人さまの書斎を覗けるならのぞいてみたいときがあります。これは、そんなタイトルのとおりの本。著述や研究、ブックデザインといった形で、本にかかわる人たちの書斎をご紹介。みなさん、本がお仕事のもとだから、量が半端じゃない(定まった住居をお持ちでないかたでも)し、蔵書や分類の方法もさまざま。米原万里さんの方法は、私も経験上、ちょっとわかるので身近に感じたり。でも、個人的に印象に残ったのは、そういった個人の書斎ではなくて、古本屋さんや本屋さん、文書館などの蔵書。中国・宋時代の印刷本を一括所蔵する静嘉堂文庫は、岩崎家の剛毅で粋なお買いものがすごすぎるし、古書店・月の輪書林さんの「調べて、集めて、並べては手放す」ための書棚も、その過程のスリリングさを楽しんでいらっしゃることが、なんだかうらやましいような。膨大な蔵書に反して、意外と「所蔵することに興味がない」とおっしゃるかたが多いのも印象に残りました。レベルが違いすぎるけど、そこはちょっとわかるような気もする。手元に置いている本は、芋づる式に読んだり調べたりするために置いてあるものの、いつ手放しても惜しくない。私なんかが持っている本は、買い直そうと思えば、いつでもどうにかなるし(本を書いた/作ったかたのご苦心は存じ上げておりますのでご容赦を:笑)。でも、そのカタマリがいったん不要になれば、ばらばらに二束三文で売られていく…そこは複雑な感じがします。本って、ひとまとまりで、所有者の人となりを表すものだし。几帳面なイラストと誠実な文章が素敵な1冊。どこから読んでもおすすめかと。うーん、でも、こういうお部屋俯瞰のイラストエッセイといえば、私には妹尾河童さんの『覗いた』シリーズの印象が強くて、ちょっとパンチに欠けるような気もしたので、この☆の数です。ごめんなさい。
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