- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462752
作品紹介・あらすじ
「器官なき身体」をうたうアルトー最後の、そして究極の叫びである表題作、自身の試練のすべてを賭けて「ゴッホは狂人ではなかった」と論じる三十五年目の新訳による「ヴァン・ゴッホ」。激烈な思考を凝縮した二篇。
感想・レビュー・書評
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とにかくもがいている。まるで身体中を這いまわる蛆を無我夢中に払おうとするかのように。彼の表現しているのは、叫びそのものだ。その叫びに一生懸命に意味を加えようとしている。まるで、助けを求めるように、彼は叫び続ける。それは命そのものがそのトランスから、必死に逃げようとしている。いや、外界の絶え間ない何らかの刺激から、必死に耳をふさぎ、叫び声をあげている情景だ。それでも、彼が完全に狂気に陥らなかったのは、そういう感情を誰かに伝えようとする意志があったからだと思った。とにかく、強烈でした。
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鈴木創士さんは「ジャック・ヴァシェ大全」の帯文を書いておりその巡り合わせに少し驚いた。さてアルトーは大衆に向けてラジオで(ラジオ!)作品を朗読者を引き連れて番組にしたり、ゴッホは社会の犠牲者だと述べている。抽象的なので難解ではあった。
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詩人である以前に演劇人だった人なので、この作品も散文として読むよりは、これがラジオドラマとして作られたことを念頭に置いて読むと印象がまた違う。ゴッホは狂人じゃなじゃった、というゴッホ論は、自身が精神病院に入れられていた作者だけに鬼気迫る説得力がありました。
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2014.04―読了
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社会の審判システムから脱領土化する思索の詩。ゴッホの芸術性が到達した真理性と、脱領土化するためには自殺しかなかったというアルトーの試論。
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世間がアルトーに名付けた「狂気」というのは、アルトーの凄まじいほどの「怒り」なのであり、それは現代社会にとって大変都合の悪いものであるからしてアルトーを「狂気」という塀の中に無理矢理閉じ込めてしまった。ボロボロになるまで生き抜く勇気のない大衆のオポチュニズム。どっちが狂っているのやら。全身に痛み喘ぎながら発するアルトーの叫び声こそが真実。この胸にも突き刺してくる痛みが真実でなければ一体何なんだ。と、いかにもアルトーに同調しているかのようだが実は全然消化できていない。これから時間をかけて解いていきたい対象。
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心ではなく魂からの言葉
迸る光、怒り、錨のような言葉
解説にあるようにグノーシスってこんなんなのかも知れない…
素晴らしい!
世界に呪詛を吐きかける者たちは必読。 -
「ほんのまくら」で買った一冊。非常に興味深くて驚いた。『神の裁きと訣別するため』と『ヴァン・ゴッホ 社会による自殺者』収録。
アルトーの、精神と身体の乖離に対する煩悶が強く伝わってくる。訳も良い。狂っているのは、私か、あなたか。ゴッホは狂人ではなかったと言うアルトーは、果たして狂人でなかったかどうか。おもしろいと思う。 -
言葉の圧力、とでも言えばいいのか。感覚で読む本、という印象。
一つ一つの言葉に強い意思があって、それがどっと溢れてくる。 -
黒。反信仰。