寝ても覚めても (河出文庫 し 6-7)

著者 :
  • 河出書房新社
3.25
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本棚登録 : 384
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412931

感想・レビュー・書評

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  • 読みづらい。脱落。

  • きっと作者もまた、書いているうちは、100ページ先で起きる出来事をまったく知らなかったのだと思う。登場人物のみならず、書き手もまた作品を生きている。それが伝わってくる。読者が驚くとき、作者もまた同じところで驚いていたにちがいない。

  • 読みにくいのはわざとだと思います。
    読んでだいぶ疲れた。次の本にさっと行けなくてひと眠りしました。
    確かに背表紙であおるほどのことはなかったけど、柴崎友香の小説なのに、主人公が大きく行動したので驚きました。

  • 10年愛のはなしだと思ってたら大間違い。勘違いに気づいた主人公のドタバタな生き方。共感はしたくないけど、正直で自分勝手で、でもそれを自分で引き受け、真正面から突き進む主人公が恐ろしく、ちょっと羨ましい。

  • 頑なに信じている女は恐怖でしかない。寝ても覚めてもってタイトル、どういう意味なんだろうって思ってたけど、夢と現実の区別がつかなくなってる状態のことなんだね。まわりから見れば意味分かんないだろうけど、本人はこんなにも必死なのにね

  • イライラした。
    とにかくイライラした。
    いつまでこのダラダラした文体が続くのだろうとうんざりしながら読み進めていたら、ところどころ気になる表現が出てきたが、それでもダラダラは止まらず、結局最後の最後までイライラさせられた。
    ---
    謎の男・麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。だが彼はほどなく姿を消す。三年後、東京に引っ越した朝子は、麦に生き写しの男と出会う……そっくりだから好きになったのか? 好きになったから、そっくりに見えるのか? 目くるめく十年の恋を描き野間文芸新人賞を受賞した話題の長篇小説! 「ラスト三十ページ間で起こることは生涯忘れることができない」

  • これまでに読んだ柴崎さん作品(主題歌、その街の今は)よりも物語が動く。主人公(朝子)が変わり者。朝子目線の文体は、事実、風景、感情など目に映るものが短く並べられていて、朝子が撮影した写真のよう。面白かった。

  • 著者のカメラアイにしびれた。
    写真を撮る人、あるいは映像を撮る人、その後編集作業を通じて作品に仕上げる人。そういう人だけが持っている、時間を止めたり引き延ばしたりする技に何度も感動させられた。
    冒頭のシーンもそうだけど、ズームイン、ズームアウト、パン、チルト、スローモーション、早送り、クローズアップ、コマ送り、フラッシュバック、モンタージュ、そういうテクニックが駆使された文章でめまいがしてくる。あれ、私は文字を読んでいるはずなのに。乗り物酔いしそう。
    そして、さらに映画と違って文学ならではのモノローグ。

    "(引用註:デジカメのモニターを通じて目の前の風景を見て)そのとき、目の前のすべてが、過去に見えた。モニターの中ではなくて、外に広がる、今ここにあるものこそが、すべて過去だった。カメラで撮られて画像の中に収まり、過去として、記録された光景として、そこにあった。カメラを嬉しそうに持っている春代も、珍しがって覗いているえみりんも、後ろの肉を切るカップルも、行ったり来たりする店員も、既に過去だった。こうやって、時間が確実に過ぎていくことが、唐突に、一度に、目の前に表された。わたしは、とんでもないことを知ってしまって、しばらく表情を失ってモニターと現実の光景とを、同じ視界の中に見ていた。(p.118-119"

    ”カメラを構えないで、目の前に見えるものが写真になったところを思い浮かべていた。カメラで撮ると、視界の中心のほんの一部分だけしか写らないから、ほんとうは見えているもの全部をそのまま写真に撮りたかった。写真になって、前の時間も後ろの時間もなくてその瞬間だけで、平べったい一枚の紙の表面に焼き付けられたらいいのにと思った。ただその時に居合わせた一つ一つがそこに揃って作った形を、保存したかった。光や色として、所有したかった。天井からの光で、輝く縁取りをもったたくさんの人、グラス、洋服、その全部。昼間に見た写真みたいに、海も空も同じ表面に等しくあったら、それでいいのに。(p.196-197)”

    さらに。映像に興味のない人でも、本作品のモチーフは楽しめるはず。裏表紙や腰帯にはこう書いてある。
    「あの人にそっくりだから恋に落ちたのか?
     恋に落ちたから、そっくりに見えるのか?
     消えた恋人。生き写しの男……めくるめく10年の恋」
    読み終えてもう一度この文を読むと、しみじみ良い作品だったと思える。

    タイトルはいまいちピンと来なかった。
    写真で切り取った今=過去。データになり何度でも再生できる映像になった今=過去。今を生きているようで過去を生きている。過去に生きているようで今に生きていた。わたしの人生のようでもあり、そうでないようでもあり。
    そういうデタラメさの中の一貫した狂気に、確かに重なってはいるんだけど、ズレていなさ過ぎるとでも言おうか。
    今という瞬間は捕まえたと思ったらすでに過去になっていて、今という瞬間は永遠に捕まえられない。そいういう手の指の間からすり抜けてしまうような、捕まえようとしなければ手のひらに残るけどそれでは手に入れたことにならない。捕まえようとすると逃げてしまう徒労感。
    だけどそこに本質があることはわかっている苛立ち……
    その「すり抜ける感じ」がタイトルに感じられない。本文を読めば横溢しているその雰囲気が、タイトルにも欲しかった。

  • 主人公になんとなく好感が持てなくてモヤモヤしながら読んでいたら、あ、好感を持たなきゃいけないなんてことはないんだった、と気付くような話だった。

    裏表紙にある、解説文の引用を見て、どんなことが起こるのかとワクワクしたら、想像してたのと全然違う手応えが返ってきて、でも確かに忘れがたき感触ではあった…。

    今はそんなになんとも思ってないつもりでも、あとから、ふとした瞬間に感触だけ思い出しそうな、そういう感じ。

  • 140720

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著者プロフィール

柴崎 友香(しばさき・ともか):1973年大阪生まれ。2000年に第一作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年に『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』など著書多数。

「2024年 『百年と一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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